プロジェクト解説

BSC上の保険DeFi「Helmet.Insure」の解説

プロジェクト解説

Binance Smart Chain(以下、BSC)上では、様々なDeFiサービスが開発されており、現状の主戦場は分散型取引所(DEX)になっています。一方で、Helmet.Insure(以下、Helmetと表記)は分散型の保険でオプション取引のDeFiを提供しています。

この記事では、なかなか理解が難しい本分野についての解説を交えながら、Helmetについて紹介していきます。

前提知識

Helmetを理解するためには、前提としてオプション取引の知識が必要になります。オプションは、デリバティブ取引であり、資産の値動きに対する保険に相当します。

ここでは、株式のオプションを見ていきます。オプションには「コール」と「プット」があります。オプションを使うことにより、最大損失を限定することができるようになります。

  • コールオプション:コールオプションの保有者は、期日前に合意された価格で株式を購入できる権利を得ることができます。期日内に株価が合意された価格より上昇すると、コールオプション保有者は、現在の株価より安く購入することができるため、利益となります。逆に、合意された価格まで株価が上昇しない場合、損をすることになります。
  • プットオプション:プットオプションの保有者は、期日前に合意された価格で株式を売却できる権利を得ることができます。期日内に株価が合意された価格より下落すると、プットオプション保有者は、現在の株価より高く売却することができるため、利益となります。逆に、合意された価格まで株価が下落しない場合、コールオプションの保有者は損をすることになります。

合意された価格のことを専門用語で行使価格と呼びます。何れのオプションでも、期日が到来すると権利が失効することになります。

例えば、3ヶ月の期限で、行使価格が1,000円のコールオプションを購入したとします。これは、3ヶ月以内であれば、いつでも1,000円で株式を購入できるということを意味します。もし、株価が1,300円になった場合、オプション購入者は1,000円で株式を購入することができるため、差額の300円分が利益となります。正確には、オプションを購入するときの費用としてプレミアムを支払うことになるので、差額の300円分から、更にプレミアムや手数料を差し引いたものが利益となります。

Helmetの保険も、上記の考え方に基づいています。

Helmet.Insureの概要

Helmetは、暗号資産の価格に対する保険のDeFiプロトコルです。Binance Smart Chain(以下、BSC)で構築され、BSC上の暗号資産の価格ヘッジを目的としています。

Helmetで扱える保険には、「Cover 50% Off」「Cover Miss Out」があります。何れも、特定期間における特定の暗号資産の価格変動による最大損失を限定することができるようになります。

  • Cover 50% Off:契約時の資産価格の半分をリスクヘッジする保険。保険の権利を行使した場合に、行使価格(=契約時の半値)で暗号資産を購入できる。
  • Cover Miss Out:契約時の資産価格の2倍をリスクヘッジする保険。保険の権利を行使した場合に、行使価格(=契約時の2倍)で暗号資産を購入できる。

Helmetのサービスの主軸は、上記の保険になります。保険は、今後別のラインナップも追加される予定です。

また、Helmetでは上記の他にもHELMETトークンを得るためのイールドファーミングや、期限切れのオプションの権利を別のトークンにして再活用できる仕組み、さらにIIOと呼ばれるHelmet独自のトークンセールがあります。加えて、貴重なNFTを得られるNFTガチャ機能が提供されています。

Helmet.Insureの特徴

暗号資産の価格変動リスクをヘッジできる

Helmetを使うことで、特定の暗号資産の価格変動リスクをヘッジすることができます。以下の「Cover 50% Off」「Cover Miss Out」の保険を使うことで、オプションのように損失を限定することができるようになります。以下の文脈における”プレミアム”とは、保険のために支払う費用になります。

「Cover 50% Off」の保険例:

『今は、1 HELMET = 5.0 BNB だが、今後の暴落が怖い。そのため、プレミアムとして0.1 BNBを費やして「Cover 50% Off」を購入した(行使価格は、2.5 BNB)。その後、期限内に1 HELMET = 1.0 BNBまで暴落したが、保険をかけたおかげで、損失を1 HELMET = 2.5 BNBに限定できた。』

保険なしの損失は4.0 BNB(5.0 BNB – 1.0 BNB)だが、保険ありだと2.5 BNB(5.0 BNB – 2.5 BNB)で済んだ。

「Cover Miss Out」の保険例:

『今は、1 HELMET = 1.0 BNB だが、価格が爆上げしそう。でも、極端な高値づかみはしたくない。そのため、プレミアムとして0.1 BNBを費やして「Cover Miss Out」を購入した(行使価格は、2.0 BNB)。その後、期限内に1 HELMET = 3.0 BNBまで暴騰したが、保険をかけたおかげで、1 HELMET = 2.0 BNBで購入することができた。』

保険なしだと3.0 BNBで購入しなければいけなかったが、保険ありだと2.0 BNBで購入することができた(1.0 BNB分得した)。

誰でも保険を販売することができる

Helmet.Insureの仕組み

Helmetでは、従来のように保険会社が保険の販売を行っているわけではなく、誰でも保険を販売することができます。

Helmetのエコシステムにおいて、保険契約者のことをPolicy Holder、保険提供者のことをPolicy Supplierといいます。Policy Supplierは、保険タイプ(Cover 50% Off または Cover Miss Out)を選択し、プレミアムの価格を決定します。そして、原資産をスマートコントラクト上に預けることによって、保険を売り出すことができます。もし、Policy Holderが保険の権利を行使すると、スマートコントラクト上の資産が利用されます。保険の権利が行使されない場合、Policy Holderが支払ったプレミアムがPolicy Supplierの収入になります。

また、Policy Supplierになった人は、Helmetエコシステムにおいて優遇されることになります。保険を販売した際、Policy SupplierはLONGトークンとSHORTトークンを獲得します。Policy SupplierはSHORTトークンをステーキングすることにより、HELMETトークンを獲得することができます。

期限切れになった保険を活用できる

Helmet.Insureの燃焼箱

Helmetで保険を買う保険契約者(Policy Holder)は、保険提供者(Policy Supplier)から保険購入時にLONGトークンを受け取ります。しかし、Policy Holderは、必ずしも期限内に保険の権利を行使するわけではありません。つまり、LONGトークンは期限切れになる場合があります。

従来のオプションでは、購入したオプションは期限が切れるとそのまま無価値になっていました。しかし、Helmetは違います。Helmetでは燃焼箱(Burning Box)という機能が用意されており、燃焼箱に期限切れになったLONGトークンを送ってバーンをすると、コールオプションのhトークン(例:hDODO)を獲得することができるようになります。

マイニング期間が短期に設定された短期採掘(Flash Mining)や、後述するマイニング(Mining)を利用することにより、hトークンを使って新たなトークンを獲得することができるようになっています。

HELMETトークンのマイニングができる

Helmet.Insureのマイニング

ここまで書いてきたように、Helmetは理解が難しめのプロジェクトになります。しかし、Helmetに未来を感じる場合、簡単にHELMETトークンをイールドファーミングによって獲得することができます。Helmetでは、この機能をマイニングと表現しています。

Helmetのマイニングは、HELMETトークンがペアとなったDEX(PancakeSwap, MDEX, BurgerSwap等)のLPトークンをステーキングすることにより、HELMETトークンを獲得することができるようになります。また、単体でHELMETトークンをステーキングしてもHELMETトークンを得ることができます。

オプションを使ったトークンセール「IIO」がある

Helmet.InsureのIIO

Helmetでは、オプションを使ったトークンセールIIO(Initinal Insurance Offering)を提供しています。そのため、一般的なトークンセールにおける資金とトークンとの直接交換を行いません。

IIOでは、ユーザーは新規上場プロジェクトのiトークン(例:iBLACK)を入手し、それをセール後にアクティブ化することで、プロジェクトのトークンを手に入れることができます。アクティブ化には、BUSDまたはBNBが必要になります。IIOの参加手順は、具体的に以下のようになります。

  1. PancakeSwapで、HELMET/BNBの流動性を供給し、HELMET-BNB LPTを手に入れる。
  2. HELMET-BNB LPTを、Helmetプラットフォームの「マイニング」でステーキングする。
  3. IIO期間中における、ステーキング数量と時間の長さにより、iトークンを入手することができる。iトークンの入手数量で、実際に自分が入手することが新規プロジェクトのトークンの割合が決定する(また、同時にHELMET、CAKEトークンが入手できる)。
  4. IIO後に、BNBやBUSDを使い、iトークンをアクティベートして新規プロジェクトのトークンを入手する。

貴重なNFTが得られる

Helmet.InsureのNFTガチャ

Helmetには、ピクセルパズル(PixelPuzzle)と呼ばれるNFTガチャのゲームが用意されています。NFTガチャの第1段はFight for Dora(2021年5月8日から15日開催)になります。HELMETトークンを支払ってDoraマジックカードを獲得していき、その後のプールに溜まったHELMETトークンを獲得することができる、大当たりを引き当てることができます。

しかし、NFTガチャは単なる始まりにしか過ぎず、その後はERC-1155およびERC-20と互換性のあるNFT AMMが提供されます。さらに、IIOとPixelPuzzleのブリッジが提供され、オプションの仕組みを使用したNFTのオークションプラットフォームが誕生する予定になっています。

Helmet.Insure の今後

Helmetでは、今後もサービスの展開を予定しています。展開予定は、To-do listに公開されており、2021年5月18日時点で以下の追加を予定しています。

  • Binance Smart Chainで発行されている10以上の資産の価格補償を提供
  • 既存の保険に加え、Cover Credit, Cover Issue Priceなどの保険を追加
  • 新規保険の募集機能を公開し、欧州式オプションのロジックで新しい資産をリリース
  • BSCの文化を反映したNFTゲーム「Pixel Puzzle」を提供
  • ガバナンスシステムとオンラインボーナス機能を備えたV1.5プロトコルを公開
  • V2プロトコルを公開し、Vault保険提供とDEXを使った保険取引に対応
  • デノミ資産の貸し出しシステムやスプレッド取引の保険を含む派生プロトコルの構築
  • 永久保険とデリバティブ保険のリリース

HELMETトークン

HELMETトークンの説明

HELMETトークンは、Helmet.Insureのガバナンストークンとして機能します。HELMET保有者は、Helmetエコシステムで以下の特典を享受することができます。

  • 支払い通貨としてHelmet上の保険購入に利用できる
  • 保険契約をマイングするため
  • コミュニティガバナンスと投票への参加
  • コミッションの配当の受け取り

HELMETは、最大1億枚が発行されます。そのうち、50%は最初の1年で配布され、内訳は以下の通りとなります。

  • 10.0%(1000万HELMET):IFOの売出し用
  • 27.5%(2750万HELMET):Helmetコミュニティメンバーへの配布
    • うち30%:ポリシーマイニング
    • うち50%:LPTマイニング
    • うち20%:ガバナンス提案や投票の報酬
  • 5.0%(500万HELMET):開発者資金としてのファームされ予約された資金
  • 7.5%(750万HELMET):エコロジー構築パートナー向け

HELMETトークンの取扱い取引所

Helmet.Insure 公式情報

この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTオーナー。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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TOKEN ECONOMIST(トークンエコノミスト)
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