Layer2・サイドチェーン暗号資産

資産取引に特化したレイヤー2「zkLink(ZKL)」の解説

zkLinkのシステム概要 Layer2・サイドチェーン
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zkLink(ZKL)の概要

zkLinkは、ゼロ知識証明(zk-SNARKs)を用いたロールアップで構築された、マルチチェーン用の資産取引に特化したレイヤー2です。ユーザーはガスを支払うことなく、現物や先物のオーダーブックDEXやNFTマーケットプレイスを利用することができるようになります。

zkLinkのシステム概要

zkLinkのシステム概要(引用元:Protocol Overview

zkLinkの背景には、マルチチェーン化が進行することにより様々な弊害が起きていることがあります。レイヤー1やレイヤー2のチェーンが増えることによる流動性の分断化に加え、それらの間で資産を移動させるためには煩雑な操作が必要になります。また、ブリッジのハッキング多発が物語っているように、チェーン間の取引は安全とは言い難い状況です。

そこで、zkLinkはこれらの問題を解決するために資産取引に特化したインフラを用意しました。ユーザーは中央集権型取引所(CEX)と同じような要領で、zkLink上でマルチチェーンの資産ポートフォリオを管理することができるようになります。やることは、zkLinkにMetaMask等のウォレットを接続し、自分のzkLinkアカウントにトークンを入金するだけです。また、zkLinkではCEXと同様にトークンがマージされます。例えば、zkLinkのアカウントにERC20 USDTやBEP20 USDT、SPL USDTを入金すると、zkLink上ではすべてが同一のUSDTとして扱われます。従来であれば、このようなことは中央集権的なシステムでしかできませんでしたが、zkLinkは分散型で実現しました。スペック面では、zkLinkは 1,000 TPS 以上の処理容量を有しており、さらにzkRollupのおかげでzkLinkから外部チェーンに拘束期間なしでトークンを送ることができるようになっています。

また、zkLinkは事業者がインフラを簡単に利用できるようにするために、ビジネスソリューションとしてマルチチェーンのオーダーブックDEXや、AMM DEX、NFTマーケットプレイスを用意しています。

zkLink(ZKL)の特徴

複数のチェーンに接続

zkLinkでは、EVM及びzkEVMを採用したチェーンに対応しています。2023年9月時点で、zkLinkが対応しているチェーンは次の通りです。

  • Ethereum
  • zkSync Era
  • Linea
  • BNB Smart Chain
  • Polygon PoS
  • Avalanche
  • Arbitrum One
  • Optimism
  • Base
  • opBNB

本記事執筆時点においてテストネットでは既により多くのチェーンに対応しているため、今後はさらに接続先が増えていくことが見込まれています。最新の対応状況は、公式ドキュメントの「Connected Networks – Mainnet」から確認することができます。

インフラ完全停止時でも資産を引き出せる手段を用意

zkLinkでは、zkLinkのサーバーがすべてシャットダウンされ、インフラが全滅した状態でも資産を引き出せるようになっています。zkLinkでは、このような状況をダンケルク(Dunkirk)と読んでいます。

ダンケルクが発生した場合、ユーザーはzkLinkリカバリープログラムを実行した第三者のノードを用いる、もしくは自身でプログラムを実行する事により、zkLinkに入金していたトークンを引き出すことができるようになります。ダンケルクについては、2023年5月11日から13日にかけてダンケルクテストが実施され、資産の安全性が証明されました。

ZKLトークン

zkLinkではユーティリティ及びガバナンストークンとして$ZLKが発行されます。$ZKLはEthereum上で10億枚が発行され、その後のインフレはありません。2023年9月時点において$ZLKは発行されていません。

ユーティリティトークンとしての$ZLK:

  • dAppsがzkLinkサービスにアクセスし、ネットワークのブロックを使用するための料金
  • dAppサーバーがzkLinkコントラクトにブロックをコミットする際の料金

ガバナンストークンとしての$ZLK:

  • dAppsがマネージャーコントラクトにアクセスするためのステーキング
  • バリデーターのステーキング
  • dAppsユーザーへの保有特典(取引手数料の割引、特別な権利など)
  • プロポーザルの開始、投票

zkLinkのエコシステム

ZKEX

ZKEXは、暗号資産の現物及び無期限先物のオーダーブックDEXです。CEXと似たような使い勝手で、一度zkLinkアカウントに入金してしまうとガスを支払うことなく取引を行うことができます。

ZKEX

zkJump

zkJumpは、zkLink経由でチェーン間の資産を移動することができるクロスチェンブリッジです。中間トークンやラップトークンを排除し、最小限の手数料で済むようになっています。

zkJump

OpenWorld

OpenWorldは、無期限先物のオーダーブックDEXです。暗号資産の他、通貨や商品、株式などの先物を取り扱っています。

OpenWorld

zkLinkに関する情報

 

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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