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ゲーム・NFT特化型チェーン「WAX(WAXP)」の解説

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現在は特定用途に特化したチェーンが増加そており、特にゲームはこの手で最も活発な分野の1つです。WAXは、ゲームとNFTに特化し、ユーザーにインフラの存在を感じさせない体験を提供します。

WAX(WAXP)の概要

WAX(ワックス)は、ゲームとNFTに特化したパブリックブロックチェーンです。この分野では最も古参のブロックチェーンであり、世界で最もトランザクション数が多いブロックチェーンの一つです。WAXプロジェクトは米国を中心に活動し、早期から多数のIPによって利用されてきました。例えば、カプコンUSAがストリートファイターシリーズのNFT販売を行い、他にも複数の日系企業でもWAXブロックチェーンを利用した実績があります。

WAXは、USDTで知られているTetherの共同創業者であるWilliam Quigley氏と、世界で初めてオンラインゲームのRMTを実現した技術者であるJonathan Yantis氏によって、2017年に立ち上げられました。その後、2018年にEthereumでデジタルツインをトークン化するvIRLや、ブロックチェーンベースのアイテムの収集や取引を行うVGOと呼ばれるサービスを提供していました。しかし、トランザクション手数料の高騰により、サービスが使い物にならなくなり、チームはエコシステムをEthereumから切り離すことを余儀なくされました。最終的に、WAXはEOSをベースとしたブロックチェーンである独自ブロックチェーン、WAXブロックチェーンを2019年5月5日に立ち上げました。

WAXブロックチェーンは、早い段階からゲームやNFTに完全に特化したブロックチェーンとして設計されています。そのため、原則的にユーザーは他のパブリックチェーンでみられるようなガスのためのトークンの保有をする必要がなく、簡単にオンチェーンのコンテンツを利用することができるようになっています。また、公式からシードフレーズレスのウォレットであるWAX Cloud Walletが提供されているため、他のブロックチェーンと比べてもオンボードの手間が格段に少なくなっています。

2023年12月現在、WAXブロックチェーンはDAppsによるトランザクション数が約600万件/日と、パブリックブロックチェーンとしては世界で最も使われているブロックチェーンの一つとなっています。

WAX(WAXP)の特徴

ユーザーは原則的にガスを支払う必要がない

WAXブロックチェーンでは、ユーザーがブロックチェーンを簡単に使えるようにするために、原則的にユーザーがガスを支払う必要がない仕組みを採用しました。その代わり、アプリケーション提供者が$WAXPトークンを利用してブロックチェーンのリソースを押さえることになります。これは一般的なクラウドの費用負担モデルと似ているといえます。

しかし、WAXプロトコルブロックチェーンでは、ユーザー側のトランザクション手数料が無料であるゆえに、DDoS攻撃がされやすい仕組みになっています。そのため、アプリケーション側のリソースに制限を設け、DDoS攻撃でアプリケーション側のリソースが上限に達するとそれ以上のトランザクションが実行できなくなるようにします。

極めて厳しいバリデーターの参加条件

WAXブロックチェーンでは、バリデーター(ブロックプロデューサー)がトランザクションの検証を行い、ブロックを生成します。WAXでは、これらのノードのことをギルドと呼んでいます。

WAXブロックチェーンはコンセンサスアルゴリズムにDPoS(Delegated Proof of Stake)を採用しているため、少数精鋭の21ギルドがブロックの生成を行っています。21という数字は、分散化の観点では少ない数字とみなされることが一般的です。しかし、WAXブロックチェーンでは他のブロックチェーンではみられないギルド選定の仕組みを設けることにより、チェーンの安全性を確保しています。

ギルドになるためには、運営者が申請を行った後、コミュニティから選出された審議会メンバーであるOIG(Office of Inspector General Dashboard)とミーティングを行います。その後、運営者はギルド候補者としてギルドになるための活動を行います。その後、OIGから月次で評価されることになります。評価項目は技術オペレーションとプロダクト開発、エコシステム開発の3部門で構成され、それぞれにポイントが割り当てられています。一定以上の合計ポイントを取得することにより、はじめてギルドとして認められることになります。しかし、ギルドがブロックの生成に関われるようになるためには、獲得ポイント数が上位21位以内に入る必要があります。

このように、WAXブロックチェーンではノードのための設備を単に保有するだけではギルドになることはできず、ギルドはWAXエコシステムへの極めて高いコミットを求められます。コミット度が下がるとブロック生成に参加できなくなるため、仕組み上ギルドが不正をすることを困難にしています。

WAXPトークン

WAXブロックチェーンでは、ネイティブトークンとして$WAXPを利用します。このトークンは、一般ユーザーが保有する必要はなく、WAXエコシステムのヘビーユーザーやアプリケーション提供者が保有することになります。

WAXPトークンの用途

$WAXPは、以下の用途で利用されます。

  • NFT売買のための料金
  • DAppsのトランザクションを実行するためのシステムリソース確保
  • ギルドへのステーキング
  • ブロックチェーン改善のためのガバナンス参加
  • WAXアカウントの作成料金(=5 WAXP)

トークノミクスの変化

WAXでは、Ethereumからメインネットへの移行後、年率5%の固定インフレ率に基づいて追加発行されていましたが、2023年11月28日にトークノミクスのアップグレードが発表されました。

新しいトークノミクスでは、取引手数料を徴収するようになり、運用コストが取引量に連動するようになります。しかし、CloudWalletBoostにより、一般ユーザーは毎日一定回数のガスレス取引を利用することができるようになります。

また、インフレ率が可変になることにより、トランザクション手数料がチェーン運営コストを超える場合にインフレ率はマイナスになり、余剰トークンは供給からバーンされるようになります。

$WAXPのインフレーション

$WAXPのインフレーション(引用元:WAX Tokenomics Upgrade Explainedより、筆者による日本語訳)

WAXPトークンが売買できる取引所

WAXに関する情報

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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