プロジェクト解説

BSC上のイールドアグリゲーター「Merlin」の解説

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最近は様々なイールドファーミングの仕組みが用意されており、現実的に高い利回りを上げるのは手間がかかるものです。イールドアグリゲーターは、そのような手間を大幅に削減し、さらに独自トークンを加えることによって大きなリターンをもたらすことができます。

この記事では、Binance Smart Chain(以下、BSC)上に構築されたイールドアグリゲーター「Merlin」について紹介していきます。なお、本記事の説明は、2021年6月8日のサービス仕様に基づきます。

Merlinの概要

Merlinのトップ画面

Merlinは、BSC上に構築されたイールドアグリゲーターです。「デジタル経済のすべての人のために、自由とアクセス性、資産の主権を高める」をミッションに、効率の良い運用手段の提供を行っています。

Merlinでは、トークン単体やPancakeSwapから入手したLPトークンをステーキングすることにより、イールドファーミング報酬とMERLトークンを入手することができます。これにより、PancakeSwapで手動でステーキングするよりも、簡単に高い利回りを享受できることができます。

また、Merlinはセキュリティに関して非常に力を入れています。昨今、プールから資産を抜かれる代表的な事例としてフラッシュローン攻撃があります。Merlinでは何重ものセキュリティ監査と、フラッシュローン攻撃に対する総合的な対策を採ることにより、より安全な資産運用を実現します。

Merlinの特徴

競合と比べて利回りが高い

Merlinでは、トークン単体やPancakeSwapのLPトークンをステーキングすることで「イールドファーミング報酬+MERL」を手に入れることができます。競合のイールドアグリゲーターでも同様に「イールドファーミング報酬+アルファ」を手に入れることができますが、Merlinは「+アルファ」の部分が多めになっています。

以下は、BSCのイールドアグリゲーター最大手、Pancake Bunny(以下、Bunny)との比較になります(2021年6月8日時点)。

ステーキングできる資産 Merlin APY Bunny APY
単体トークン: 独自トークン*1 565.34% 212.12%
単体トークン: CAKE 181.89% 124.52%
LP*2: CAKE-BNB 102.25% 82.17%
LP: CAKE-BNB (Cake Maximizer) 117.16% 93.29%
LP: BNB-BUSD 38.75% 65.00%
LP: BNB-BUSD (Cake Maximizer) 52.93% 75.34%
LP: USDT-BUSD 9.11% 12.65%
LP: USDT-BUSD (Cake Maximizer) 13.65% 16.01%

*1 Merlinの場合:MERL、Bunnyの場合:BUNNY
*2 LPとは、PancakeSwapに流動性を提供した際に手に入るLPトークンのことを指します。

ご覧のように、すべてでMerlinが上回るというわけではないものの、利回りの数字が大きめのものにおいてはMerlinが優位になる傾向にあります。

自動再投資による利回りの最大化が行われる

Merlinでは「Merlin Vaults」と「Merlin Cake Maximizer Vaults」の2種類の”金庫”で資産を運用することができます。いずれもステーキングにより生じたイールドファーミング報酬を再投資することにより、高い利回りを確保するものになります。異なる点は、利回りとステーキング終了時に回収できるトークンの種類になります。

Merlin Vaultsでは、PancakeSwapのLPトークンがステーキングされると、ファーミング報酬が自動的に再投資されるようになります。ステーキング終了時は、元のLPトークンを回収することができます。

Marlin Vaultsの仕組み

Merlin Cake Maximizer Vaultsは、Merlin Vaultsより高い利回りの運用ができるようになっています。ステーキング終了時は、元のLPトークンではなく、CAKEトークンを回収することになります。

PancakeSwapのLPトークンがステーキングされると、そこで得られたCAKEトークンがCake Poolに自動的にステーキングされます。そして、Cake Poolで得られたCAKEは、同プールに再投資されます。

Marlin Cake Maximizer Vaultsの仕組み

セキュリティとユーザー補償を重視している

Merlinは、プールからの資金流出事故に備えて、セキュリティに対して多くの対策を講じています。

セキュリティ監査:Merinではセキュリティ監査を Hacken Cybersecurity, Certik, Haechi Labs の3社に依頼しています。2021年6月18日現在、Hacken Cybersecurityの監査Certikの監査は完了しており、前者は最高評価の「Well Secured」を獲得しています。また、Heachi Labsの監査が進行中です。

スマートコントラクト:Merlinのすべてのスマートコントラクトには、タイムロックが実装されています。タイムロックでは、スマートコントラクトの変更を加える前に一定期間が必要になります。

フラッシュローン対策:昨今のプール流出の多くは、フラッシュローンを使った攻撃によるものです。Merlinでは、Alpha Homoraによる公正なLP価格の算出を採用するほか、Chainlinkを利用した分散型オラクルを採用します。これにより、操作不可能で安全公正なLPトークン価格を導き出すことができるようになります。また、フラッシュローン攻撃はスマートコントラクトを通じて実行されるため、Merlinでは外部のスマートコントラクトと相互作用しないことにすることで、攻撃リスクを減らしています。

保険契約:Merlinは、Soteriaと保険契約を締結しています。これにより、Merlinのユーザーはスマートコントラクトの障害や悪用に備える保険に加入することができるようになります。

このように、Merlinでセキュリティに関して様々な対策を行っています。ただし、十分に対策をしているからとは言え、リスクがゼロになるわけではありません。これは、Merlinに限らずすべてのDeFiプロダクトに当てはまります。

MERLトークン

トークンの概要

Merlinでは、プラットフォーム独自のMERLトークンを発行しています。ユーザーがMerlinを利用すると、イールドファーミング報酬(BTCB, ETHなど)とともにMERLを獲得することができるようになっています。

MERLトークンは、プラットフォーム上で獲得したBNBの数量に比例して新規発行されます。初期は1 BNBにつき25 MERLのレートで発行され、その後このレートは徐々に小さくなっていきます。MERLの発行枚数上限は存在しないものの、新規発行ペースが徐々に遅くなっていくことと、Merlinプラットフォームの収益からの買い戻し&バーンにより、MERLそのものの過度なインフレが抑えられると見込まれています。

トークンの基本スペック

Merlinの利用方法

本記事では、Merlinの大まかな操作の流れご紹介します。

利用準備

MetaMaskのインストール/BSC利用の設定

  1. PCの対応ブラウザにて、MetaMaskのページにアクセスしてブラウザ拡張機能をインストールします。対応ブラウザ:Chrome, Brave, Edge, Firefox
  2. Chainlistにアクセスし、ウォレットに接続してから「Binance Smart Chain Maiin…」の項目で「Add To Metamask」をクリックします。

MetaMaskにBEP20トークンを送る

MetaMaskにBEP20トークンを送るには、いくつかの方法があります。

  • 各取引所からBEP20形式に対応したトークンをMetaMaskに送ります。
  • Binance Bridge等のブリッジ機能を利用して、手持ちのトークンをBEP20形式に変換します。

流動性を提供する

MerlinでLPトークンによるステーキングを行うためには、PancakeSwapに流動性を提供する必要があります。流動性を提供することにより、LPトークンを入手することができます。

事前準備:

  • GASとして、BNB(BEP20形式)を用意します。
  • 流動性を提供するトークンペア(例えば、50ドル分のCAKE、50ドル分のBNBといったようにドル評価で同額の2種類のトークン)を用意します。

手順:

以下の手順で、LPトークンを入手します。

  1. PancakeSwapの流動性画面にアクセスします。
  2. ウォレットを接続し「Add liquidity instead」をクリックします。
  3. 流動性を提供するトークンペアを選択します(例えば、50ドル分のCAKE、50ドル分のBNBといったようにドル評価で同額の2種類のトークン)。
  4. 2つのトークンを「Approve」し、MetaMask側でトランザクションを許可します。
  5. 「Supply」→「Confirm Supply」の順にクリックし、MetaMask側でトランザクションを許可します。

ステーキング

MERLトークンのステーキング例を紹介します。他のトークン(単体及びLP)でもほぼ同様の手順になります。

事前準備:

  • MetaMaskでBSC利用の設定を済ませておきます。
  • GASとして、BNB(BEP20形式)を用意します。
  • PancakeSwapでMERLトークンを入手します。

手順:

以下の手順で、MERLトークンをステーキングします。

  1. Merlinのページにアクセスします。
  2. MERLの項目を選択し「Approve」をクリックし、MetaMask側でトランザクションを許可します。
  3. 「Deposit」からステーキングするMERLの数量を入力して「Confirm」をクリックし、MetaMask側でトランザクションを許可します。

MERLトークンのステーキング

ステーキングされたMERLは「Withdraw」から引き出すことができます。また、報酬の通貨が選べる場合は「Claim reward in」から通貨を選択して「Claim <通貨名>」をクリックすることで、報酬の引き出しを行うことができます。

Merlinに関する情報

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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