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Astar zkEVM の解説

Layer2・サイドチェーン
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Astar zkEVM の概要

Astar zkEVMは、Astar NetworkによるEthereumのレイヤー2です。Polygonの独自チェーンを作る技術 Polygon CDK (Polygon Chain Development Kit) によって構築され、Ethereumの強力なセキュリティを活かしつつ、ゼロ知識証明を使ったzkRollupを採用することでスケーラビリティを拡大することができます。

Astar zkEVMの仮想マシンにはzkEVMが採用されており、EVMとの等価性を有しているため、実質的にはEVM互換のチェーンになっています。そのため、既にEVM互換チェーンにおけるアプリケーション開発に慣れている開発者にとっては、新たな技術への学習コストをかけることなくAstar zkEVMにアプリケーションをオンボードすることができるようになっています。また、Ethereumのレイヤー2であることから、Ethereumエコシステムへのアクセスが容易になります。また、Astar Substrate(今まで単にAstar Networkと呼ばれていたチェーン)との相互接続性を有しています。

しかし、Astar zkEVM は Astar Substrateと比べてすべてが優れているというわけではありません。Astar zkEVMはあくまでもEthereumにフォーカスしているため、Astar SubstrateのようにWasmを使うことはできません。また、ブロック報酬で$ASTRを生成するわけではないため、DAppステーキングには対応していません。加えて、Astar zkEVM 上で生成された証明(プルーフ)が最終的にEthereumに書き込まれる分、ガス代はAstar Substrateより高くなると見込まれています。

また、重要な点としてAstar zkEVMでトランザクションを実行する際には、ガスとしてAstar zkEVMにブリッジした$ETHを使用することになります。これはAstar zkEVMのトランザクションでは、従来から存在している$ASTRを使用しないということを意味します。しかし、プロジェクトはAstar zkEVMの活性化を通じて$ASTRの価値が上がっていく仕組みを取り入れています。

なぜAstar zkEVMが誕生するに至ったのか?

Astar zkEVMの誕生により、Astar NetworkはEthereumのエコシステムに本格的に進出することになりました。この経緯について、Astar Networkは2023年9月15日にTwitter SpaceでAMAを実施しました。

CEOの渡辺氏によると、Astar zkEVMのリリースはWeb3のマスアダプションに到達するための戦略的な決定であったとしています。そして、この決定には数ヶ月から1年を要したと語りました。

渡辺氏は、Astar Networkは創業当初からEthereumエコシステムへの参入を計画していました。彼は、スタートアップの成功の鉄則はまずニッチな分野でトップに立ち、それから市場を広げていくことだとしています。そして、Astar Networkは Polkadotエコシステムで最大のチェーンとなったため、その経験やプレゼンスを活かしてEthereumへの参入を進めることは理にかなっていると述べました。

また、Polygonの創業者であるサンディープ・ナイルワル(Sandeep Nailwal)氏との出会いがAstar zkEVMへの後押しになりました。渡辺氏によると、サンディープ氏は渡辺氏と考え方や実行スタイルが似ており、サンディープ氏からPolygon 2.0に合流しないかと持ちかけられたこと、そして当初からEthereumエコシステムに参入したいという思惑が重なり、Polygonと一緒にAstar zkEVMに取り組むことになりました。

そして、最後に今まではチェーン間で戦ってきたものが、今度はマスアダプションで戦うことになると付け加えました。

参考:Twitter Spaceの内容がCoinPostにより記事化されています。

ASTARトークンへの影響

Astar Networkでは、Astar zkEVMのリリースによりAstar Substrateを廃止するわけではないため、引き続きAstar Substrateのネイティブトークンである$ASTRが存在することになります。

Astar zkEVMは、$ASTRに以下のような影響を与えます。ただ、これらはテスト後に変更される可能性があります。

バイバック&バーン

Astar zkEVMのシーケンサーは$ETHで手数料収入を得ます。その$ETHを利用して、$ASTRが市場で購入されバーンされます。

ネットワークアグリゲーターへのインセンティブ

Astar SubstrateにおけるDAppステーキングの報酬が、アグリデーターへERC20トークンとして送信されます。ERC20の$ASTRがアグリゲーターのインセンティブとして使われ、バーンされます。

ツールのガス代

メタトランザクションやリレイヤー、アカウント抽象化やその他のガス代として$ASTRが使用されます。

Astar zkEVMに関する情報

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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