コラム

取引所の立場から見た今後の仮想通貨・ブロックチェーンに対する考察

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TheDigitalArtist / Pixabay
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今現在、ビットコインの価格も昨年の冬から2倍以上も高騰し、ここ最近は仮想通貨に再度投資をしようとする人々がゆっくりとであるが戻ってきた印象がある。

そもそも仮想通貨に対する投資から撤退した人々の主な理由の一つというのが、ビットコインをはじめとする通貨の大幅な下落かつ底値での停滞であろう。当時の底値の判別が出来ていれば撤退せずにまだ活路を見出す人もいたのだろうが、一般的から見れば難しかった筈だ。それに加え、大幅な価格下落の精神的なダメージもあることから投げ出してしまったに違いない。

そして投資家にとっての大きな精神的ダメージの要因として、ICOの存在がある。私の友人にもICOで10億円もの金額を溶かしてしまった人がいて、ICOへの思いは様々であろう。

ひと昔前はICOに関して規制は何もされておらず無法地帯であったが、今となってはビットコインも回復してきて、少しは投資意欲も湧いてきたのではなかろうか。

 

ここで問題となってくるのが、どのプロジェクトに投資しようか、という点である。最近良く聞かれるのが、どこに投資すれば儲かるの、どんなプロジェクトが生き残るの、などである。

結論から言うと、一言で言うのは難しく一概に判断は難しい。実際に私もビットコインが短期間でここまで価格高騰するなどとは思っていなかった事実がある。取引所の立場により今まで色んなプロジェクトに会って来たわけだが、応援したいと思えるプロジェクトは数多く存在する。去年のビットコイン価格低下に伴って、資金の底が見えた投資家も多かった筈だ。

もちろんビットコインが上がるまで苦しかったのはプロジェクトも同様である。ビットコインの停滞により、プロジェクト側もここ半年程はかなり苦しい局面が続いたのではなかろうか。それは、ビットコインやイーサリアムなどが大きく価格低下したことにより、資金調達した金額が10分の1にもなってしまった背景にある。

取引所の立場から投資家に言いたいのは、上がった下がったの話だけするのではなく、そういったプロジェクトに寄り添っていって一緒に技術発達に向けて歩んで行って欲しいと思っている。それが大義名分として、本来ある投資としての役割なのではなかろうか。

 

ここで本題に入るわけであるが、今後のクリプト業界はどのように展開していくのだろうか、もしくはどのように立ち回っていくべきか。

最近のニュースを見ていると、大手企業のブロックチェーン実用化や新たな通貨の発行、そして大手企業間のブロックチェーン技術の合同開発のニュースが顕著である。一年程前は億り人の続出により仮想通貨の値幅の話題が多かったが、今となってはブロックチェーンやAIの話題が目立つ。それだけ技術面の発達には関心が集まっているのではなかろうか。事実、ここ最近はブロックチェーン実装による技術発達が目まぐるしく、それに伴った新プロジェクトも始動しつつある。

今まで、過去の成功失敗を見て来た上で行動に乗り出すのはとても用意周到なことで、将来的に彼らがブロックチェーンの覇権を取っていくのは間違いないだろう。これは取引所にも同様のことが言えて、早急にブロックチェーン実装に向けて展開していくべきである。

取引所に関して一番に取り上げられるのは、脆弱なセキュリティによって起こるハッキング問題であろう。2014年のマウントゴックスに始まり、過去最大の盗難事件として扱われているコインチェック事件。コインチェックに関しては580億円分ものNEMが流出した。ここ最近では仮想通貨世界取引所ランキング第1位を誇るバイナンスも被害にあった。

おそらくここが初心的に誤解する点であるが、取引所がハッキングされたからと言って仮想通貨自体が危険なわけではない。そこを理解した上で投資活動に励んで欲しい。

 

多少話が逸れたわけだが、今後ブロックチェーンに関わっていくのであれば、AIの存在を忘れてはいけない。私はブロックチェーンの覇権を取ったものがそのままAI産業で有利に駒を進めていくと思っている。現在のAIというのは人口知能の役割は果たしておらず、単なるバズワードにしか過ぎない。というのも、今現在のAIというのは統計学上の効率短縮型であって、ドラえもんや鉄腕アトムが実用化されるわけではない。

例えば、将来的に自動運転は間違いなく実装されるわけだが、ハッキングの問題を解消しないと自動運転の実用化には至らないだろう。というのも、自動運転で考えられるのは、オンラインかオフラインかという問題にある。ハードにそのまま組み込んでしまって決まった道しか走れないようにしてしまえば問題はないわけだが、それでは夢がなくつまらないだろう。人類が夢見ているのは、オンラインでの無人でも走行可能な自動運転化である。

だが、オンライン自動運動でハッキングを許してしまえば、それは無人での暴走を許すことになりテロや過去最大級のハザードを引き起こすだろう。なので、セキュリティ問題は取引所の人間としても、今現在かなり興味深い内容で思考を重ねていくべき内容なのである。

将来的に実用可能になるのであれば、今から準備を進めるべき対象であり、今から十分な議論をしていくべきなのである。個人的に今年はそんな生産性のある話を十分に充実させて行きたいと思っている。それは必ず将来の仮想通貨やブロックチェーン産業の発達に繋がると信じているからだ。今後の展開が実に楽しみである。

 

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この記事を書いた人

ブロックチェーン業界であれば誰もが知るグローバル取引所のメンバー。
職務上様々なプロジェクトと接する中で、プロジェクトを見る目が洗練されており、業界や市場のトレンドに非常に敏感な立場でもある。

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