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【インタビュー】プラチナエッグ 竹村氏(2/4)ーゲーム制作者の視点でみたブロックチェーンゲームとは

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最近マイクリプトヒーローをはじめとして、だんだん世に名前が出つつあるブロックチェーンゲーム。その歴史はまだ2年も経っておらず、各社が試行錯誤しつつも業界の先駆者に名乗りを上げるべくしのぎを削っています。

今回は、国内のブロックチェーンゲーム開発では先駆者である株式会社プラチナエッグの代表、竹村也哉(たけむら なりや)氏にゲームメーカーとしてのブロックチェーンへの取り組みを伺いました。

インタビューは全4部構成になります。第2部では、ゲーム制作者からみたブロックチェーンゲームについて訊いていきます。

第1部がまだの方は、以下を先にお読みください。

第1部:竹村氏とプラチナエッグの紹介

プラチナエッグ代表 竹村氏

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ブロックチェーンゲームとは?

加藤:ブロックチェーンゲームは最近出てきた言葉で、一般の人から見ると明らかに分かりづらいものに感じます。竹村さんからブロックチェーンゲームとはどのようなゲームなのかを説明いただけますか?

竹村:単純な定義でいくと、ブロックチェーンを使ったゲームです。それで、リアルと連携していて、お金の動きがあるゲームがブロックチェーンです。

ただ、ブロックチェーンのネガティブイメージを持っている人が一定数いて、仮想通貨=詐欺、ブロックチェーン=詐欺というイメージを持っている人がいるので、ネガティブイメージをまったく持っていない人への説明は、今のブロックチェーンを使っていてお金の動きがあるというのでいいと思っています。

ネガティブイメージがある人向けには、ブロックチェーンという説明をしない場合で、今までのゲームの上に1つのお金を取り込む経済圏のレイヤーが追加されたものになります。例えば、今までのゲームだと、ゲームの中で遊んでいるプレイヤーがいて、作っている会社があるはずで会社が何らかの方法でお金を集めて、ゲームを作って利益を出しているはずです。

もっというと、プロジェクトファイナンスでこのプロジェクトをやるからお金を出してもらって、利益をシェアしたり、株を発行したりしているわけです。それが全部組み合わさったものブロックチェーンゲームになっているはずです。

つまり、ブロックチェーンを使って出資を募って、ゲームを遊んでもらって、出資に対するリターンもあって、ゲームとしても遊べると。利害関係者が今までのプレイヤーとゲーム開発会社の他に、もうひとまわり外を巻き込んで、プロジェクトにお金を出している人まで全部を取り囲んだものがひとつのプロダクトになっているのがブロックチェーンゲームです。

それがシステムに取り込まれているから、ゲームのトークンを出資した人にリターンがあるようなものだったりとか、ゲームのアセットを早めに買った人にはリターンがあるものだったりとか、いろいろとしているけれども、本質をいうと多分そこです。

あとは、トークンエコノミーはICOと一緒です。トークンエコノミーがあって、そのインセンティブが発生していて、ブロックチェーンを使って利害関係者にインセンティブを配られるモデルになっているゲーム、それがブロックチェーンゲームです。何人かが違う言葉で似たようなことを言っているのが現状ですね。

加藤:たしかにそうですね。別の会社さんにインタビューしたときは、稼げるゲームということを全面に打ち出して似たような表現を使っていましたね。

竹村:稼げるゲームというのも確かにその通りで、ただ稼げるゲームって、今はそう言わないとお客さんがこないからというのが実情に近いと思っています。

さっきのブロックチェーンのネガティブイメージがある話とセットになっていて、仮想通貨やブロックチェーンのゲームというと人があまりこないんですよ。いまブロックチェーンゲームにくる人はお金が稼げると思っている投機勢に近い人が入ってきていて、その人らがなぜくるのかというとお金が稼げると思っているからきているというわけです。

変な話、このゲームやっていると「1000万儲かったぜ」と誰かがツイッターで呟いたらそれで人がくると思うんですよ。ある意味残念なことですが、実情はそうなっています。このゲームがいかに面白いと呟いても人はそんなにこなくて、こんなに儲かったということを誰かがツイートした瞬間に人がパッとくるような、今きているユーザ層はそのような感じだから、稼げるゲームを全面に押し出すというのはそういう理由ですね。

稼げるゲームというのは嘘じゃないけれども、多分ブロックチェーンゲームが本当に目指している未来というのは、厳密にいうと100人が100人稼げるゲームというのは多分無理だと思うんですよ。どうしても利害関係があるので。

いってしまうと、ゲームを遊んだプレイヤーに全員元本保証で配当何パーセントというのはありえない話で、そうなるとゲームを遊ぶことに対してお金を払っている人と、儲けるためにお金を払っている人が混在しているというモデルになるはずです。稼げるゲームというと嘘ではないけれども、全員が稼げるというわけではないですよね。

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ブロックチェーンゲームの魅力とは?

加藤:ゲーム業界が特に長い竹村さんから見て、ブロックチェーンゲームの魅力はどこにあると思いますか?

竹村:本質的に今の既存のゲームよりも、ブロックチェーンゲームのほうに人が流れてくるのではないかと思っています。

その理由はいくつかあるのですが、まず1つは継続率が高いように見えます。ソーシャルゲームだと継続率はかなり重要で、要は翌日にプレイする人の割合です。当然ソーシャルゲームはある程度以上の継続率が高くないと続かなくて、翌日の継続率が2-3%だったらどんどん広告を打とうが人が離れていってしまいます。

なので、ソーシャルゲーム業界だと継続率信仰みたいなものがあって、継続率さえなんとかできれば課金率や1人あたりの課金額をあとからなんとかできると考えられています。

加藤:そういう業界なのですね。

竹村:わかりやすくいうと、とりあえず遊んでくれてさえいれば、どこかの段階で課金するんですよね。1ヶ月遊んでいれば、1ヶ月遊んでいるものに対してそろそろ500円払っていいかとか。これだけ遊んでいるのでお金払っていいかとなっていくと、最初の課金が始まって、その後守っていくためにはもうちょっと課金していいかとなって、続けていればだんだん課金は上げられます。

それで、ブロックチェーンゲームはある意味お金を払っている以上、課金している以上継続率が高いという印象があって、自分の資産があるからそれが継続率につながっている印象があります。

銀行口座に利息がついているかなとたまに見るのと一緒で、自分の資産がゲームに1万円入っていたら、その1万円が1年後に何かに変わっているかもしれないと思ったら、戻ってくると思っています。

ソーシャルゲームって基本的に1年後にまた戻ってきても、まず追いつけないんですよ。以前日本で100位のランキングに入っていて、飽きたからもういいやとなって、また1年後に入ってきても、もうどうしようもなくなります。

ブロックチェーンゲームは構造的に違いがあるから、1ヶ月後や1年後にまた復帰する可能性があるけれども、ソーシャルゲームはそういう可能性が少ないです。そういうことも含めて、ブロックチェーンゲームの継続率が高いということです。実際のデータでも、ブロックチェーンゲームの継続率が高いとNEOの人が話していました。

それっぽいことをみんな思っていて、先ほどのソーシャルゲームの継続率がいちばん重要なのではないかという点で、ブロックチェーンゲームはそれを上回るので、最終的にはソーシャルゲームを駆逐すると見ているんですよ。

加藤:そこまでブロックチェーンに可能性の大きさを感じているのですね!

竹村:もっと言ってしまうと、ソーシャルゲームは面白くするために作っているというか、データドリブンで作っているところがかなり多くて、Webの手法と一緒ですね。ABテストとか、どうやったらユーザがついていて、これだったらどうユーザがうごくかと。モバゲーとかグリーとかさんざんデータをとって、こういうデータだったら一番みんなが継続すると思って作った部分が大きいです。

ソーシャルゲームの継続率が根本的にブロックチェーンゲームに勝てないのだったら、将来的にソーシャルゲームはブロックチェーンゲーム勝てないという気がしています。

もうちょっとアーティスティックなゲームデザイナーの才能だけで作ったというゲームがたくさんあれば、そこは別ベクトルでしょうけれども、基本的にデータだけで作ったものでいくとソーシャルゲームはブロックチェーンゲームに負けると思いますね。

あともう1つあるのが、既存のソーシャルゲームよりも、ブロックチェーンゲームのほうがゲームの本質に近いと思っています。

これは法律的な話を抜きでいうと、お金を賭けている麻雀とお金を賭けていない麻雀があるとして、ゲーム性は絶対に違うわけですよ。あと、コンピュータゲームができる前は、将棋でお金を賭けたり、もっというとボードゲームができたときにお金や何かを賭けてやっていたと思うんですよね。

なので、お金がユーザ間で動くこととゲームをやることは、本当は相性がよかったわけです。でも、色々やると賭博になって問題があるということで、賭博と切り離しているのが今のゲームです。

なので、ブロックチェーンゲームはゲームの本質に近いものですね。もっというと、ギャンブルとゲームの境というのは法律以外では明確にはないんですよ。明確な境目をひこうとすると、本当は引けなくて。つまるところは分離できないものです。

だから、お金とゲームが近いところにあるブロックチェーンゲームというのはゲームの本質にかなり近いはずだから、そういう意味でもブロックチェーンは将来伸びるはずだと思っています。

加藤:なるほど、そういう視点でブロックチェーンゲームを見ているのですね。

竹村:そうですね。あとは法律だけですね。

加藤:ゲームの本質とは、ギャンブルを切り離せないという考えは面白いですね。思い起こせば、私が小学生の時にゲームで負けるとおやつを渡さなければいけない罰ゲームをやっていました。やり取りしているのはお金ではないけれども、やっていることはギャンブルと変わらないですね。

竹村:そうですね。ブロックチェーンだったらこれがおやつ引換券のようなトークンになるわけですよ。現金である必要もなくて、法律に抵触しなくて、賭けている何かがブロックチェーンだとたくさん作れてしまうと。

正直なところ法律が追いついてくる速度よりも技術の速度のほうが速いですよね。仮にギャンブルでおやつ引換券トークンを賭けるとして、それが日本中どこでも使えて、1億人が認知しているものがあったら、それって限りなく現金に近いじゃないですか。それは法律的にどうなるのだろうと。

技術的には想像できるけれども、法律はそこに追いついてこないから、まだまだブロックチェーンでやれることは多いと思います。

思いつきでいいますけれども、よくわからないものが当たる宝くじとか作れると思うんですよ。現金じゃないけれども、価値があるかないかわからないNon-Fungible Tokenが当たる宝くじで、下手したら1000万くらい儲かるかもというものがあったら、人がくるのかなと。ブロックチェーンなら色々できると思います。

加藤:クリエーターとして、ブロックチェーンゲームには色々な可能性が眠っているというところが魅力の1つなのですね。

ちなみに、そのような可能性を見出しているのは、最初からそういうことを知っていたのか、実際に動いて自分たちで感じてそういう答えに至ったのでしょうか?

竹村:後者ですね。最初はICOみたいなところからスタートしていて、その後競馬は相性がいいよねというところから始めているので、ゲームの本質がブロックチェーンゲームに近いのではないかというのは早めに思っていました。残りの可能性は、自分たちで動いてみて感じているところです。

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第3部の予告

第2部では、ゲーム制作者からみたブロックチェーンゲームについて、それはどのようなものか、魅力について伺っていきました。

それでは長い前置きを終え、いよいよ竹村氏らが作っているクリプトダービーについて語っていただきます。

第3部:クリプトダービーの紹介

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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