プロジェクト解説

ポルノ分野に根ざす問題の解決を目指す「RarePorn」の解説

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本記事は、ブロックチェーンを活用したアダルト産業の記述になります。内容にはできるだけ配慮しておりますが、コンテンツの性質上、一部に性的な内容が含まれます。

現在、NFT(Non-Fungsible Token)は、コンテンツ作成者に権利を取り戻す観点から非常に注目を浴びており、様々なコンテンツを扱う業界で注目されています。日常的な話題としてタブーにされがちなアダルト業界、とりわけポルノ分野も例外ではなく、大きな資本が入り本格的なNFT活用を模索しています。今回は、その中でも先行しているプロジェクトであるRarePornの取り組みを解説していきます。

RarePornの概要

RarePornのクリエイター

RarePorn(レアポーン)は、コンテンツクリエイターの利益を最大化し、クリエイターと利用者のプライバシーを守るために設立されました。既に実用最小限の製品(MVP)を公開しており、2021年8月にベータサービスを、同年Q4にプラットフォームv2をリリースします。

アダルト業界は、一般の目に触れにくいものの、人類市場最も歴史が長い、世界の主要産業です。そのうちのポルノ分野の数字に注目していくと、インターネットコンテンツの36%、検索トラフィックの25%はポルノ関連を占め、トップ3のポルノサイト*1だけで毎月66億8千万のアクセスがあります。これは、Amazon.comとNetflixを合算したのと倍近くのアクセス数になります。

一方で、ポルノ分野は決してビジネス環境に恵まれているものではありません。現状、コンテンツ作成者及び利用者は、サービス利用登録や決済の過程で個人情報を提出する必要があり、またすべての業者が信頼できるわけではないため、悪用や情報流出でプライバシーが侵害される可能性をはらんでいます。また、PayPal等の決済プロバイダーからリスク産業として扱われることから、基本的にサービスの受け入れを拒否され、受け入れられたとしても取引金額の最大30%の手数料を支払わざるを得なくなります。この他にも、ユーザーの誠意による年齢認証で10代のアクセスを拒否できない、収益配分が不透明になっているなど、様々な問題が存在しています。しかし、既存の技術だけでは、解決できることに限界があります。

そこで、これらの問題を改善すべく、RarePornはブロックチェーンをベースとしたサービスを開発しました。NFTを活用することで、クリエイターの権利の明確化を行い、本来利益を受け取るべき当事者への十分な還元を行えるようにします。また、暗号資産払いにすることで、決済プロバイダーを排除し、かつ権利者への支払いをリアルタイムで実施できるようにします。また、ポルノビデオを真似する事による性感染症リスクや実際の性交渉とのギャップに関する告知を出し、収益の一部を基金化するなど、システム以外の側面にも力を入れていきます。

RarePornは、Marco GarnigaNils Latailladeの共同CEOで運営されています。Marcoは、AmazonやJumia、L’Oréalでリーダーシップのポジションを経験しました。またNilsはいくつかのベンチャーの立ち上げ経験があり、その中にはユニコーン企業も含まれています。また、共同創業者のFred Coppulaは、フランスのポルノプロデューサーとして著名で、フランスの女優クララ・モルガンのほとんどの映画を監督した経験を持ちます。また、RarePornは機関から注目されており、フランスのユニコーン企業として知られるMeeroのCEOや、Shift CapitalSpincrypto CapitalなどのVCから2百万ドルの出資を受けています(2021年7月時点)。

*1 トップ3のポルノサイト:XVideos, Pornhub, xMamster

RarePornの特徴

クリエイターは様々な収益化が可能

RarePornでは、コンテンツの権利を明確にし、クリエイターが収益化しやすくするためにNFTを活用します。

クリエイターがコンテンツをアップロードすると、コンテンツに任意のIDが付与されNFT化されます。RarePornのサービス上では、これらのNFTをNFP(Non-Fungsible Poken)と呼びます。利用者は、クリエイターのNFPを購入もしくはレンタルすることにより、唯一のコンテンツを楽しめたり、特典を享受したりすることができるようになります。また、ロイヤリティを設定することで、NFPが売買された際に収益の一部を得ることができます。

NFPの特典例

NFPの特典例

また、クリエイターはNFP以外でも収益化ができるようになります。従来のポルノサービスと同様に、料金を払わないとアクセスできない有料コンテンツや動画配信、ライブ配信における投げ銭、ファン向けコンテンツなどからも収益化を行うことができます。

ユーザーやクリエイターのプライバシーが守られる

RarePornでは、ユーザーはブラウザ拡張型のウォレット(MetaMask等)を使ってアクセスします。これは、DAppsでサービスを利用するのと同等の感覚になります。そのため、ウォレットアドレスがユーザーの実質的なIDになるため、ユーザーは自らの個人情報をサイト上に入力しなくてもサービスを利用することができるようになります。例外として、何らかの上位サービスを利用する場合、簡単なニックネームとプロフィール、メールアドレスの登録が必要になります。

また、RarePorn上の支払いはすべて暗号資産(PKNトークン)を利用して行われるため、支払い情報から個人が特定される事もありません。

ユーザーはコンテンツを見て稼ぐことができる

RarePornでは、他のポルノサイトと同様に、従来型の広告を使って収益化を行うことができます。収益は、RarePornのプラットフォームとクリエイターに配分される他、広告を閲覧している利用者にも配分されます。もし、利用者が支払いのためのトークンを持っていない場合、コンテンツを見てトークンを稼ぎ、それを使ってNFPの購入やプレミアムコンテンツへのアクセスを実現することができます。

プラットフォームの方向性をトークン保有者が決定する

RarePornは、透明性を重視しており、PKNトークンの参加者がプラットフォームのガバナンスに参加することができます。ガバナンスにおける投票は、PKNトークンをより多くより長く保有している人の投票権利が強くなります。

プラットフォーム内に表示する広告コンテンツは、PKN保有者によって決定されるため、問題あるスポンサーを排除できるようになると見込まれています。また、RarePornが支援する分野や団体もガバナンスで決定することになります。

RarePornトークン「Poken(PKN)」

RarePornでは、Poken(PKN)を利用します。Pokenは、Pokeをもじった造語であり、Pokeそのものは英語のスラングで性交渉を意味します。

PKNトークンの概要

PKNは、イーサリアムBinance Smart Chainで、50億枚ずつが発行され*1、チェーン間のブリッジのロックを通じて流通量が最大50億枚になるように設計されています。PKNの用途は、以下の通りです。

  • NFPの取引
  • 有料コンテンツへのアクセス権
  • ライブ中の投銭
  • 広告スキップ
  • ガバナンス投票

*1 2021年7月15日現在、公募型のトークンセールを行っているため、トークンが売れ残った場合に残存分がバーンされ、トークン数量がこれより少なくなる可能性があります。

トークノミクス

RarePornのエコシステムは、利用者(Users)、スポンサー(Sponsors)、クリエイター&NFP保有者(Creators & NFP Holders)の三者で成り立っています。

  • 利用者:コンテンツにアクセスし、PKNでコンテンツを購入したり、活動に応じてPKNを獲得することができます。
  • スポンサー:スポンサーは広告枠をコミュニティ投票により獲得し、キャンペーンを展開することができます。
  • クリエイター&NFP保有者:コンテンツを供給することで、PKNを獲得することができます。

PKNのトークノミクス

RarePornにおけるすべての取引(売買・譲渡)には、2%の手数料がかかります。2%のうち1%が慈善活動用カウントに送られます。もう1%はバーンされますが、バーンアドレス数量が総供給量の25%以上になるとバーン数量が1%から0.5%に減少します。さらに、50%以上になるとバーンは停止します。

RarePornに関する情報

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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