プロジェクト解説

世界初の匿名スマートコントラクト「SERO」のプロジェクト概要

プロジェクト解説
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先日の「2019年のICO/IEOから見るリターンが見込まれるプロジェクトの傾向」の記事において、特にパフォーマンスが良かったプロジェクトを取り上げていきます。

パフォーマンスが良いプロジェクトには共通点があります。それがテクノロジーに特化していることです。

今回取り上げるSEROは、トレンドに乗るであろうテーマを扱っており、ブロックチェーンのプライバシーにフォーカスをしています。

SERO 概要

SEROは、スマートコントラクトをサポートする初のプライバシーコインプロトコルです。

ブロックチェーンの未来はパブリックブロックチェーンと言われている一方で、現状は透明性が高すぎて、センシティブのデータが扱うことができません。例えば、サプライチェーンや医療データなどの機密性が求められるものをパブリックブロックチェーンで扱うことは困難です。つまり、現状のパブリックブロックチェーンは企業のニーズを満たしていないということです。

SEROでは、スマートコントラクトもプライバシー保護することができ、プライバシーコインを自分で発行することもできます。また、高速なゼロ知識証明の暗号化ライブラリを採用し、これまで遅かった匿名化処理をより高速に扱えるようにします。

スマートコントラクトをプライバシー保護を謳うプロジェクトが開発のしのぎを削る中、SEROは2019年7月15日にメインネットをローンチしました。筆者調べでは、この手のプロジェクトでメインネットローンチをしたのはSREOが世界初になります。

SEROの特徴

匿名スマートコントラクト及びプライバシーコインが利用可能

SEROではゼロ知識証明を用い、スマートコントラクトを使った匿名取引を利用することができるようになります。スマートコントラクトはEVM互換になるため、今までEthereumで開発をしていた人は、簡単にSEROで匿名機能を有したスマートコントラクトを実装できるようになります。

SEROのビデオでは、わかりやすい例えとしてZcashやMoneroがBitcoinのプライバシーバージョンだとしたら、SEROはEthereumのプライバシーバージョンだとしています。

さらに、開発者はSEROプラットフォームを使ってプライバシーコイン(匿名トークン)を発行することができます。発行したプライバシーコインは、自らのDAppsで使うことができます。つまり、DAppsにもプライバシー機能をもたせることができるようになります。

また、プライバシー機能は必要に応じてオンオフの切り替えをすることができます。

UXTOとACCOUNTモデルの良いとこ取りをしたハイブリッドモデルを採用

SEROでは、UXTOとACCOUNTモデルのハイブリッドモデルを採用します。

UXTOは多数の取引を同時的にこなしプライバシーを重視できます。その一方、ACCOUNTモデルはチューリングマシンの実装が簡単にできるため、スマートコントラクト向けになります。SEROでは、これらの良いとこ取りをし、Coinfidential Transaction実行時にはUXTOを、スマートコントラクトを実行する必要がある場合にはACCOUNTモデルを利用します。

SEROのハイブリッドモデル

SEROのハイブリッドモデル

世界最速のゼロ知識証明の暗号化ライブラリを採用

ゼロ知識証明を実装するzk-SNARKsは、匿名技術としてはもっとも高いプライバシーを確保できる技術とされていますが、モジュールが非常に重いという弱点があります。

そこで、SEROでは新たなZKP暗号化ライブラリ「Super-ZK」を開発しました。Zcashに採用されているzk-SNARKsより20倍以上高速だとしています。

実際にどれだけ高速化は、SEROの公式YouTubeに比較ビデオが掲載されています。

SEROの利用想定

SEROでは、開発者自らが簡単にプライバシーコインを発行し、独自のプライバシーエコシステムを構築できるようになります。そのため、センシティブなデータを扱う分野が想定されています。

SEROの公式ブログでは、以下の利用ケースが想定されています。

  • サプライチェーン
  • 医療や健康
  • オンラインオークション
  • オンラインカジノ
  • オンラインゲーム

詳しくは、公式ブログの「SERO Privacy – Use Cases」をご覧ください。

SEROで使われるコイン

コイン用途

SEROではブロックチェーン上で基軸通貨となるSEROコインを扱います。

SEROコインは、総発行数が10億SEROになり、うち8割がマイナー報酬として割り当てられています。マイニング分は、メインネット稼働から101年ですべてが発行されるようになっています。

SEROコインの主な用途は、以下の通りです。です。

  • ノードの計算による報酬
  • アルゴリズムプロバイダーのための運用報酬
  • SE-Randomコンセンサス
  • SEROエコロジーの開発やアプリケーションの価値に基づく報酬
  • 様々な用途(DApps、SEROに関するエコシステム)

主要な取り扱い取引所

SEROのロードマップ

2018.9 AlphaNet ネットワークのリリース

  • GitHubでオープンソース化
  • 一般的な取引情報の匿名暗号化に対応
  • チューリング完全なスマートコントラクトに対応
  • スマートコントラクトを利用した匿名トークンの発行に対応

2018.11 BetaNet-RC ネットワークのリリース

  • PC向けのフルノードウォレットのリリース
  • スマートコントラクトを利用した匿名チケットの発行に対応
  • 分散型マイニングライセンスに対応
  • ブロックブラウザーに対応

2018.12 BetaNet-Release ネットワークのリリース

  • 暗号化されたパッケージの発行に対応
  • スマートコントラクトを利用したシールド入札とプライベートOTCトランザクションに対応
  • スマートコントラクトに代わるガスの支払いに対応

2019.3 グローバルノードの開発、MainNet 環境の準備

  • PoWのマイニングプールシステム
  • ASIC/FPGAマイナーの耐性を持ったProgPoWの証明メカニズムとマイニングクライアント
  • 中央集権型モバイルウォレット
  • SEROおよびECOトークンとの交換機能をモバイルウォレットに組み込み
  • 完全なラージストック交換のドッキングミドルウェア

2019.7 MainNet ネットワークのリリース

  • PCの分散型ライトウォレット
  • PoS+PoWのハイブリッドコンセンサス
  • 分散型のPoSステーキングノード

2019.9 スマートコントラクトとのやり取りをライトウォレットにも対応させる

2019.4Q Layer2に関する作業を開始

  • ブロックチェーン間ミドルウェア:Ethereumとのブロックチェーン間、及びEthereumのトークンのブロックチェーン間の匿名処理の実装
  • インスタントトレーディングミドルウェア:ユーザー体験を向上させ、より高いTPSを達成するための、ノードベースのレイヤー2インスタントトレーディング機能
  • エコミドルウェア:エコアプリケーションに関連するミドルウェア

上記以降

  • ALIENプロトコル(*1)とCASTROLプロトコル(*2)のリリース
  • SEランダムコンセンサスの完成バージョン
  • 分割、Plasma、およびその他の関連するTPS拡張スキームの採用
  • 量子コンピュータ耐性の付加
  • ダウンリンクデータに関連するプライバシー保護メカニズムの採用

*1: IPアドレスの自動切り替えと、動的アドレス指定の機能を持った分散型DNSのプロトコル

*2: IPアドレスの匿名保護機能

SEROに関する情報

公式情報

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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