コラム

新しいデジタルデータの形 – NFTのこれまでとこれから

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前書き

Hello token economy! 初めまして、濱口幹久です。

今回は最近のNFTアートの盛り上がりを見て、NFTに興味を持った方向けに、NFTとは何か、NFTのここまでの流れ、NFTマーケットプレイス一覧、NFTの今後について筆者の意見を書いていきます。

NFTについて正しい見方と、正しい知識を持ってこの新しい時代の幕開けへの一歩の手助けになれば幸いです。

NFTとは

NFTとは、Non-Fungible-Tokenの略で、直訳すると代替不可能なトークンです。NFTの技術を使うことで、デジタルデータを区別することができます。つまり「A + B = A + B」のように、分解できずに一つ一つが区別できるものです。身近なものに例えると、中古車、人間、人の持ち物等があげられます。

最近、NFTが注目されていて、特にアートに活用したNFTが注目されています。しかし、一つ一つを区別することができる概念は、アートに限らず現実世界で日常的に使われているものです。NFTは非常に広い概念であり、汎用性が非常に高いことを理解すると、ビジネスチャンスが生まれるかもしれません。

前提知識として、NFTの対義語としてFTがあります。FTとはFungible-Tokenの略で、直訳すると代替可能なトークンです。FTは「1 + 1 = 2」のように、一つ一つが区別できないものです。身近なものに例えると、通貨やまだ所有者が決まっていない新品のものがあげられます。今あなたの財布に入ってる千円札と、隣の人の財布に入っている千円札は見分けをつけることはできません。全ての価値が平等であるもの、これがFTです。

今回の記事では、理解をしやすくするためにNFTアートに焦点を当てていきます。

NFTのこれまでと2つの見方

最近のNFTを盛り上がりをみて、この分野に入ってきた方は少なくないことでしょう。

NFTについて、過剰な盛り上がりと考える見方と、確実な進歩であるという見方、この二つの観点からNFTを見ていきます。それぞれの注意点、最近の問題点、を筆者なりの意見を述べていきます。

過剰な盛り上がりと考える見方

大手メディアのThe Blockは、4月2日にNFTに関する調査結果を出しました。「主にNFT分野を牽引しているのはNBA Top ShotとCryptopunksであり、NFT分野は衰退傾向にあるのではないか?」という見方です。

次に一般的な認知度を測るために、Googleトレンドのデータを見てみます。直近1年のNFTに関するデータを見てみると、世界的には2021年の1月末からじわじわと上がり始めました。日本では2月の後半から上がり始め、日本も世界も3月7日をピークとして検索が高まり、そこから徐々に減少しています。

Googleトレンド - NFT(世界)

Googleトレンド – NFT(世界)

Googleトレンド - NFT(日本)

Googleトレンド – NFT(日本)

世界的にNFTの認知度を高まったのは、Twitter創業者のジャック・ドーシー氏の初めてのツイートが2021年の3月5日に291万5835ドル(約3億1640万円)で売れたことだと推測されます。また、日本で盛り上がり出したのは、3月25日にVRアーティストのせきぐちあいみさんのNFTが1300万円で販売されたことだと思われます。ここで浮かび上がる注意点は、」NFTに関して大きな事例が出てはいるが、NFT分野自体の盛り上がりはそこまでではないか?」という見方です。

次に重要な点として、「何円で売れたのか?」ではなく「何ETHで売れたのか?」ということです。基本的にニュースで報道される金額は、当時のETHを円換算したものです。前提としてETHの価格変動は非常に激しいです。現在は1ETH 40万円もの価値がありますが、1年前は約2万円です。この変動を理解するかどうかで、今後のニュースの見方が変わってくることでしょう。

これまでを踏まえた上で、新たな表現方法として、ビジネスとして、成功した事例を紹介します。NFTの重要な事例として、HashMaskとNBA Top Shotを取り上げていきます。

HashMasks

HashMasks

HashMasksは、異なるアーティスト作成した様々なパーツで構成するアートをNFTで販売するプラットフォームです。NFTの販売は、2021年1月28日に開始されました。

特徴として、独特のテイストとすべてのHashMaskで一つのデータとして構成されている点、NFT保有者は絵画に対する全ての権利が譲渡されている点(コピー品も作成可能)などがあります。

HashMasksは、希少性を最も表す命名権をNFTの保有者に委ねています。アートは16,384個のHashMaskで構成されており、全てのHashMaskに固有の名前を付けることができます。全てのHashMaskに名前が刻まれた時、アートが完成することになります!

NFT保有者は単なる保有者ではなく、芸術作品の作成者の一人として、HashMaskに命名を行います。この命名権こそがHashMasksの最大の特徴と言えます。

命名権を行使する際に必要なものが NCT (Name Changing Token) です。これは、その名の通り名前を変更するためのFTです。HashMaskには、毎日10NCTが蓄積されます。NFT保有者のみが溜まったNCTを引き出すことができます。1,830 NCT、つまり183日分のNCTを使用することで、HashMaskの名前を変更することができます。これは、まさに「画竜点睛権」といっても過言ではないでしょう。

このNCTは取引が可能で、いますぐ名前を変更する場合は、他のNCT保有者から買うしかありません。2021年4月25日時点のNCT取引価格は約0.06ドルです。一日あたり約60円の収入が入ってくる変わったアートです。NCTは、2031年1月26日にすべてが発行され、1日ごとにバーンされていきます。NCTの全てがバーンされた時に、アートが完成するというコンセプトです。まさにプログラマブルなアートと言えます。

NBA Top Shot

NBA Top Shot

 

NBA Top Shotとは、ブロックチェーンのFlowを基盤としたサービスです。NBAのトップ選手による華麗なゴールシーンを切り取ってNFT化しています。NFTはパックで販売されており、何が出てくるかはわかりません。このパックを買うために世界中の人が毎回列をなします。

NBA Top ShotのNFTは、高額転売されています。その理由は、単純にクオリティが高いのと、NBAというブランドにあります。一つ一つのデータにシリアル番号が付与されており、それぞれを区別することができます。シリアル番号が選手の背番号になると、より高値で取引されます。NFTの購入者には、単純にNBAが好きな人もいますが、投資目的で購入する人も少なくありません。

ここまでで、NBA Top Shotのイメージがつかない人は、インターネット上でハイクオリティなプロ野球チップスを買っていると思っても問題ありません。

このNBA Top Shotの高額転売がきっかけに、「NFT=投資」のイメージがついたのではないかと、筆者は推測しています。

NFTは確実に進歩したという見方

今回のNFTブームの大きな要素は、ブロックチェーン関係者ではない層に注目されている点です。著名クリエイター、アーティストがNFTを認知した点があります。日本だと、せきぐちあいみさんや村上隆さん(販売は中止になりました)、世界的にはEminemやBeepleなどです。

NFTがここまで社会的なインパクトを与えたことは確実な進歩といえます。

世界では、Flowを開発しているDapperLabsが3億5000万ドル資金調達し、Animocaが開発しているピクセルアートのメタバースのSandboxの開発が進むなど、NFTはまだまだ盛り上がりを見せています。日本では、NFT化された写真展や、Crypto Art Fesが行われるなど、NFTは社会に浸透した観点から見ると、確実に進歩したと言えます。

しかし、進歩している一方で、流行っているアート分野に活用するNFTにはいくつか問題点があります。一つ目は画像データの永続性、二つ目がよいアートが埋もれる点です。

まず、正しい認識を合わせるために、一般的なNFTアートの構造を説明します。

第一にNFTと画像データは別物です。コピーができないのは、画像データに紐づいているNFTです。画像データは、スクリーンショットを取得したり、「名前を付けて保存」でコピーすることができます。NFTは偽物と本物を区別できるが、偽物を防止する技術ではないということです。この理解が厳密には正しいです。

ここから、NFTの問題点を見ていきます。

一つ目の問題は、画像データの永続性です。NFTはブロックチェーンが存続する限り永続します。つまり、止まってしまうブロックチェーンで発行するとNFTが消滅する可能性があるということです。さらに、画像データは別のサーバーで管理されていることが多いため、NFTは存続しても、IPFSのリンク切れなどにより、元の画像データが見られなくなる可能性があります。これが画像データの永続性問題です。どのチェーンを使ってNFTを発行するか、画像データをどこに保管するか、この2点はNFTアートを購入、作成する上で注意すべき要素になります。Check My NFTからNFTの画像データがどこに記録されているか確認することができます。

二つ目の問題は、良いアートが埋もれることです。この後、NFTマーケットプレイスをご紹介します。一度NFTマーケットプレイスにアクセスするとわかりますが、NFTの量は非常に多く、自分の好きなNFTを見つけることは至難の技です。誰もが発行できる環境にあるため、玉石混合の状態になっています。ブランド力のない人がNFTを発行したとしても、埋もれてしまう可能性が高くなります。

NFTのこれから

最も活用が進んでいるクリエイターがNFTを活用することに対して、筆者の考えを述べていきます。

筆者は、今後のNFTアートの流れは「作成→販売→独自店舗→工夫→活用」という流れになっていき、現在は作成と販売の段階だと考えています。

次の進化は、クリエイターが独自店舗を構え、自分のNFTアートを売っていくことになり、その後はエンジニアとクリエイターがコラボをして、HashMasksのように工夫がなされたNFTが増えていくと考えています。さらに先は、それぞれのNFTがサービスの枠組みを超えて、バーチャルチケット、現実の招待券、購入権利、ゲームへの参戦、など様々な活用がなされていくと予想しています。

また、NFTに関してよく議論に上がるのが「単なるNFT化に意味はあるのか?」ということです。私はこの議論に関して、はっきりと意味があると答えます。なぜなら、クリエイターが仲介者を通さず、世界に対して、通貨の制約を受けずに販売をすることが可能になったからです。

さらに、NFTの売り上げは全てブロックチェーン上に記録され、改竄ができなくなります(厳密には改竄検知ですが、わかりやすくするためできないとしています)。NFT化して販売することで仲介者を使わずに、クリエイター自身が客観的な売り上げデータを作成することができます。これはクリエイターの信用につながり、信用力を担保に資金を借りることが可能になる未来がきっと来ることでしょう。

そして、 NFTの購入者を追跡することができるので、転売額の何%かを製作者に還元することも、ツールによっては可能です。ユーザーも素晴らしい絵に対して、購入プロセスが簡略され、互いに信頼がなくとも、一つずつ絵を売ることができます。

このように、NFTの可能性を述べてきましたが、そもそもクリエイターが稼ぐ手段は様々あり、NFTが既存の方法と比べて優れているかは、慎重に判断する必要があります。現在、高額取引がされている事例は有名なアーティストが多く、Ethereumメインネットで発行した際は、GAS代を回収できずに赤字になる可能性があります。そのため、既存の収益方法と比較衡量する必要があります。NFTは、あくまでも収益化手段の一つとして考える必要があります。大事な観点として、価値あるものがNFTになることで売れるということです。価値がないものをNFTにしても価値は付きにくいという観点は必ず必要になってきます。

筆者は、単なるNFT化でも意味があるものだと考えていますが、NFTを最大限に活用するためには付加価値をつけることが非常に重要になってきます。NFTの保有者は特定する(個人ではなくアドレスです)ことができるので、過去に遡って購入者に対して付加価値を与えることができます。

例:NFTがバーチャル握手会のサイン券になる

そして、NFTの保有者のみが閲覧できるURLを簡単に作成することができるので、キャラクターの絵をNFT化し、NFT保有者しかそのキャラクターの小説を読めないという特典を付けることができます。例えば、アイドルマスターのキャラクターのNFTを持っていると、そのキャラクターのアナザーストーリーを見られたり、限定グッズを買う権利として使うといったことが考えられます。

ブロックチェーンを使うことにより、NFTの保有者かそうでないかを判別することができるので、NFT作成者はその特性を利用して付加価値の向上に繋げていくと、NFTは一過性のブームではなくなるはずです。

これらのNFTを作成するためのツールはChocomintMintgateなどがあるので、気になる方はサイトを訪問してみると良いでしょう。

NFTマーケットプレイス一覧

現在は、NFTを作成販売することが、NFT活用の主になっており、そのために利用されるのがNFTマーケットプレイスになります。今回はブロックチェーンの種類に関係なく、NFTを作って販売できるNFTマーケットプレイスの一覧を紹介します。

NFTマーケットプレイスを選ぶ際は、ブロックチェーンの永続性、手数料の安さ、画像データの保管の仕方、市場規模などを総合的に判断する必要があります。

名前 対応チェーン
Rarible Ethereum
OpeanSea Ethereum, Polygon (旧Matic)
nanakusa ETH, Polygon
Arkane Ethereum, Polygon
Unifty xDAI, BSC, Polygon, BSC, Celo, Rinkeby
Chocomint Polygon, Ethereum, BSC, Rinkeby
Eporio xDAI
Foundation Ethereum
SuperRare Ethereum
Zora Ethereum
NFT Showroom Hive
mochimarket Plasm
metamarket Solana
Solible Solana
VIV3 Flow
async Ethereum
チョコモナカ Mona
ImmtableX ImmutableX
YLB Collect(開発中) LINE Blockchain
Unique.One Ethereum, BSC, xDAI
Nifty Gateway Ethereum

 

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この記事を書いた人

Hello, token economy.

JPYC株式会社でブロックチェーンリサーチャーとして働いています。

個人では濱口幹久感謝トークンを発行しており、感謝配りお兄さんとして感謝を配っています。Token economyを社会実装するべく、精進いたします。

専門はxDAIとPolygonのアプリです。

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TOKEN ECONOMIST(トークンエコノミスト)
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