プロジェクト解説

DAO運営を簡単に実現できる「Aragon」の解説

プロジェクト解説
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SushiSwap, Curve Financeなど、主要なEthereumプロジェクトを統治する新しい組織形態のDAOを最近よく耳にするようになりました。今回の記事は改めてDAOとは何か、DAOを作成するツールのAragonは既存の組織のどのような問題を解決できるかを解説します。

Aragonの概要

AragonとはEthereum上でDAO(詳しくは「DAOとは」で後述)を作成するアプリケーションです。DAOでガバナンストークンを発行し、それを使って意思決定することができます。Aragonは、透明性が必要な意思決定や、場所に捕われないコラボレーション、透明性のある資金管理を行いたい場合に力を発揮します。

現在、Aragonは、Ethereum上でメインネットとRinkebyテストネットで動いており、メインネットはサイドチェーンのxDAIにも対応しています。

参考URL:

既に有名なプロジェクトがAragonを利用しており、Aave, Curve Finance, Decentraland, mStable, Zoraなどが採用しています。詳しくは、Aragonで作成されている組織一覧から確認することができます。また、2021年5月8日に、日本のバレエヴォーカルユニットのPOiNTが、Aragonを使ってDAOを組成したことでも話題になりました。

DAOとは

Aragonの本格的な説明に入る前に、前提知識として「DAO」を理解する必要があります。

DAOとは、Decentralized Autonomous Organizationの略で、日本語で自律分散型組織を意味します。DAOには経営者が存在せず、労働者のみが存在し、意思決定はプログラムによって決定されます。

最近では、DAOの形態で運営するプロジェクトがガバナンストークンを発行し、そのガバナンストークンで意思決定を行うことが増えています。ガバナンストークンは、プロジェクトによって様々な使いみちがありますが、基本的には議決権のみになり、配当権はありません。つまり、株式に近いものになります。

最古のDAOはビットコインと言われています。ビットコインには経営者が存在せず、開発者とインフラを支えるマイナー、そしてBTCの保有者のみが存在しています。改善案などは全てガバナンスで決定されています。

Aragonの詳細

Aragonには、現在3つのプロジェクトがあります。

  • Aragon Client
  • Aragon Govern(近日公開)
  • Vocdoni

今回は、上記のうち最も一般的なAragon Clientで実際にDAOを作成し、作成したDAOで何ができるのかを解説します。

Aragon Clientで作ったDAOでできること

Aragon Clientでは、6つのテンプレートが用意されています。今回は、株式会社に最も近いテンプレートである「Company」を中心に解説していきます。

Companyでは、発行したトークンを議決権として投票を行うことができます。これにより、改ざんされない投票と決議を行うことができます。さらに、どのトークン保有者がどれに投票したのかが開示されるようになっています。そのため、透明性のある意思決定を実現することができます。

Commanyでできることは、主に3つになります。

  • トークンの発行と消却(株式発行に相当)
  • トークンを使った投票(Yes or No)
  • トークンの寄付と管理

特筆すべきは、ERC20トークンであれば、DAOに送金して、管理することができるということです。入金は簡単に誰でも行うことができます。しかし、出金にはDAOの意思決定が必要になります。

例えば、DAOをxDAIチェーン上で作成し、JPYCを寄付で集めます。集まったJPYCの使い道をDAOで意識決定し決めることで、JPYCを出金することができるようになります。別の例として、開発者DAOを作り、出金先を自分のアドレスに指定し、その際にGithubで自分が書いたソースコードを添付します。他のエンジニアがそのソースコードを評価し、このクオリティでこの金額は容認できると一定数の評価を得た場合、意思決定を行い出金することができます。

Aragon Clientを使うメリット

Aragonを使うメリットは様々ありますが、主なものは以下の3つになります。

透明性のある意思決定ができる

公益財団法人、NPO法人などで内部統制が強化されます。代表者や運営者を信頼する必要がなくなり、既存の組織よりも、関係者にとって公平な組織運営が可能になります。決議の不正が困難になります。

決議を通した資金管理ができる

組織の内部統制が強化されます。組織の資金を出す際は組織の意思決定が不可欠になるため、説明責任が重要視されます。出金には意思決定が必要なため、既存の組織で発生していた不透明な資金の流れを防止しやすくなります。

ブロックチェーンによって裏打ちされた組織組成ができる

通常の株式会社のような手続きが必要なくなり、組織組成の費用を低く抑えることができます。株主総会が効率化し、かかる費用が削減されます。また、株主名簿が必要なくなります。議決権の行使が透明化され、改ざん耐性を持つため、決議の信頼性が高くなります。

以上のように、組織の仕組みをしっかりと作ることができれば、透明性があり、既存組織よりも強力な資金管理ができ、低コストで、組織運営することができるようになります。さらに、暗号資産を受け取ることができるので、世界中から出資や寄付を募ることができます。また、xDAIチェーン上でDAOを作成すれば、すべてに関わる手数料が0.01円以下で済むようになります。

Aragon Clientを使ったDAOの運用例

今回は、Rinkebyテストネットを使ったDAOの作成例を紹介します。

用意するもの

  • MetaMask
  • RinkebyのETH
  • Rinkebyのトークン
  • 3人程度の人(もしくは3つのアカウント)

DAOの作成

まず、Aragon Clientのページにアクセスします。

MetaMaskを接続し、Rinkebyテストネットに切り替えます。

Aragon ClientにおけるDAO作成1

続いて「Create an organization」をクリックし、DAOの作成を開始します。

Aragon ClientにおけるDAO作成2

6つのテンプレートが表示されます。今回は「Company」を選択します。

Aragon ClientにおけるDAO作成3

「Use this template」をクリックします。

Aragon ClientにおけるDAO作成4

DAOの名前を決めます。これがDAOのURLになるので、DAOの作成後はこのURLを利用することになります。

Aragon ClientにおけるDAO作成5

続いて、議決権の割合、決議に最低必要な得票率、投票期間などを決定します。最低得票率を10%と記載した場合、総発行量100の場合、最低10%の賛成が必要になります。

Aragon ClientにおけるDAO作成6

ガバナンストークンの名前と初期割り当てを決定します。

Aragon ClientにおけるDAO作成7

確認画面が表示されます。

Aragon ClientにおけるDAO作成8

Aragon ClientにおけるDAO作成9

これでDAOの作成は完了です。

DAOの資金管理(入金、投票による出金)

先程の手順で作成したDAOを使うことで、以下のような様々なことができます。

  • 意思決定
  • トークン発行、バーン
  • 資金管理 など

以上の機能から、資金管理を説明します。

入金する場合

資金管理では、ERC20トークンを入金し、出金の承認をDAOの意思決定で行うことができます。例えば、寄付団体をAragonで作成し、寄付先をDAOのトークンで決めることが可能になります。

まず、「Finance」→「New transfer」をクリックします。

Aragon Clientにおける資金管理1

入金するトークンを選択します。ERC20トークンであれば、全て対応しています。ここに載っていないトークンの場合は「Other」を選択し、トークンのコントラクトアドレスを入力します。

Aragon Clientにおける資金管理2

入金は、誰の許可も必要なく行うことができます。

Aragon Clientにおける資金管理3

出金する場合

「Withdrawal」をクリックし、送金先と数量を入力します。

Aragon Clientにおける資金管理4

出金の場合は、DAOの意思決定が必要になります。「Voting」をクリックして投票を選びます。

Aragon Clientにおける資金管理5

投票します。

Aragon Clientにおける資金管理6

これで出金できました!!

Aragon Clientにおける資金管理7

このように、資金管理と意思決定を行うことができます。

筆者の見解

今回はDAOと DAOを作成するツールのAragonを解説しました。

DAOは、新しい組織形態です。筆者は、ブロックチェーンを活用することで、組織のあり方は大きく変わっていくと考えています。そして、既存の組織、目的を達成するための組織に最も合う組織形態としてDAOが採用されていくと考えます。具体例を言うと寄付団体や〇〇会などです。それらの組織に、人々は直接寄付を送ることができるようになります。そのため、中抜きを行わずに直接どの地方のどの人にお金を渡すべきか意思決定でき、誰が何に投票したかがブロックチェーンで記録され、意思決定が行われた後、速やかに送金が行われます。

今後、このようなDAOを活用した組織が増える時代を肌で体感したいと考えています。この考え方に賛同してくれる方は、私と共に、Web3.0の世界へ一歩踏み出しましょう。

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この記事を書いた人

Hello, token economy.

JPYC株式会社でブロックチェーンリサーチャーとして働いています。

個人では濱口幹久感謝トークンを発行しており、感謝配りお兄さんとして感謝を配っています。Token economyを社会実装するべく、精進いたします。

専門はxDAIとPolygonのアプリです。

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