今回は、Torus Walletの面白い使い方として、Polygonへの接続方法とNFTの送信方法、受け取ったNFTをスマートフォンのOpenSeaで表示する方法を解説していきます。
現在のブロックチェーンアプリケーションが抱えている問題点は2つあります。1つ目がウォレットの使いやすさ、2つ目が手数料の高さです。今回ご紹介するTorus WalletとPolygonを組み合わせることによって、これらを解決することができ、かつ新しい使い方を実現することができます。
Torus Walletの概要
Torus Walletとは、イーサリアムベースのブラウザウォレットです。他のウォレットと異なる点として、SNSアカウントに紐づいたウォレットを作成し、ウォレットアドレスだけではなくSNSアカウントにトークンを送ることができます。
Torus Walletには、OpenLoginが2021年4月23日に追加されました。これにより、シングルサインオン(SSO)が可能になり、パスワードを入力する手間を省くことができるようになりました。また、ブラウザウォレットとして、唯一生体認証を行うこともできます。OpenLoginにより、不必要にパスワードを入力するシーンを減らしつつ、セキュリティを強化することができます。
その他、Torus Wallet及びOpenLoginについての詳しくは、こちらの記事をご参照ください。
Torus Walletについて:
OpenLoginについて:
Torus WalletとPolygonで何が実現できるか?
スマートフォンが一般の人々とインターネットの世界との橋渡しを行なったように、Torus WalletとPolygonを上手く活用することで、一般の人々とブロックチェーンの世界の橋渡しを実現することができるようになります。
一般にブロックチェーンを普及させるためには、2つの課題が存在しています。1つ目がガス代の高さ、2つ目がウォレットの使い勝手の悪さです。この2つの課題をTorus WalletとPolygonを組み合わせることで解決することができます。
まず、Polygonを利用することで、ガス代を低く抑えることができるようになります。これにより、Torus Walletを使うことでブロックチェーンを使ったマイクロペイメントの体験やNFTを送ったり受け取ったりする体験をすることができます。また、Torus WalletとPolygonを組み合わせることによる大きなメリットは、ユーザーの代わりに事業者がガス代を負担することができるようになった点です。事業者は、ユーザーのSNSアカウントさえ知っていれば、それに紐づいたTorus Walletにガスを付与することができるため、ユーザーはガスを意識せずにブロックチェーンの恩恵を簡単に体験することができるようになります。
使い勝手の改善では、今まではブロックチェーンの恩恵を感じてもらうにはウォレットを作成してもらうところからスタートしなければなりませんでした。しかし、このTorus WalletとPolygonを使うことで、アドレスを意識しないNFTや価値の送り合いなど、今までのウォレットでは実現できなかった使い勝手の良さを体感することができます。
Torus WalletをPolygonに接続する方法
Torus Walletのデフォルトはイーサリアムを利用するようになっているため、Polygonへのネットワーク変更の操作が必要になります。操作は、パソコン版とスマートフォン版とで少し異なりますが、いずれも設定メニューより変更します。今回は、2つの操作方法を解説します。
パソコン版
1.設定をクリックします。
2.ネットワークをクリックし、Matic Networkを選択します。
3.Matic Networkになっていれば、切り替えは完了です。
スマートフォン版
1.Torus WalletのWebページにアクセスし、赤丸部分のメニューをタップします。Access Walletをタップします。
2.メニューボタンをタップします。
3.設定をタップします。
4.ネットワークをタップ後、Matic Networkをタップします。
5.Maticになっていれば、切り替えは完了です。
Torus Walletで Polygon上のNFTを送信する
Torus Walletは、Polygon上で発行されたNFTにも対応しています。Twitterなど、SNSユーザーアカウントに安い手数料でNFTを送ることができます。
パソコン版
パソコン版はコレクションをクリックすることで、保有しているNFTを閲覧することができます。
1.ホーム画面のコレクションをクリックします。自分が保有しているNFTを閲覧することができます。
2.送りたいNFTをクリックした後、送金をクリックします。
3.送信先を設定し、送信を実行します。
スマートフォン版
Torus WalletをOpenSeaに接続することで、スマートフォンから手持ちのNFTを確認することができます。
1.スマートフォンでOpenSeaを開きます。Account→プロフィールの順にタップします。
2.左上のマークをタップします。Account→プロフィールの順にタップします。
3.Sign inの下のOTHER WALLET OPTIONをタップし、Torus Wallet選択します。
4.ログインします。
5.保有しているNFTを閲覧することができます。
Torus Wallet x Polygonから見えるNFTマーケティングの可能性
ここからは、Torus Walletを使うと何ができるのか、筆者の意見を述べていきます。
Torus WalletとPolygonを活用することで、事業者の負担を低くし、簡単にポイントや会員券などを作成することができます。また、事業者はユーザーのSNSアカウントを知ることを通して、決済相手のウォレットアドレスを取得することができるので、キャンペーントークンを付与したあと、付与したトークンの何割が利用されたか?を測ることでマーケティング分析も容易に行うことができます。さらに、発行したキャンペーントークンを個人で送り合うことができるため、クチコミによる宣伝効果も狙うことができます。
Torus WalletとOpenSeaを使うことでSNSアカウント経由でNFTを送ることができます。例えば、飲食店などが会員券やクーポン券のNFTを発行し、店頭で提示する使い方です。Polygonは手数料が安いため、店舗側はこれまでの既存の掲載サイトと比べて遥かに低いコストで、NFTという形でクーポン券を発行することができます。
また、Twitterをマーケティングツールとして有効に利用することができます。加えて、Torus Walletではトークンをメールアドレス宛に送ることも可能なので、既存の顧客リストを活用することができます。さらに、NFTを送ることで、ウォレットアドレスを取得できるため、継続的にキャンペーンを打つことができます。NFTを活用したマーケティングは過去にEnjinが実施し、3万4千人の新規ユーザーを獲得し、その有効性が明らかになりました(参考記事)。
今回はTorus WalletをPolygonに接続し、NFTの利用例を中心に解説しました。NFTやトークンの問題は実際に体験をしてみないとその有用性に気づきにくいことです。実際に体験をするためには、ウォレットの導入や暗号資産の購入など、高いハードルをクリアしなかればいけません。しかし、Torus WalletとNFTを活用することで、NFTやトークンを送り合うことを簡単に体験することができるようになります。そのため、Torus WalletはWeb2.0とWeb3.0を繋ぐ架け橋の役割になると考えています。