Efinityの概要
Efinityは、NFTの利用に重きを置いたブロックチェーンです。Substrateベースで開発されており、Polkadotへの接続を目指しています。
Efinityについて理解するには、まず開発会社であるEnjinを知る必要があります。Enjinは、Enjin Coin(ENJ)の発行企業としても知られています。Enjinは、イーサリアム上でNFTのためのプラットフォームを開発提供しており、誰もが簡単にブロックチェーンとNFTを使った開発や取引、収益化などを行うことができる仕組みを提供します。Enjinのプラットフォームは既に様々な企業に採用され、そのユースケースは「Powered by Enjin」のページより確認することができます。
EnjinのNFTに関する活動は、これだけにとどまりません。Enjinは、ERC-1155(The Multi Token Standard)と呼ばれるトークン規格の共同開発企業であり、1つのスマートコントラクトでNFTと通常のトークン(Fungible Token: FT)を発行できるようにしました。また、JumpNetと呼ばれるPOA(Proof of Authority)方式のイーサリアムのサイドチェーンを作り、クリエイターがGASを気にすることなくNFTを発行し、配布できる環境を提供しました。
このように、EnjinではNFTに対して非常に関わりの深い活動をしています。Efinityも、同様にこの流れを組むものです。既存のプラットフォームとJumpNetは、主にイーサリアムのエコシステムを対象にしていたものに対し、Efinityは主にPolkadotのエコシステムを対象にしています。
Efinityは、Substrateベースで構築することにより、Polkadot経済圏と既存のイーサリアム経済圏からNFTを移行しやすくします。そして、この手のチェーンにおける大きなハードルとなっている不自由な手数料問題を解決し、クリエイターや暗号資産に精通していない一般ユーザーが使うことができるためのインフラの提供していきます。
Efinityの特徴
トークンの相互運用性が高い
Efinityでは、パラトークン(Paratokens)と呼ばれるトークン規格を用います。パラトークンを使うことで、PolkadotとKusamaのエコシステムを相互利用することができるようになります。
パラトークンには、大きく2種類のトークンがあります。FT(Fungible Token)は、一般的なトークンで、イーサリアムでいうERC20規格に相当します。そしてNFT(Non-Fungible Token)は唯一性を持ったトークンになります。
また、パラトークンにはグループ化されたNFT(Grouped NFTs)というNFTがあります。ゲームアイテムで「鉄の剣」のNFTを想定した場合、同じ鉄の剣でも細かいパラメータが違っていたりと、完全に同じではありません。グループ化されたNFTでは、”「鉄の剣」のID”を共有しつつ、各々を区別することができます。
さらに、Efinityではクロスチェーンブリッジを使い、他のチェーンで作成されたトークンをEfinityに移行することができます。例えば、イーサリアム上で作成されたFT(ERC20規格)、NFT(ERC721, ERC1155規格)のトークンが移行対象になります。しかし、NFTをイーサリアムからEfinityに移行した後、クリエイターによりNFTを譲渡不可にされる場合が考えられます。このようなことを想定し、ブリッジモジュールでは、移行元のブロックチェーンとの同期を取るために、必要に応じてパラメータの更新やフリーズを行うようになっています。
トランザクション手数料の支払いを委譲できる
Efinityには、トランザクション手数料を委譲する機能が付いています。例えば、企業が取引コストを負担し、クリエイターや一般ユーザーは手数料を気にせず、NFTの発行や送受信などができるようになります。これにより、利用者がGASを保有する煩わしさから解放されます。
そのための仕組みが燃料タンク(Fuel Tank)と呼ばれるものです。これは、トランザクション手数料のためだけに使用されるアカウントになります。燃料タンクにEFIトークンを入れることにより、そこから顧客等の手数料を代払いします。燃料タンクでは、トークンの種類やタグ、トランザクションタイプ、ユーザーをホワイトリスト化することができます。また、特定の手数料部分は企業が負担し、残りの部分は顧客負担にするということができます。また、燃料タンクにEFIを保管する額が大きく、期間が長いほど、代払いする手数料が割り引かれるようになっています。
NFTをより多彩に利用することができる
Efinityでは、クラフティング(Crafting)という機能が実装されています。クラフティングでは、既存のトークンを更新したり、レシピを使って新しいトークンを生み出すことができます。
例えば、多くのゲームでおなじみの「錬金システム」というレシピを想定してみます。錬金システムでは、素材A, Bを組み合わせて、武器Sを作ることができます。よりシステム的に、すべてをNFT化したという前提で見ると、A, BをバーンしてSを発行するということを行います。Efinityでは、このような一連のアクションをコード化することができます。また、レシピ作成者は、レシピの使用回数を制限するなどのパラメーターを調整することができます。
マーケットプレイスのためのツール群が提供される
Efinityは、あらゆるトークンの注文を作成して成立させるためのツール群を提供します。また、価格発見機能が組み込まれており、任意のトークンIDやベースIDに対する最高額のアクティブな入札額を知ることができるようになります。
この機能により、他のネットワーク上のブロックチェーンベースのゲームから、NFTのマーケットプレイスや交換プラットフォームまで、NFTを他のブロックチェーンに転送するためにEfinityを使用するサードパーティアプリの開発が容易になります。
Enjin Coin(ENJ)がネットワークへのステーキングに利用される
Efinityの開発会社Enjinは、イーサリアム上でEnjin Platformを展開しており、Enjin Coin(ENJ)を発行しています。Efinityの登場により、ENJトークンはもはやEnjin Platformだけにとどまりません。
Efinityでは、ENJをイーサリアムからブリッジして、Efinityに移行することができます。Efinityに移行させたENJは、Efinity上におけるインフュージョンやノードのステーキングに利用することができます。つまり、Efinityでコレーター*1になるためには、ENJをステーキングする必要があるということです。同様に、ノミネーター*2もENJのステーキングを行います。
EFIトークン
EFIトークンの用途
EFIトークンは、Efinityネットワークにおけるネイティブトークンです。主な用途は以下の通りです。
- トランザクション手数料
- マーケットプレイスから徴収するオプション手数料
- アカウントの作成手数料
- ガバナンス
- JumpNet側でEFIにペグしたJEFIを保有することにより、JumpNet側の取引限度額を増やせる
また、トランザクション手数料は、トランザクションの種類により以下の4つの用途のプールにEFIに振り分けられます。それぞれのプールから、Efinityのネットワークに貢献する人にインセンティブが払い出されます。
- コレータープール:アクティブなコレーター、ノミネーターへの支払い
- コミュニティプール:Efinityに貢献するプロジェクトへの支援
- 価格発見プール:NFTの価格発見に貢献するBid注文を出す人へのインセンティブ
- 燃料タンクプール:アクティブなプロジェクトに対する取引手数料の補助
EFIトークンの配布計画
EFIトークンの総供給量は20億枚になり、以下の内訳に基づいて配布されます。
- パブリックセール(CoinListセール):5%
- 戦略的なラウンド:5%
- 初期ラウンド:7%
- シードラウンド:7%
- チーム:10%
- 会社保有:20%
- ステーキング&プール:15%
- エコシステム支援:35%
「ステーキング&プール」は、アクティブなコレーターやノミネーターの配布枠になります。Efinityのメインネットローンチから、8 – 10年をかけて配布されます。
EFIトークンが売買できる取引所
2021年6月9日現在、EFIトークン現物を扱う取引所は存在していません。6月25日にCoinListでIEOが行われる予定です。