Layer2・サイドチェーン暗号資産

Arbitrum上のゲーム特化型レイヤー3「Xai(XAI)」の解説

Layer2・サイドチェーン
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Xai(XAI)の概要

Xaiは、Ethereumのレイヤー2であるArbitrum上に構築された、ゲーム特化型のレイヤー3です。次世代のビデオゲームにおける実経済とオープン取引を実現するために開発され、潜在的な数十億のゲームプレイヤーが暗号資産のウォレットを使用することなく、アイテムなどのゲーム資産を所有し、取引することを実現します。

Xaiでは、既存のブロックチェーンゲームの問題点を6つあげています。

  1. ウォレットの操作:ユーザーにとって暗号資産ウォレットとのやり取りは煩わしい。
  2. ガス料金が必要になる:ネットワークの混雑によるガス料金の高騰により、単純なゲーム内アクションですらプレイヤーにとってハードルの高いものになり得る。
  3. ネットワークが不安定:ネットワークが不安定になり、ゲームが動作しない場合がある。
  4. 金銭的なゲーム設計:金銭的な報酬を強調した、ゲームが短命に終わるトークノミクス。
  5. 複雑なゲームと経済設計:複雑で学習を要する、プレイヤーが躊躇する仕組み。
  6. ブロックチェーンの利点を活かす創造性の欠如:相互運用性などのブロックチェーン利点を活かしきれていない。

これらの問題を解決するために、Xaiはゲーム会社に対して技術やそれ以外の支援を行います。特に最も深刻なウォレットのUI/UXの問題では、ガス料金を補助するコントラクトや、ウォレット管理をゲームのバックエンドに統合する取り組みを行っています。

Xaiブロックチェーンの開発は、Xai財団が監修のもとArbitrumの開発元であるOffChain Labsによって進められています。根底となる基盤にEthereumがあることにより、XaiブロックチェーンではEthereum由来の強固なセキュリティを確保することができるようになっています。また、同種のゲーム特化型ブロックチェーンと異なり、ノード運営がオープンになっていることから、誰でもノードを運営して、ガバナンスに参加することができるようになっています。

Xaiは、既に複数のゲーム会社との提携を進めており、名門ゲームスタジオのEx Populusが3タイトルの供給を表明している他、複数のゲーム会社がXaiにゲームを供給する予定となっています。

Xai(XAI)の特徴

Arbitrum Orbitによるゲーム特化型ブロックチェーン

Xaiブロックチェーンは、Arbitrum Orbitチェーンとして構築されています。

Arbitrum Orbitは、Arbitrum上に独自チェーン(レイヤー3)を展開することができるフレームワークで、純粋にトラストレスであるがガス料金が高いArbitrumロールアップや、ある程度のトラストが必要であるもののガス料金が安いAnyTrustチェーンを構築することができます。Xaiブロックチェーンは後者のAnyTrustチェーンを採用しており、ガス料金を最小限にしてゲームに特化した作りをしています。

誰でもノードを設置できる

多くのゲーム特化型ブロックチェーンは、ゲームのパフォーマンスや、ゲーム会社が安心して利用できるという観点から、ノードを許可型にしている傾向があります。一方で、Xaiは誰でもノードに参加することができます。

Xaiブロックチェーンのノードは、Sentry(セントリー)ノードと呼ばれ、Xaiブロックチェーンのロールアッププロトコルを監視する役割を果たします。不正なブロックが提案された場合に、他のノードが介入できるようにアラームを発し、ベリファイアのジレンマ*1を解決することを目的としています。Sentryノードを運用するには、NFT形式のライセンスを購入する必要があり、ライセンス価格は、2023年12月30日時点で約0.94ETHです。

*1 ベリファイアのジレンマ:計算の正しさを検証するはずの当事者が、検証にコストがかかるために、計算が正しいと仮定したり推測したりしてしまうという問題です。この問題は、ブロックチェーンやスマートコントラクトなどの分散システムにおいて、ベリファイアが不正な計算を見逃してしまう可能性があることを意味します。

XAIトークン

Xaiブロックチェーンでは、ネイティブトークンとして$XAIが発行されます。

$XAIは、レイヤー1/2のネイティブトークンと同様に、トランザクションをチェーンに記録するためのガスとして用いられ、ガスで使用された$XAIはバーンされるようになっています。

Sentryノードに報酬や特典を与えるesXAIトークン

Xaiブロックチェーンには、Sentryノードのオペレーターに報酬や様々な特典を与えるための、エスクローされた$XAIトークンである$esXAIが用意されます。$esXAIは譲渡不可なトークンで、オペレーターはそれぞれのアカウントにステーキングすることで以下のようなメリットを享受することができます。

  • イールドアカウント:イールドアカウントに$esXAIをステーキングすることで、esXAIの利回りを増やすことができる。
  • カルチャーアカウント:esXAIをステーキングすることで、Xaiブロックチェーンに展開されたゲームに関連する特別なイベントやNFTにアクセスすることができる。
  • ガバナンスアカウント: オペレーターはDAO/トレジャリーの財務に関する提案を含むDAOガバナンスの権利のためにステーキングすることができる。

このように、Sentryノードのオペレーターになり、$esXAIをステーキングすることで、オペレーターは様々な特典を受けることができます。

$XAIから$esXAIに交換するのには制約がないものの、その逆を行うためのアンロック期間が設定されています。アンロックは15、90、180日から選択することができ、それに応じて$XAIへの交換比率がそれぞれ25.0%、62.5%、100%に設定されています。もし、オペレーターが180日未満のアンロック期間を選択した場合、換金されなかった$seXAIはバーンされます。

XAIトークンの配布

$XAIは、$esXAIと合わせ最大供給量が25億トークンに設定されています。ブロック報酬によるインフレはなく、以下の内訳に応じて配布されるようになっています。

  • 50.0%:ノード、コミュニティ、DAC(AnyTrustチェーンのData Availability Committee
  • 22.4%:初期ラウンドの投資家
  • 20.0%:コアチームと早期貢献者
  • 7.5%:マーケットメイカー及びエコシステム

それぞれのアロケーションには、クリフやべスティングが設定されています。詳しくは、Initial Allocation of XAIから確認することができます。

XAIトークンを売買できる取引所

Xaiに関する情報

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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