DFINITY(ICP)の概要
DFINITYは、「インターネットコンピューター」を掲げ、分散型のデータセンター基盤を1st Layerブロックチェーンを使って提供するプロジェクトです。トークンシンボルはICPになります。
DFINITYでは、AWSやGoogle Cloudのような、特定企業によるクラウドコンピューティングサービスの脱却を目指しています。DFNITYにより実現される”インターネットコンピューター”は、世界中の独立したデータセンターから提供される計算リソースをICP(Internet Computer Protocol)でまとめたものになります。
インターネットコンピューターを利用するサービス提供者は、基盤のリソース群を意識することなくアプリケーションを展開することができます。さらに、今までサービス提供者が考慮しなければならなかったロードバランシングやネットワークセキュリティ、ストレージ配分などがプロトコルにより自動的に提供されるため、サービス提供者はアプリケーションの開発に集中することができるようになります。また、ユーザーは従来のWebサービスとの違いを感じることなく、それらを利用することができます。
DFINITYは、ブロックチェーン業界で著名なベンチャーキャピタル(VC)から投資を受けており、主要な投資家としては、著名ブロックチェーンプロジェクトへの投資で最も有名なAndreessen Horowitz(a16z)、ブロックチェーン分野に特化したPolychain Capitalなどが名を連ねています。機関投資家の一覧は、Crunchbaseより確認することができます。
DFINITYのメインネットは2021年5月8日にリリースされました。
DFINITY(ICP)の特徴
止まらないアプリケーションサービスを提供することができる
DFINITYでは、インターネット上の任意の人がデータセンター基盤となるコンピューターを提供します。ICP(Internet Computer Protocol)によりコンピューターの計算リソースがまとめられ、”インターネットコンピューター”のネットワークを形成します。
DFINITYを使って何かしらのWebサービスを提供したい場合、サービス提供者はインターネットコンピューター上にアプリケーションをデプロイします。

DFINITYの概念
システム的な観点では、エンドユーザーにサービスを提供するのは、WebAssemblyのソースコードユニットであるキャニスター(canisters)になります。キャニスターは、WebAssemblyのバイトコードとメモリページで構成されています。サービス提供者は、必要に応じてキャニスターを複数収容することができます。
仮に、データセンター基盤のコンピューターが一部停止したとしても、ICPによりキャニスターの動作は維持されることになります。これにより、止まることがないクラウドコンピューティングサービスを実現することができます。
サービス提供者はアプリケーションレイヤーに集中できる
従来からのITシステムでWebサービスを構築する場合、アプリケーションレイヤーの他に、通信やセキュリティなどのさらに下のレイヤーについて考慮する必要があります。これらは、設備面などのコストの他に、それらを設定するための学習コストを引き上げる原因になります。
DFINITYでは、以下のようなシステム環境要素はプロトコルに内包されるため、サービス提供者はアプリケーションレイヤーに集中することができるようになります。
- 物理ネットワークまたは仮想ネットワークの構成要件
- ロードバランシング
- ファイアウォール、ネットワークトポロジ、またはポート管理
- データベースの構成と保守
- ストレージボリュームとデバイス
アプリケーション開発は3言語が対応
インターネットコンピューターでアプリケーション開発を行うための言語は、Candid, Rust, Motoko に対応しています。
Motokoは、インターネットコンピューター向けに最適化された独自のプログラミング言語です。async/await, randomness, time や date、浮動小数点などの慣れ親しまれた機能が搭載され、インターネットコンピュータの独自の機能に対応しています。Javascriptやその他の一般的な言語に精通している人にとっては分かりやすい言語とされています。
エンドユーザーはトークンを持つ必要がない
従来のブロックチェーンプラットフォームも、インターネットコンピューターのような性質を持ちます。しかし、プラットフォーム上に収容されたアプリケーションを実行するためにGASを支払う必要があります。そのため、GASの支払いがエンドユーザーのユーザエクスペリエンス(UX)を大きく下げる要因の一つになっています。
DFINITYでは、エンドユーザーはWebサービスを利用するためにインターネットコンピューター上に構築されたキャニスターにアクセスすることになります。キャニスターへのアクセスでは、GASは不要になるため、ユーザーは従来のWebサービスから大きな変化を感じることなく、コンテンツへのアクセスができるようになります。

ユーザーにUXを直接提供
DFINITYのICPトークン
トークン概要
DFINITYによるインターネットコンピューターの経済圏では、ICPトークンを利用します。ICPトークンは、計算とリソース消費のための”サイクル”に変換することができるトークンです。ネットワークがローンチ時に、 469,213,710 ICPが生成されます。
サイクルとは、各アプリケーションのWebAssembly命令を実行するコストを表した概念です。より詳しく書くと、物理ハードウェアやラックスペース、消費電力、ストレージや通信帯域など、インターネットプラットフォームに収容されているアプリケーションの実際の運用コストが反映されたものになります。
サービス提供者は、ICPトークンを入手し、キャニスターのアカウントでサイクルを補充することにより、キャニスターの動作を維持します。ICPトークンは、最終的にコンピューター所有者に対して支払い出されます。
また、DFINITYネットワークのガバナンスでもICPトークンを使用します。

ICPトークンの流通モデル
ICPトークンを扱っている取引所
2021年5月11日時点、ICPトークンを扱っている取引所は以下の通りになります。
- Binance(日本語可)
- Gate.io(日本語可)
- MXC(日本語可、MXCの解説ページ)
- CoinList(日本語不可、CoinListの解説ページ)
- FTX(日本語不可、FTXの解説ページ) ※先物のみ
DFINITYのユースケース
DFINITYは、既に複数のプロジェクトが走っています。代表的なものを紹介します。
- Fleek:Fleekは、WebサイトやWebアプリケーションをホスティングするフレームワークを提供しています。GitHub等のリポジトリ上にあるファイルを、IPFSやインターネットコンピューター上に展開することができるようになります。
- Tacen:Tacenは、インターネットコンピューター上に構築された分散型取引所(DEX)です。マッチングをインターネットコンピューター上のオフチェーン環境で行うことで、従来の中央集権型取引所と遜色ない速度(約5ミリ秒)でマッチングを行います。また、複数のチェーンに対応します。
- DfiStarter:DfiStarterは、DFINITYエコシステム上の最初のIDOプラットフォームです。単にIDOを提供するだけでなく、オフチェーンオラクル提供や、レンディング、DEXが提供されます。レンディングサービスには、DEXのLPトークンが担保として利用できるようになります。
@DFINITY $ICP ECOSYSTEM PROJECTS
The much-anticipated DFINITY Genesis launch is now planned for May 7th. That is why we decided to prepare a map of the Dfinity Ecosystem to familiarize our community with Dfinity Projects.
Data from: @realblockpunk pic.twitter.com/MExcnEgRqx
? CryptoDiffer (@CryptoDiffer) April 26, 2021