2019年3月19日に、中国最大のブロックチェーンメディア金色財経(Jinse Finance)とTEAMZが共催のイベントが開催されました。
このイベントは月例で行われており、今回のテーマは「ゲーム x ブロックチェーン 技術背景と活用例」になります。
イベント情報:【中国最大ブロックチェーンメディア主催】トピック:ゲーム x ブロックチェーン(Peatix)
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TEAMZの紹介
はじめに、共催会社のTEAMZの取り組みが紹介されました。
TEAMZは日本のブロックチェーン企業でです。ブロックチェーンサミットの開催や、コンサルティング、メディアや資金調達まで、ブロックチェーンに関する幅広い支援を行っています。
メンバーは多国籍で構成されており、ブロックチェーンプロジェクトが世界中で活動しやすくなる体制を整えています。
直近では、2019年4月6-7日に、ブロックチェーン展示会のTEAMZ BLOCKCHAIN SUMMIT(紹介記事)が開催されます。
展示会では、ブロックチェーンの社会実装に向け、世界のベンチャーキャピタルや取引所の他に、日本の大企業のLINEや富士通、IBMの講演も予定されています。
今回は土日に開催されるため、普段仕事で行けない人も行きやすい展示会となります。
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ゲーム x ブロックチェーン 技術背景と活用例
株式会社プラチナエッグの紹介
株式会社プラチナエッグの取り組みの発表では、代表の竹村也哉氏より取り組みが紹介されました。
プラチナエッグの紹介
プラチナエッグは、現在競馬のブロックチェーンゲーム「CryptoDerby(クリプトダービー)」を開発運営しています。
プラチナエッグでは、イベント当日にブロックチェーンプラットフォームIOSTにおいて世界で初めてブロックチェーンゲームをリリースしたことを発表しました。
竹村氏自身は、ゲーム開発に20年関わってきたゲーム業界のベテランです。家庭用ゲーム機のセガサターンから始まり、今日に至るまでゲームを作ってきました。業界においては、プログラマーやディレクターを経験しています。
プラチナエッグでは、下地となる開発経験が長く、社内で一通りのことはできます。また高い技術力があり、海外人脈が多いのが強みとなるそうです。ゲーム開発の実績が豊富で、ゲームづくりには自信があるといいます。
また、今まで100タイトル以上の開発を通し、ブロックチェーンゲームの開発に関しても、受託を含め複数の実績があります。おそらく日本一ブロックチェーンゲームに詳しい会社ではないかとのことです。
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ブロックチェーンゲームとは
では、そもそもブロックチェーンゲームとは何なのでしょうか。
ブロックチェーンゲームの歴史はCryptoKitties(クリプトキティーズ)から始まりました。CryptoKittiesは約1年前にリリースされているので、ブロックチェーンゲームの歴史も約1年ということになります。
ブロックチェーンゲームでは、ブロックチェーンを利用してゲーム内資産の取引ができます。日本国内においては、昨年にMyCryptoHerosが話題になりました。
ブロックチェーンゲームでは、ゲーム内資産の価格が高騰しがちだといいます。CryptoKittiesでは、猫のキャラクターに約1300万円の値がついたことがあるそうです!
最近では、ブロックチェーンゲームの人気が高まっている旨の記事が出ており、だんだん業界の熱が上がってきているといいます。
現在の日本国内において、MyCryptoHerosがゲームのユーザ規模が1位になります。竹村氏らが開発するCryptoDerbyは、それに次いで2位になります。竹村氏は、CryptoDerbyを世界トップまで導きたいとしています。
既存のゲームで残念な部分として、お金が無駄になる、資産が手元に残らない、うまくなっても虚しいという点があげられます。これが、ブロックチェーンゲームになると、ゲーム内資産をお金に暗号通貨に換えることができるため、お金が無駄にならず、資産として手元に残り、うまくなると儲かる可能性があるといいます。
竹村氏は、ブロックチェーンゲームで重要なのが収益の分配で、これがゲームのコアとなると考えています。
ブロックチェーンゲームとしてのCryptoDerby
竹村氏らが開発するCryptoDerbyは、暗号通貨を使った競馬のゲームです。プレイヤーが馬主になったり、競馬場オーナーになったりすることができます。
CryptoDerbyの収益モデルは、実際の競馬と変わらないといいます。ゲームユーザーは、馬券を買って勝負したり、馬を買って賞金を獲得することができます。競馬場のオーナーは、そこでレースが開催されることによって収益を得ることができます。
そのため宣伝では、敢えて「稼げ!!!」ということを全面に押し出しているそうです。
CryptoDerbyは、競馬をモチーフにして、実際に稼げることから、競馬市場からのユーザ獲得を目指しています。競馬市場から5%のユーザを獲得したいとしており、これは馬券売上ベースだと年間1350億円に相当します。
また、既存のブロックチェーンゲームにある、グラフィックがショボい、動作が遅いなどの悪い点を解消し、CryptoDerbyでは品質を従来のゲーム並に高めるようにしています。
この他、オフチェーン(ブロックチェーン外の領域)を組み合わせることにより、ウォレットアプリを不要にしています。このインパクトは大きいそうで、ウォレットアプリが必要になるとインストール率が10%減少するとのことです。
CryptoDerbyの大きな特徴の1つが、複数のブロックチェーンに対応している点です。
Ethereumはもちろんのこと、TRONやIOSTのような世界的に認知されているブロックチェーンのコイン、そしてVIPSTARCOINのような国内コミュニティのコインまで幅広く対応しています。この点は、CryptoDerbyのこだわりだといいます。
竹村氏は、お金が儲かるのがブロックチェーンゲームの面白いところなので、今後は賞金付き大会を開催したいと考えています。
また、かつて竹村氏らが位置ゲームを作っていたノウハウを活用し、地方競馬をやってみるのも面白いかも知れない、これが店舗の集客に繋げられるかも知れないと、そのアイデアを語りました。
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DMM.com OVERRIDEの紹介
今回は急遽、DMM.com OVERRIDEのWynne Ray氏が会社の紹介をしました。
DMM.com OVERRIDEは、DMM.comのグループ会社に位置し、主にゲーム開発運営をしています。開発運営実績は「かんぱに☆ガールズ」「一血卍傑-ONLINE-」などがあります。他にもシステム系の開発やデバッグ業務、ユーザーサポートを行っており、他社のマーケティングや企画の支援もしています。
DMM.com OVERRIDEでは、これまではパブリッシングをメインにしてきましたが、今期は共同事業や受託事業を行おうとしています。また、ブロックチェーンについては検討していないとしつつも、市場として面白いので何かやろうかという話が出始めているといいます。
パネルディスカッション
パネルディスカッションでは、5名のゲストが主催者から出される質問に回答していきました。
<登壇者(敬称略)>
- リアルワールドゲームス株式会社:代表取締役社長 – 清古 貴史
- 株式会社プラチナエッグ:代表取締役 – 竹村 也哉
- DMM.com OVERRIDE:社長室 – Wynne Ray
- Ludos Protocol:Co-founder – Joe Meng
- MOLD:Engineer & Researcher – 江口 静
特に筆者が気になった回答をご紹介します。
質問1.
ブロックチェーンと従来のゲーム大きな違いは何?
竹村氏:ブロックチェーンにより、コンピュータゲームが出る前に戻った。将棋やめんこのように、取り合いができるようになった。コンセプトは特にすごいわけでも無いが、今までのコンピュータゲームと違うことができるようになった。また、お金が動くから面白い。これは事実として間違いない。
Joe氏:資産の流動性が高くなる。今までであれば、自分が稼いだ武器やコインの流動性がなかった。
質問2.
日本の法律についてはどのように対応しているのか?
清古氏:弁護士に確認して進めている。石橋を叩きながら、大丈夫そうであれば次に進んでいっている。
竹村氏:端的に言うと、法律が整備されていない。言い方はともかくとして、業界的に抜け道を探せみたいになっている。我々は今までにないものを作っているので、賭博罪に該当しないように気をつけている。
Wynne氏:いつだって法律については調べなければいけない。今までと同じように調べていくのみ。
江口氏:法律が整備されていない。しかし、法律が整備されていないからといってプロダクトの可能性を縮めてしまうのはもったいない。ERC20だと交換すると違反になるが、ERC721だとモノに当たるのでOKであったりなど、議論が追いついていない。
質問3.
イーサリアムを使って開発すると、速度や手数料面の課題が多い。課題をどのように解決していくのか?
清古氏:ビットにゃんたーず(清古氏の会社のプロダクト)は、ほとんどオフチェーンでやっている。2年前から調査はしていて、イーサリアムだけだと無理だと判断した。ゲームコインの管理だけをオンチェーンにした。
竹村氏:うちはその課題は1年前にクリアした。サイドチェーンを使うのではダメで、やはり高速なデータベースを使うしかない。また、ゲームをイーサリアムに依存しない作りにしている。ゲームのプレイヤーはお金を稼ぎたいわけで、ブロックチェーンを使いたいわけではない。そのため、普段はデータベースを使い、たまにブロックチェーンで取引をするようにした。これが合理的だと考えている。
Joe氏:Ludos(Joe氏の会社のプロダクト)は、サイドチェーンを提供する。サイドチェーンはレイヤー2で、レイヤー1はメインチェーンになる。将来的にはレイヤー2に転換しないといけないと考えている。ゲームがサイドチェーンを使い、資産を稼いだらメインチェーンで取引するという考えになる。
質問4.
ブロックチェーンゲームに興味を持ったら、どういうゲームをやるとよいのか?そのタイトルは?
清古氏:難しい質問だ。ユーザ体験でいうと、今までのゲームと比べてあまり良さがないからだ。
竹村氏:面白そうだと思ったのは、NEOLANDというバーチャル空間で資産を取り合うタイトルだ。また、EOSで絵を描くEOS Pixelsも新しくて面白いと思う。うちのCryptoDerbyもどんどん面白くしたい。
Joe氏:今はやらない方がいい。良いものがないと思う。
江口氏:今はこれだというものはない。作っている側からすると、こうやって作られていくんだなというのは面白く感じる。
質問5.
ゲームは口コミで広がっていくものだが、TwitterのようなSNSを見ていると、ブロックチェーンゲームに関するツイートは「レアキャラをゲットした」といった内容で、第三者からは見るとまったく面白そうに感じない。これについてどう思う?
清古氏:弊社のビットニャンターズ(イベント当日にリリース!)を是非インストールしてほしい。実際に歩いて、街を再発見することがテーマなので、体験がシェアできると思う。
竹村氏:非常によく分かる質問だ。ブロックチェーンゲームの面白いドラマがあるのも事実なので、もうちょっとドラマ性があるゲームが必要なのではないか。
江口氏:ゲームの楽しみは対戦にある。オンライン対戦が盛り込まれたブロックチェーンゲームが出てこないと厳しいのではないかと思う。
Joe氏:ブロックチェーンで流行っているゲームは、ほぼギャンブルなのが現実だ。良いゲーム会社がブロックチェーンを使うという流れになると、面白いゲームが出てくるのではないだろうか。
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