インタビュー

【インタビュー】ASOBI COIN 近藤氏 ーASOBI COINの強み、コンテンツをどう拡充していくのか、UXはどうする? (2 / 3)

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暗号資産(仮想通貨)相場は冷えてクリプトウィンターと呼ばれています。しかし、その基盤となるブロックチェーン技術への社会実装は着々と進んでいます。

今回は実際にブロックチェーンを実用化し、コンシューマ向けへのプロダクトを提供するASOBI COINの Co-founder CEOの近藤克紀氏にインタビューを行いました。

第2部では、競合プロジェクトとの比較やコンテンツホルダーとの提携状況について訊いていきます。第1部がまだの方は、以下のリンクよりご覧になれます。

第1部:プロジェクト紹介と国内外の評価

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競合プロジェクトと比べたASOBI COINの強み

加藤:ゲームなどの著作コンテンツの2次流通というのは、WAX(ワックス)のような他にも競合があるように思います。彼らと比べた場合、ASOBI COINの差別化ポイントはどこにあるのでしょうか?競合がひしめき合う中で、ASOBI COINはどのようなポジションを確立しようとしているのでしょうか?

近藤氏:我々はデジタルコンテンツ全般を扱っていますから、取扱商品の違いというのは差別化になると考えています。電子書籍が好きな人もASOBI COINが必要になります。売ったらASOBI COINが入ってくると。

もちろん、ASOBI COINはゲームにも使えます。例えば、ユーザがソードアートオンラインの小説が好きだとしましょう。そこで本を買いました。読み終わったのでそれを売ってASOBI COINを手に入れました。それでソードアートオンラインのゲームすることもできます。ソードアートオンラインのゲームで遊んでいる人も、本買ったりコイン買ったりと双方に流れてきます。

ですから、取扱商品が違うので、集まってくるユーザの数が違いますし、よりプラットフォームとして面が取れるのではないかと考えています。

加藤:コンテンツの幅の差別化ですね。

近藤氏:そうですね。ゲームとしてはWAXが老舗で、特に欧米はWAXが押さえています。ライバルというのもおこがましいというくらい、彼らは先を走っていますけれども、見習うところは多分にあると思います。

日本は、ゲームの国としてのポテンシャルはあるので、我々はまずはそこを攻めていこうと考えています。

あと、我々はコンテンツ自体を作っている人間なので、より開発者側の思想をサービスに入れていきやすいのではないかと思っています。我々はパブリッシャーになるので、そこの違いは結構大きいのではないかなと思いますね。

プラットフォーム側がサービスを作ってしまうと、出店するのにとても大変な仕組みになる場合があり、開発者サイドに負担をかけてしまいます。開発者からすると、毎日がすごく忙しくて、プラットフォームに適用するためのカスタマイズに時間をとることができないというのが実際のところです。

ゲーム開発者に負担をかけない形で出店できるようにするのは、他と違うと思っています。

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コンテンツホルダーとの提携状況

加藤:当初の計画でもそうでしたが、他のコンテンツホルダーを巻き込んで行くという話だったと思います。あれから拡大状況はどうですか?

近藤氏:徐々に拡大してきています。今はセカンドパーティやサードパーティを集め始めています。現在は10社ほど集まってきていまして、それぞれの会社がASOBI MARKETに向けてアイテムの売買やプレイするとお金をもらえる”稼ゲー(かせゲー)”というのですが、そういったプラットフォームに対応してゲームを用意しています。

加藤:ゲーム会社さんで10社あると、ユーザにとっては品揃えがそれなりにあるように見えそうですね。

近藤氏:まだまだこれからですね。それらのゲームをASOBI MARKETに出したり、ゲームプレイをするとお金がもらえるという稼ゲーというコンセプトがあるのですが、そういうところに適応することによって彼らの売上が増えたり、収益が増えるというのになるのがファーストステップとして大事です。そうすると、放っておいてもゲームが増えるようになるのではと思います。

加藤:稼ゲーというのは最近新しく出てきた言葉ですが、ブロックチェーンゲームはどのように広がってくると思いますか?

近藤氏:私は稼ゲー=ブロックチェーンゲームとは思っていないです。通常のゲームも稼ゲーだと思っています。

稼ゲーの定義は何かというと、ゲームをプレイするとお金がもらえると。もらい方としては、例えばチュートリアを突破したら30円、ボスを倒したら50円、そこで得たアイテムをマーケットで売ったら300円など、そういった色々な稼ぎ方があって、お金をもらえるゲームを全般的に「稼ゲー」といいます。

ブロックチェーンゲームに限ったことではなくて、既存のゲームでも適用可能なわけです。ブロックチェーンゲームはレスポンスが悪いですから、我々はそちらから攻めるというわけではありません。

もっといいゲームがたくさんあるので、そこから稼ゲー化していくことによって、上の方でブロックチェーンとつながるようにできれば良いのかなと思っています。

加藤:そこはもともとコンテンツを持っているアソビモさんだからこそできる強みですね。

近藤氏:例えばガチャですが、レジェンドの確率が1000分の1だとして、1億円投入したらレジェンドアイテムがたくさん出てきます。こんなのレジェンドでもレアでもなんでもないじゃないではないかというのが実際のところですよ。

ところが、数が限られていてそれが保証付きというのがブロックチェーンゲームの面白いところです。絶対これ以上発行されない。

でも、その仕組みも今のゲームに簡単に載せられます。サーバ管理ですけれども、すぐに載せられる。そういう思想を「稼ゲー」という形でゲームの中に取り入れていきます。レジェンドクラスは絶対に100個以上出ません、全部シリアルが振ってありますと。それらについては、ASOBI MARKETを通じて高値で売買することも可能かもしれませんねという発想です。

トレーサビリティを気にする場合は、それをプライベートでもいいし、オープンネットワークでもいいし、ブロックチェーンに乗せていくということですよね。ブロックチェーンゲームだと、イーサベースでやったときにGAS費用という壁がありますからね。扱いにくいですね。

加藤:GAS代については、どのゲーム会社さんに聞いても同じことをいいますね。

近藤氏:もうすぐ出せるのですけれども、GAS配布ボタンというのを作りまして、それを押すとGASがもらえる!タダでGASをもらえるんです(笑)(※すでにリリースしました)

1日1回はログインボーナス的な感じで、ボタンをポチっと押すと、GASが自動入ってきます。1回につき10円くらいのGAS代がもらえます。10円あったら3?4回送れるんですよ。

なので、GASがなくなったらここにおいでよと、タダでGASを配っていますよと。そうすることによって、ブロックチェーンゲームの根本的な問題を全部解決しようとしています。

加藤:単純ですがわかりやすくて良いですね!いろんなメーカーさんがパクリそうな良いアイデアですね。

近藤氏:パクってもらったらいいと思います。みんなGASがなくて送れないという問題が解決されますよね。どんどんそれはやったらいいと思います。なんなら、システムをオープンソースにして配ろうかなくらいに(笑)

加藤:GASが高騰したら、きっとアソビモさんのお財布が痛みますよ。2017年12月みたいになったら大変でしょうね(笑)

近藤氏:たしかに(笑)

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ASOBI COINのユーザエクスペリエンス

加藤:最近のブロックチェーンゲームだと、アイテムやキャラクターをノンファンジブル(代替不可)トークン(NFT)化して売買できるものが主流になりつつあるように見えます。

なぜ、ASOBI COINさんではそのようなアプローチではなく、トークンを通貨的な扱いにすることにしたのでしょうか?おそらく今のアプローチに行き着くまでの思考錯誤があったと思いますが、教えていただくことはできますか?

近藤氏:やはり、1個1個NFTにしてしまうと扱いづらいですということですね。MetaMaskありきの話になってしまいますから。MetaMaskをインストールして使えるようになるためのハードルは高いものがあります。ブロックチェーンっぽさでいえばそういうのはわかるのですが、ユーザのブロックチェーンに対するリテラシーにすごく差すぎて、ブロックチェーンから攻めるとハードルが高すぎると考えました。

どちらかというと、既存の延長線上から橋をかけていって、ブロックチェーンの方に導いてあげると。自然な形で向こうに入れるというようにしたほうが、多くの人にとってはいいのではないかと考えています。

我々のASOBI MARKETの中にもそのうちDAppsが入ってくるので、知識レベルが高い人は、いわゆるCryptoKittiesやMyCryptoHerosのアイテムを普通にETHで売買できるようになります。ただし、ETHの取扱が必要になるので、MetaMaskのようなものが必要になります。

電子書籍に関しては、ノンファンジブルにしているので、1冊ごとにトークンベースになっています。これをオープンなマーケットに放出してしまうと、出版社からは許諾が降りないでしょうから、まずは安全に管理していくために、プライベートネットワーク上で動くようになっています。

加藤:確かにユーザにとっては、MetaMaskなんかどうでもよくて、自分たちがゲーム遊べるのがすべてでしょうしね。

近藤氏:そうですね。しかも海外が多いので、あれを使いやすくして日本語にしていかないとダメですね。そういうものを日本マーケットに追加して行きたいという想いはありますね。

加藤:ユーザエクスペンスの観点でいくと、一番のハードルはウォレットの使いやすさだと思うのですが、ユーザが使いやすくするために苦労した点はありますか?

近藤氏:ウォレットねぇ・・・。本当に今も悩んでいますよ。

一回使えばメールを送るのより簡単だなと感じるようになるのですけれども、これはなかなかハードルが高いですよね。ウォレットとしてそのアドレスにトークンを管理して、秘密鍵を控えておいてとか。まだまだ難しい課題がたくさん残っていますよね。一回使えばわかるのですけどね。

加藤:確かウォレットはリリースしていましたよね?

近藤氏:リリースされています。ASOBI WALLETという名前です。まだ実装されていませんが、基本的にはCryptoKittiesのようなDAppsゲームを扱える仕様になっていまして、ここで買ったアイテムとかキャラクターが、あたかもBTCやETHの一つの通貨のように見ることができて、そこから簡単に売りに出せる感じになります。アイテム売買は簡単だし、コレクションとしては見た目が楽しいかもしれないですね。

これはこれから作るのですが、オファーもできるようにします。買いたいというオファーを見えるようにします。オファーが見えるから売っちゃおうとなるかなと思います。

加藤:それは便利ですね。ウォレットのエクスペリエンスは、ユーザにとっての一番最初のハードルだと思います。業界人の私から見てもどれも使いづらいと感じますね。

ユーザエクスペリエンスやユーザインターフェイスを一番真剣に考えているのは、私はゲーム会社さんだと思っているので。ゲーム会社さんのウォレットというのは業界のハードルを下げるキーだと思うのです。

近藤氏:そうですね。僕も思います。

次回予告

近藤氏のインタビューの第2部では、ビジネスやプロダクトに関する考え方をお伝えしました。

第3部では、実際にプロジェクトを進めてみてどうだったのか。これからどうしていきたいのかを訊いていきます。

第3部:直近の活動とこれから

ASOBI COIN公式情報

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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