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Filecoinについて知っておくべき5つのこと

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TwitterやLINEグループでは、特にFilecoinについての話題を見かけることが増えてきました。特定の業者が、電話でFilecoinのマイニング勧誘を行ったり、情報商材が好きな層がFilecoinのマイニング商材をしきりに広めていたりしようとするため、怪しく思う人は少なくないことでしょう。

この記事では、Filecoinについてこれを押さえておけばOKというポイントをお伝えしていきます。

まず、最低限押さえていただきたいのは「Filecoinとは、IPFSと暗号資産が組み合わせられたプロジェクトである」という点です。以降は、それをさらに詳しく解説していきます。

Filecoinについて知っておくべき5つのこと

1.Filecoinは極めて真っ当なプロジェクトである

まず誤解を解きましょう。Filecoin自体は極めて真っ当なプロジェクトです。

Filecoinは、2017年にトークンセールを行いました。トークンセールの参加者は適格機関投資家で構成され、米国の投資契約の類型に従ったSAFT(Simple Agreement for Future Tokens)にもとづいて資金調達が行われました。2億5700万米ドル(約282億円)が集まり、著名なベンチャーキャピタルであるセコイア・キャピタルやアンドリーセン・ホロウィッツなどが参加しています。

ブロックチェーンプロジェクトにおいては、このような著名なベンチャーキャピタルが参加することはまずないため、Filecoinの真正性についてまったく気にする必要がないといえます。

問題なのは、単にFilecoinに関連した派生案件であり、あなたが投資を検討している場合、その案件の妥当性を見極める必要があるということです。

2.IPFS=Filecoin ではない

よくFilecoinはIPFSのプロジェクトだと言われますが、IPFSはFilecoinだけのものではありません。

IPFSは、InterPlanetary File Systemの略で、データの保存先が分散していても、結果的に正しいデータを取り出すことができるというデータの分散保存技術です。

ジグソーパズルを例にすると、IPFSではそれがバラバラのピースになってあちこちに複製されて保存されます。最終的に、ジグソーパズルが必要になったときに、再びパズルの完成形で取り出すことができます。これまでのデータ保管方法では、ジグソーパズルの完成形をそのまま保存するので、IPFSのデータ保存方法はこれまでと根本的に異なっているということです。

Filecoinは、IPFSの仕組みをシェアリングエコノミー化して、持続化できるように暗号資産FILのインセンティブモデルを入れたものになります。より専門的に表現すると、IPFSの報酬レイヤーがFilecoinになります。

悪意のある商材業者は、FilecoinをNetflixやFacebookなどのテックジャイアントが採用していると宣伝をしますが、それは誤っています。採用しているのは、あくまでもFilecoinではなくIPFSです。

実際に、Filecoinの公式ドキュメント「IPFS and Filecoin」には「ユーザーはFilecoinとIPFSを一緒に使用する必要はありませんが、2つを組み合わせると、現在のWeb 2.0インフラストラクチャの重大な障害が解決されます。」とあり、IPFSを利用するにはFilecoinが必須ではないことが書かれています。

逆に、テックジャイアントがFilecoinを採用するのは今のところ合理性がありません。なぜならば予算を決めてシステムを運用する企業が、価格変動が激しいFILを確保するリスクや手間の方が大きいからです。また、カストディ規制にも影響され、業務が煩雑になります。

3.ローンチ時からマイニングのハードルが非常に高い

Filecoinでは、データを提供するノードとデータを検索するノードに対して、暗号資産のFILを提供する仕組みになっています。これらのノードを提供する人たちのことをマイナーと表現します。

マイナーという単語で最も有名なのはビットコインです。ビットコインは、ASICと呼ばれるプロセッサの機能を大量消費するため、大きな電力を消費します。一方で、Filecoinは多くのストレージ(多くの場合ハードディスク)と、通信回線の帯域を消費します。

データ保管の分散化を謳っているFilecoinですが、現実的にローンチ時からFILのマイニングには非常に高いハードルが課されています。

Filecoinのマイナー向けのドキュメントの「Hardware requirements」には、FILをマイングするためのハードウェア要件が記載されています。現時点のハードウェアの要件は以下のようになっています。

ハードウェア 要件
CPU 8コア以上のCPU
・Intel: SHA拡張に対応していること(Ice Lake以降)
・AMD: Zenアーキテクチャに対応していること
GPU NVIDIA製チップを搭載した強力なGPU(テスト済み製品一覧
RAM 128GB以上
SSD NVMeに対応した1TiB以上のSSD(キャッシュストレージ用)

パソコンに多少詳しい人であれば分かる通り、これを家庭で実現するのは非常に高いハードルがあります。また、インターネット回線が常時大量の通信を行うため、家庭でこの条件を満たす環境を構築すると通信過多でISPから回線利用を制限されるリスクがあり、現実的でありません。

このようなシステムはエンタープライズ向けサーバーのレベルで、1台200万円以上のコストがかかります。加えて、Filecoinがデータを保管するという特性上、常時稼働が求められます。仮に常時稼働ができないと、厳しいペナルティが発生します。

4.暗号通貨FILの価格は最初から期待できるものではない

Filecoinでは、利用者が暗号通貨のFILを利用することで、Filecoinの分散型ネットワークでデータの出し入れをすることができます。また、Filecoinのマイナーは、FILをデポジットすることでマイニングに参加することができます。

そのため、初期におけるFILの需要はマイナーに限定されることになります。なぜなら利用者はFilecoinを利用するのが面倒くさいからです。

個人の利用者の場合、Filecoinの競合は既存のクラウドストレージ(DropboxやiCloudなど)になります。既存のクラウドストレージでは、一定容量までが無料で提供されるのが普通で、動画や写真を大量保存しなければ、無料分でだいたい事足りてしまいます。

Filecoinの利用は、FILを支払うことが前提にになるため、すべてが有料であるといえます。個人であれば、大多数が多少の個人情報を犠牲にしてでも無料サービスを使いたいと思うため、個人の純粋なデータ保存のための需要は望めない可能性が高いです。

また企業では、何らかのサービスを利用するために必ず予算をとります。しかし、FILは価格変動をするため、企業は当初想定していた容量を使えなくなる可能性があります。この問題に対しては、FILの先物でヘッジするような方法が考えられますが、手間が増えるのは望ましくありません。

現状では、FILで直接支払うファイルストレージサービスはほとんどありません。既にあるサービスでは、業者がFilecoinを使ったサービスを構築し、ユーザーに代わってFILを代払いするような仕組みになっています。

上記より、Filecoinのメインネット立ち上げ時に、FILの実需による価格上昇を望むのは現実的ではありません。しかしながら、中央集権サービスに依存したくないDAppsとの相性は良いため、DAppsで生成されたデータの保存先にFilecoinが選ばれ、普及していくという未来は十分にありえることです。少なくとも、初期のFILの実需は限定的だということです。

5.マイニングによるFILの供給量が最も多い

しかし、FILを本格的な普及前に多く手に入れたいと思う方は一定数いることでしょう。

Filecoinでは、合計20億FILが発行されます。トークンセールで販売された2億FILが初期に発行され、残り18億FILが16年の歳月をかけて発行されていきます。

18億FILの発行は、以下のようになります。最も比率が多いのが、マイナーへの割当分になります。

FIL Coin Supply

FILの供給スケジュール

また、ある程度の初期投資家の売り圧を把握するために、参考までに初期投資化への配分スケジュールも記載します。トークンセールの割引率により、ロックアップ期間が半年から3年になります。

FIL初期投資化への配布スケジュール

FIL初期投資化への配布スケジュール

上記より、Filecoinマイニングがビットコインほど激化しない場合、初期段階においては少資本で最も多くのFILを得られる可能性があるのがマイニングになります。しかし、ビットコインと同様に、ストレージ容量の拡張戦争になるため、当初望んでいたマイニングパフォーマンスが出ない可能性がある点にも注意が必要です。

マイニングをするためには、現実的にマイニングサービスを活用することになります。自宅でのマイニングはほぼ不可能だからです。どのようなポイントでマイニング業者を選べばよいかは、以下の記事に記載しています。様々な点を総合して、より良いパフォーマンスをあげられるマイニング業者も選定しているため、併せてご覧ください。

▼詳細はこちら

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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