ブロックチェーンのインフラであるブロックチェーンプラットフォームを作るプロジェクトは数多く存在していますが、その中でもファンが多いのがCardano(カルダノ)になります。
Cardanoプロジェクトはいくつかの会社で構成されており、Cardanoのビジネス開拓を担うのがEMURGO(エマーゴ)になります。
今のCardanoがどうなっているのか?そして、その中でEMURGOは何をやっているのか?そのような疑問をEMURGOの広報の三本氏ことミッキー氏に取材しました。
第3部では、なかなかスマートコントラクト機能がリリースされないことに対して率直な疑問をぶつけ、また直近動向についてご紹介します。第2部がまだの方は、以下のリンクよりご覧ください。
第2部:Cardanoとはどのようなブロックチェーンなのか?
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Cardanoの学術的なアプローチは遅すぎないのか?
加藤:この業界の変化スピードはとてつもなく速いので、それと比べてCardanoの進捗スピードは遅いなと感じています。これについては、おそらくミッキーさんも業界の人からよく聞こえてくる意見なのではないかと思います。
他がどんどん先に進むことについてCardano優位性が失われることはないのでしょうか?例えば、堅牢性が低いブロックチェーンでも、どんどんアップデートをすれば結果的に堅牢性を確保できるという考え方もできます。これについては、Cardano関係者はどのように思っているのでしょうか?
おっしゃる通りのご指摘を受けることがあります。繰り返しになってしまうのですが、既に相当なプロジェクトが消え、今はマーケティングにお金を投じたプロジェクトがどうしても目立ってます。しかし、実用に耐えなければ、遅かれ早かれどこかでメッキが剥がれます。なので、我々は愚直に学術的アプローチをとっています。
もちろん、アップデートしていけば良いという考えもあります。しかし拡張性とか相互接続性の部分において、イーサリアムが本当にアップデートできるのかまだわからないですよね。
加藤:そうですね、シャーディング採用の1つとってもかなり困難な状況が見えますね。とある人は、イーサリアムのシャーディング採用を飛行機が飛んでいる最中にエンジンを交換するようなものだと例えていましたね。
そうなんですよ。その辺も我々も配慮しています。ブロックチェーンの基盤部分を作ってしまうと、後から容易に変えられません。なので、そうした基幹部分に時間を割いているということがあります。
もちろん、イーサリアムや他のプロジェクトで画期的なアップデート手段が生まれていくこともあるかも知れませんが、それは今この段階でわからないし、我々もその手段をパッとは思いつきません。
逆にいうと、遅いと言われる歩みで実直に開発するスピードが、実は最速なのではないかと。
僕自身も、他の動きに焦りを感じることももちろんあるのですけれども、とはいえ社会実装の段階は本物だけが残るでしょう。実用化され人々が安全に使っていくことを見越すと、この手段を取らざるを得ないと思います。
加藤:「急がば回れ」ということわざが一番よく当てはまるブロックチェーンプロジェクトですね。
おっしゃる通りです。
加藤:私はブロックチェーンプラットフォームをわからない人に、よくプラットフォームをショッピングモールの建物に例えるのですが、アプリがそこに入るテナントに相当しますね。建物に欠陥があると、テナントが出ていかざるを得ないよねと。もちろん良い建物をつくるには、それ相応の時間と手間をかける必要があると。
そうですね。でないと今世の中を賑わすアパート賃貸会社の問題みたいになりますね。
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最近までの動向
加藤:ここから柔らかい質問になります(笑)つい最近までのEMURGO/Cardanoの動きを教えてください。
EMURGOでいうと、インドでのアカデミー事業、あとはSTOを扱うデジタル投資銀行Y2Xとの提携を発表しております。
Y2Xはニューヨークで既にSTOの事業を開始しておりまして、こちらがCardanoブロックチェーンを入れていくと。我々はそのサポートをしていきます。
このY2Xには、石黒不二代さん、ネットイヤーグループのCEOがアドバイザリーに入っています。ネットイヤーはNTTのデータに買収最近されまして、その点でも話題になりましたよね。石黒さんは、日経新聞でコラムを持っているのですが、我々との提携を発表する前から、そのコラムで、Y2Xの創始者のドット・モーリーの言葉「お金はデジタル化していく」に言及しています。ちなみにドット・モーリーはグッケンハイムという投資銀行の重要人物だった人で30兆円の資産を扱っていて、その方がこれからはSTOだといってY2Xを立ち上げたのです。
あとは、先程も話しましたが「dLab::emurgo」のアクセラレータプログラムのローンチを2月にしたので、最初の4つのスタートアップの会社を支援しているところです。
その他弊社初のプロダクトとして、昨年Yoroi(ヨロイ)というウォレットを出しました。命名は、私と村崎です。
加藤:名前が外国人ウケしそうですよね。
実は内部でめちゃくちゃ反対されて、2度ボツになったのですが、我々は唯一トップ10ブロックチェーンプロジェクトの中で日本に基幹機能がある会社なので、日本発であるという要素は絶対に入れたいと食い下がり、別案とYoroiをあげた結果、CTOのニコラスがYoroiを選んでくれました。
加藤:結果はどうだったのですか?
評判いいです。当初はヨロイって発音できないのでは?と危惧されましたが、今は社内で「Yo! Yo! Yoroi!」と外国人メンバーが掛け声に使っていますね。
加藤:ブロックチェーンは地球規模のものですから、外国人にも受け入れられてよかったですね。
そうですね。それとiOSとAndroidが対応しまして、最近使いやすくなりました。
あとは、うちは非中央集権のオープンソースのプロジェクトなので、YoroiのフレームワークとしてICARUS(イカロス)というものがあります。ICARUSはウォレットをつくるためのソースコードのセットで、こちらも他の会社にもオープンになっています。
EMURGOがイケていないものを作ったら、他の社外プロジェクトに置いていかれるという、公平な競争を促す意図です。我々は現状そこに打ち勝っています。
加藤:確かCardanoとLedger Nanoとの連携がロードマップに載っていたと思いますが、あれはICARUSのコードをもとに開発が進んでいるのでしょうか?
いえ、正確にはYoroiとカルダノ財団のアプリの連携です。TREZORは既に連携済みで、3月27日にLedgerの連携完了も発表できました。またiOS、Androidアプリもリリース済みです。
加藤:LedgerとTREZORの対応がができれば、Cardanoが2大ハードウェアウォレットに対応したことになりますね。
無事期待に応えられてひと安心です。あとはステーキングがこれから始まります。
加藤:本当に実直に進んでいますね。
あと、メタップスのADAカードがあります。これは非常にウケがよくて、つい先程もそれに関して問い合わせを電話でいただいていました。
カードにする意味は絶対的にはなかったのですが、やはり暗号通貨は手に取れないので、人の手に渡る、ビジュアルで見えるようにするというのは、人々の生活に浸透していくためには必要な段階だったのかなと思っています。
意図通りというか、以上というかCardanoスーパーファンの方々が、ロシアやオーストラリアから遥々韓国に来て、ADAカードで決済してくれています。
加藤:まだ一般の人の手に渡る段階ではないのでしょうか?
韓国では販売していたのですが、今売り切れ状態です。これから増刷をしたいとは考えていますが、まだ発表できる話はありません。
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次回予告
第3部では、Cardanoの機能実装の遅さについて率直な疑問をぶつけ、これまでの取り組みについて紹介しました。
第4部では、これからCardanoビジネスを拡大するために、どのように活動していくのかを紹介します。
第4部:Cardanoビジネス拡大の戦略
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