プロジェクト解説

Vega(VEGA)の概要と解説

プロジェクト解説
スポンサーリンク

Vegaの概要

Vega(ベガ)は、分散型ネットワークとして構築されたデリバティブ取引に特化したブロックチェーンです。Vegaを利用する誰もが商品や市場をつくり、流動性提供者やマーケットメーカーとなり、取引を行うことができるようになっています。

Vegaが目指しているのは、快適なトレード環境の提供はもちろんのこと、従来の取引サービスに存在する不公正さの解消です。

前者を実現するために、VegaではCosmosでもよく知られたTendermintをコンセンサスレイヤーに採用しています。また、将来にさらなるスケール拡大ができるように、柔軟にコンセンサスレイヤーを入れ替えられる設計になっています。

また、後者においてVagaが重きを置いているのがフロントランニングの解消になります。フロントランニングは、イーサリアムを使ったDeFiですら依然として解決できないままになっています。Vegaでは、ノードが意図的に取引を優先処理することができない仕組みを入れることによりこの問題を解消します。

初期のVegaでは、BTC, ETH及びERC20トークンが、Vega上のアプリケーションで取り扱うことができる資産になり、ガバナンスによって拡張されていきます。

Vegaの特徴

※以降の説明において、”Vega”はVegaプロジェクトもしくはチェーン、”VEGA”はVegaのトークンを指します。

誰でもデリバティブ市場を作成&参加できる

Vegaでは、誰もが商品や市場を作る側や、流動性提供者やマーケットメーカーになることができます。もちろん、取引に参加するユーザー側になることもできます。これらが実現できるのは、APIにより簡単な技術統合ができ、最初からデリバティブのために必要なあらゆる要素が組み込まれているためです。

Vegaにより構築されたデリバティブマーケットの一例

Vegaにより構築されたデリバティブマーケットの一例(AAPL先物)

Vegaのシステムを実現するのが、コンセンサスレイヤー(Consensus Layer)とVegaプロトコルエンジン(Vega Protocol Engine)、そしてデータストアとAPIです。注文は、コンセンサスによって優先順位が決められ、その後Vegaプロトコルエンジンに渡されて処理されます。このエンジンでは、マッチングやポジションのリスク評価、担保や清算処理などを行います。処理結果はデータストアに保存され、APIを通じてユーザー側に反映されるようになります。

Vegaにおけるデータフロー

Vegaにおけるデータフロー(引用元: Vega Protocol Whitepaper

公正なトレード環境を提供する

現状のトレード環境は公正ではありません。中央集権取型の環境はもちろんのこと、分散型の環境も該当します。特にVegaが問題視しているのは、フロントランニング*1の問題です。

従来の中央集権型のトレード環境では、取引所のサーバーに近い環境に自身のサーバーを設置するコロケーションサービスを使うことにより、他のユーザーより先回りして売買することができます。一方で、分散型環境でも依然としてフロントランニングは存在しています。例えば、イーサリアムのDeFiでは、GASを高く設定することによって、他のユーザーより先に売買を成立させることができるようになります。

*1 フロントランニングとは、顧客(投資家)からの注文を受けた金融商品取引業者が、顧客の売買を成立させる前に、先に自らの売買を顧客の注文より有利な価格で成立させる行為を指します。

Vegaでは、フロントランニングに対処するため、Wendyプロトコルを開発しました。Wendyでは、注文が入った順番に取引が処理されるようになります。バリデーターが意図的に取引の順番を変更できないようにするために、取引がバリデーターによって処理されている間は暗号化され、ある取引が他の取引に反応できないようになります。

また、Vegaではすべての市場の透明性を確保します。従来の取引では有料だったリアルタイムの市場データを無料で開放し、少額からのユーザーにも大口と同等の情報アクセスを提供します。

様々な資産を効率的に扱うことができる

Vegaでは、様々な資産を効率的に扱うことができるようになっています。初期は、BTC, ETH及びERC20トークンに対応します。また、チェーンの追加はガバナンスにより決定されます。

しかし、Vegaブロックチェーンでは他のチェーンから資産をブリッジして持ってきたり、チェーン上で直接トークンを発行できないようになっています。これは、Vegaが高性能の取引と決済を行うために、ユーザーの残高をデータストア上で管理するという方針を採っているためです。Vegaブロックチェーン自体は、ネットワークに預けられた資産の残高を管理し、データストアの情報に基づいてユーザーが資産を引き出せるようになります。

Vegaにおける担保資産の出し入れの例

Vegaにおける担保資産の出し入れの例

VEGAトークン

VEGAトークン概要

Vegaでは、ネットワーク上でVEGAトークンを利用します。VEGAトークンの役割は、以下の通りです。

  • 新しい市場のための承認
  • ネットワークのガバナンス
  • ステーキングのバリデーター

VEGAトークン保有者は、新しい市場やプロトコルのパラメーター調整などを投票により決定することになります。そして、Vegaが他のブロックチェーンプロジェクトと異なるところは、ガバナンスがトークン保有者だけで決まらない点です。Vegaでは、流動性提供者をネットワークへの重要な参加者と位置づけており、ガバナンスはトークン保有者と流動性提供者の二院制になります。

また、バリデーターはVEGAトークンをステーキングし、Vegaのノードとブリッジするブロックチェーンのフルノードを動かすことで、コンセンサスに参加することができます。VEGAトークン保有者は、バリデーターにVEGAを委任することができます。ネットワークから発生する手数料は、最終的にバリデータと委任者、流動性提供者で分配されます。

トークン配布

VEGAトークンの総発行数は、64,999,723 VEGAになります。配布の内訳は、コミュニティ、初期投資家、チームやトークンセールに区分されます。初期投資家とチームのトークンはすべてロックアップの対象になり、初期投資家のトークンはトークンセールの2021年9月より、チーム分は2022年から徐々にロックアップ解除が行われていきます。

トークンセールに残ったトークンは、コミュニティへの報奨金や将来の資金調達に充てられます。また、コミュニティ向けには更に別途内訳が定められています。

VEGAトークンの配布内訳

VEGAトークンの配布内訳

取引所

2021年5月24日現在、VEGAトークンを扱う取引所は存在していません。6月2, 3日にCoinListでIEOが行われる予定です。

Vegaに関する情報

スポンサーリンク
この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

Junya Katoをフォローする
TOKEN ECONOMIST(トークンエコノミスト)
タイトルとURLをコピーしました