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Accumulate(ACME)の解説

Layer2・サイドチェーン
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本記事は、Factomの後継ブロックチェーンとなるAccumulateの解説記事です。

Accumulateの概要

Accumulateは、Factom(FCT)の正式後継となる、ユニバーサルLayer2ブロックチェーンです。チェーンの基本方針はFactomを引き継ぐものの、Factomから技術が大幅に刷新されます。

Factom から Accumulate へ

Accumulateの歴史は、Factom社の設立から始まります。Factom社は、2014年に設立されFactomブロックチェーンを開発し、その後Factomブロックチェーンはコミュニティに移管されました。2021年、Factom社は Inveniam Capital Partnersに買収され、リードエンジニアのPaul SnowとJay Smithが加わりました。その後 Inveniam Capital Partnersは、Accumulateコミュニティのリード開発企業となるDeFiDevsを設立しました。Accumulateは、Factomのホワイトペーパーの共著者でもあるPaulSnowによって設計されています。

Accumulateが目指しているのは、ブロックチェーンを現実世界のビジネスに応用可能にすることです。現実世界のビジネスはIDによる管理が一般的で、アカウントの所有権や責任者など、あらゆるものがIDで管理されます。Accumulateでは、アドレスでなくIDにもとづいたブロックチェーンを構築することで、ユーザーはWebと同じようにブロックチェーンを利用することができるようになります。

また、Accumulateはブロックチェーンのトリレンマと言われるスケーラビリティ、分散性、セキュリティの問題を解決しています。セキュリティでは、アンカーリングと呼ばれる仕組みを使い、トランザクション結果を集約したマークルルート証明を他のLayer1ブロックチェーンに記録することで高い改ざん耐性を確保します。

Accumulateと他のチェーンの比較

Accumulateと他のチェーンの比較(公式サイトより)

Accumulateの特徴

人間にとって理解可能なデジタルIDを利用

一般的なブロックチェーンは、トランザクションの実行にアドレスを利用しますが、これは人間にとっては意味のない文字列のように見えるため、使い勝手を大きく損ねます。

対して、AccumulateではADI(Accumulate Digital Identity)と呼ばれるデジタルIDをベースにトランザクションの実行を行います。これは、Accumulateの世界におけるアドレスに相当し、IDや識別子、ドメインの役割を担います。さらに、ADIはURLのように扱うことができ、UTF-8(英語以外の様々な文字)にも対応することで、人間にとっては理解可能で管理しやすくなります。ADIの例:

  • acc://Corp
  • acc://Corp/Eng
  • acc://Corp/Eng/Payments

鍵の階層化で鍵管理のリスクを低減

通常、ブロックチェーンは秘密鍵と公開鍵をベースにした管理を行い、ウォレットのアドレスは公開鍵をベースに生成されます。この仕組みは、企業におけるブロックチェーンの利用を面倒にします。企業において、人事異動や入退職で業務担当者が変わることはごく当たり前なことです。通常のブロックチェーンでは、担当者が入れ替わると公開鍵が変更になり、これに伴いアドレスも変更になります。アドレスを変更になると、保有資産をアクティブなアドレスに移す作業が必要になります。しかし、このような運用は現実的ではありません。

Accumulateでは、ADIの更新(アドレスの更新に相当)を避けるために、異なるセキュリティ機能を持つ階層型の鍵管理を行うことができます。前項のADIの記述を例に説明します。ADIの例:

  • acc://Corp
  • acc://Corp/Eng
  • acc://Corp/Eng/Payments

上記の場合、最上位ADI「Corp」の鍵は、絶対他人に触られたくないものになります。Accumulateでは、このような鍵は金庫にしまったままにすることができます。そして、下位ADI「Eng」や「Payments」を作り、異なるセキュリティ権限の鍵の階層を作成することができます。そのため、担当者の入れ替えが起こった場合は、下位のADIのセキュリティのみを更新することで、上位ADIの鍵をリスクに晒さずに済むことができます。

無限にスケーリングが可能

Accumulateでは、ADIを構築することでサブチェーンが作成されます。さらに、そのADIの配下にADIを構築すると、さらなるサブチェーンが作成されます。このように、Accumulateではサブチェーンを増やすことで無限にスケーリングすることができるようになります。

ADIには様々な種類があるため、サブチェーンにもそれに応じた種類があります。

  1. トークンチェーン (Token Chain):トークンアカウントを実装し、アカウントへの取引を追跡する。
  2. データチェーン (Data Chain):IDによって検証や承認されたデータを追跡、組織する。
  3. アイデンティティチェーン (Identity Chain):ADIのトランザクションを管理し、サブアイデンティティを作成するメカニズムを提供する。
  4. スクラッチチェーン (Scratch Chain):Accumulateネットワーク全体の合理形成のためのデータを収集し、チェーンのマルチシグ検証を許可する。
  5. キーチェーン (Keys Chain):上記4チェーンの鍵管理を行うために、鍵を含むトランザクションを保持する。

他のブロックチェーンを利用して高いセキュリティを確保

Accumulateは、シビルコントロールにProof of Stakeの類型「Vetted Delegated Proof-of-Stake」を採用します。一般的にProof of Stakeを採用し、規模が小さいブロックチェーンネットワークでは、悪意を持つ者がトークンの多数を支配して、攻撃をすることが可能になります。

そこで、Accumulateではトランザクション結果を集約したマークルルート証明を高セキュリティなブロックチェーン(例:Solana, Cosmosなど)にアンカーリングすることで、悪意を持つ者が結果を覆すことを困難にします。この発想は、EthereumのRollupソリューションがオンチェーンにProofを書き込むことと似ています。

ACMEトークン

Accumulateでは、$ACME をプラットフォームのユーティリティトークンとして使用します。$ACME の用途は、一般的なブロックチェーンプラットフォームと同じく、GASやステーキングの用途で利用されます。$ACME は、2022年前半のリリースが予定されています。

Accumulateは、Factomの後継チェーンとなるため、既存の $FCT は最終的に $ACME にスワップされることになります。スワップレートは $FCT:$ACME = 1:5 になります。

2021年12月11日現在、$ACME のトークノミクスは確定しておらず、決定しているのは以下の通りになります。

  • 総供給量: 500,000,000 ACME
  • 初期循環供給: 200,000,000 ACME
    • $FCT からのスワップ: 90,000,000 ACME
    • プロモーション用: 60,000,000 ACME
    • Factoid変換: 50,000,000 ACME
  • 未供給のトークンの配布割合: 16% /年
  • FactomのBurn-And-Mint Equilibrium Model(BMEモデル)を継承

総供給から初期循環供給を差し引いた 300,000,000 ACMEの割り当て内訳は決定していません。

ソース:Factom becomes Accumulate

Accumulateについて

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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