ブロックチェーンのインフラであるブロックチェーンプラットフォームを作るプロジェクトは数多く存在していますが、その中でもファンが多いのがCardano(カルダノ)になります。
Cardanoプロジェクトはいくつかの会社で構成されており、Cardanoのビジネス開拓を担うのがEMURGO(エマーゴ)になります。
今のCardanoがどうなっているのか?そして、その中でEMURGOは何をやっているのか?そのような疑問をEMURGOの広報の三本氏ことミッキー氏に取材しました。
第1部では、ミッキー氏がこれまでどのようにEMURGO/Cardanoに関わるようになったのか?そして、EMURGOについて紹介します。
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ミッキー氏の自己紹介 今に至るまで
加藤:まずミッキーさんのプロフィールをお願いします。これまで何をしてきて、ブロックチェーンとはどのように出会い、そこからどうやって今のEMURGO(エマーゴ)に関わるようになったのでしょうか?
私は、新卒でNTTコミュニケーションズに2008年に入社しまして、最初5年間はエンジニアをやっていました。具体的には、当時はテレビ局を担当して、全国を飛び回っていました。そのなかで、1年ちょっとだけイギリスに赴任をしまして、現地のインターネットVPNサービス開発をやっていました。
2013年に日本に帰国という話になったのですが、そのタイミングで経営企画部広報室という辞令を受けました。私は、エンジニアキャリアだったので驚きました。そもそも広報室なんてあるのかと。しかし、やってみると非常に面白く、エンジニアであったバッググラウンドを活かして会社に貢献できることが多々あったので、非常に充実していました。
そのうちに、広報のキャリアをずっとやっていきたいなと思うようになり、NTTコミュニケーションズにいるといつか別の部署に行ってしまうことになるので、一度、外に出たほうが良いのかなと思い、PR武者修行のためアメリカの代理店に移り、その後、ゲーム会社の広報も経験しました。
ブロックチェーンとの出会いは、2014-2015年でした。ブロックチェーンの報酬設計の秀逸さや、私が元エンジニアということもあり、これは凄いことになるぞと考えました。
インターネットバブルじゃないですけれども、どこかで波がどっと来ている業界を経験したいと思っていました。その最中、ブロックチェーン系や仮想通貨系のコミュニティに参加して話を聞いている中で、ちょうどCardanoやADAのことを知りだしたタイミングでEMURGOからスカウトが来たので、話を聞いてみました。
当時はまだまだ若い業界だし、怖いなという想いもありました。ただ、ここでリスクを取らないと大きなリターンは将来望めないなと思いまして、業界の成長に期待して入社をしました。
加藤:スカウトが来ると選ばれし者という感じがありますね。どのような経緯だったのでしょうか?
たしかLinkedInでスカウトが来ました。スカウト自体はヘッドハンターの方からでしたね。EMURGOの渋谷オフィス(今は移転)に呼ばれて社長の児玉と面接して、その日のうちに「採用!」と電話をもらいました。
加藤:ベンチャーはそういうところのスピードが速いですよね。
そう、はやっ!、て思いました(笑)
加藤:私も昔大企業にいたのでわかるのですが、大企業からベンチャーに行く人は少ないじゃないですか。社内から転職するときに珍しい目で見られたのではないでしょうか。
NTTコミュニケーションズはとてもいい会社なので、ベンチャーに行くのは少数派ではありました。今でも同期は社内にたくさん残っていますし、バンドなどの遊びでしょっちゅう会ってます。辞める時も、5年以内ならいつでも戻ってきて良いといっていただきました。
加藤:すぐに戻ったら、まわりから敗北宣言したように映りますよね。業界的にはブロックチェーンの方が楽しいですよね。
そうですね、今はすぐ戻るつもりはないです。ブロックチェーン業界は今が面白い時ですし、暗号資産相場がダウントレンドの中でも、日々新しい情報が出て、業界が成長している感があって退屈しないですね。
加藤:私もまったく同じ感覚はありますね。変化するのが楽しいというか。
そう、たまに振り落とされそうになります(笑)
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Cardanoを支える組織、EMURGOの紹介
加藤:EMURGOの話をする上で避けて通れないのが、Cardanoの話です。Cardanoは関係組織が多いですが、それぞれの組織とその役割についてご紹介いただけますか?もちろん、EMURGOをメインでお願いします。
Cardanoプロジェクトは、第3世代のオープンソース分散型ブロックチェーン及び暗号通貨プロジェクトです。従来のプロトコルよりも遥かに優れたスマートコントラクトのプラットフォームの開発を行っています。
開発チームは世界中の優秀な技術者から構成されています。スイスのCardano財団、最近アメリカに移ったIOHK、そして日本のEMURGOの3社の合同プロジェクトです。
Cardano財団がCardano のルールを作って、コミュニティを管理しています。IOHKが技術開発、その中でEMURGOはCardanoブロックチェーンの商業化を担っています。具体的には、アクセラレータプログラムやベンチャーキャピタル、アドバイザリーサービスやコンサルサービス。あとは教育事業やシステム開発など、主に4つの領域をEMURGOが担当しています。
加藤:Cardanoはスマートコントラクトをローンチしていない段階ですが、そのような中で既に開発者の育成をやっているというのは、どのような背景からなのでしょうか?
後にも言及しますが、直近だとインドでのEMURGOアカデミーという教育事業をやっています。今は技術者が足りてなくて、数少ないエンジニアの取り合いにみたいな状況になっているので、やっていて先細りになってしまいます。なので、そもそもパイを増やさなければいけないと。そこで、ソフトウェアエンジニアが多いインドに行って、そういう方々がブロックチェーンエンジニアに育ってもらうことを意図しています。
教育事業では、オンラインやオフラインで講義をし、コミュニティーを醸成していこうと思っています。オフラインは、バンガロール大学と提携し、事業としてやっていこうと考えています。初年度には、2500人のブロックチェーンエンジニアを排出しようと計画しています。
講義では、 6割はブロックチェーンの概要の話をして、4割はCardanoの話をします。もちろんCardanoじゃないプロジェクトに行く人もいると思うのですが、どこかでCardanoに戻ってきてくれると嬉しいなとは思っています。
加藤:なるほど。教育事業はCardanoでガチガチというわけではないのですね。
その他には、「dLab::emurgo」というアクセラレータプログラムがあって、SOSVという有名なニューヨークのアクセラレータ企業とプログラムを開始しました。
アクセラレータプログラムは、皆さんどれくらいご存知なのかというところもあるのですけれども、シードと言われるベンチャー企業のタネであったり、タマゴのような段階の企業に対して、人脈や教育、資金を提供することによって、独り立ちのスピードを加速させていきます。
いまは最初に4つのスタートアップを選定して、それに対して教育やアドバイザリープログラムをしている状況になります。
加藤:ブロックチェーンに関して包括的に支援をするプログラムなのですね。
はい、そうですね。専用のメンターをニューヨークのdLab::emurgoのオフィスに常駐させて、彼らがいつでもメンターから質問やアドバイスを受けることができるようにしています。
加藤:そのアクセラレータプログラムは、前提としてCardanoブロックチェーンを使うということなのですよね?
おっしゃる通りです。Cardanoのエコシステムにフィットするプロジェクトを考えています。
1つ例をあげると、Helixworksという会社がありまして、こちらの会社は食品や農作物のトレーサビリティ関連の会社になります。
スプレーを散布をすることで、当該の作物と他の作物が混ざってもちゃんとトラッキングできるようです。それがどういう仕組みになっているのかは、私の脳ミソではわからないです(笑)
ブロックチェーンはトレーサビリティと親和性が高いと思っています。Cardanoとしてコーヒー関連のプロジェクトをIOHKがやっていたり、EMURGOもインドネシアで検討しています。そのような経緯から、Helixworksが親和性が高いと感じています。
加藤:昔CardanoのミートアップでHARAプロジェクトが紹介されていましたが、あれも最終的にCardanoに移行する前提なのでしょうか?
基本的にパートナーシップを組むときにはCardanoプロジェクトとの親和性や将来の移行を考えています。
加藤:Cardanoプロジェクトとの親和性があるというのは、どのような基準なのでしょうか?
Cardanoブロックチェーンは、Rippleのような送金に特化しているわけではなくて、暗号学会の査読と承認の元、開発される第三世代の総合的なプラットフォームになる予定です。そのため、特に特定の分野に絞ることはありません。どちらかというと、プロジェクト自体が優れているか、ブロックチェーンが必要かを基準にしています。
今は確かに既存のプロジェクトとのシナジーを期待できるかも関係しますが、将来的には基準は異なってくると思います。
加藤:たしかにそこは大事ですね。変なプロジェクトばかりを載せてしまうと、プラットフォームの価値が落ちてしまいますからね。
そうですね!我々もよく相談を受けるのですが、それってブロックチェーンいらなくない?というのものが正直多いです。それをいうと皆さんすごくがっかりした顔をするのですけれども、逆にそれを言ってあげるほうが親切だと思っています。
逆に報酬設計や必然性という意味で、ちゃんと検討されていないプロジェクトはお金を無駄にして終わってしまうなと考えます。
加藤:下手したら投資家を怒らせる事になってしまいますよね。
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次回予告
第1部では、ミッキー氏の自己紹介やEMURGOがどのようなことをやっているかをお伝えしました。
第2部ではCardanoやその詳しい特徴を紹介します。
第2部:Cardanoとはどのようなブロックチェーンなのか?
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