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Web3のデータレイク「Subsquid Network(SQD)」の解説

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Subsquid Network(SQD)の概要

Subsquid Network(サブスクウィッド・ネットワーク、以下Subsquid)は、様々なブロックチェーン内外のデータを集約してインデックス化し、高速に検索して活用しやすくするためのWeb3のデータレイクを構築するプロトコルです。Subsquidにより、テラバイト規模のオンチェーンおよびオフチェーンのデータを一括クエリして集約することができます。より平易な言葉で、SubsquidはWeb3におけるGoogleのような立ち位置です。

Ethereumをきっかけに、ブロックチェーンでスマートコントラクトが使えるようになってから、データの活用がブロックチェーンを使ったアプリケーションの表現性や利便性を左右するようになってきました。多くのブロックチェーンが大量のトランザクションデータを生成し、そしてブロックチェーンの外にあるデータも増加していく現状において、データを照会して集約することは非常に複雑になっています。

Subsquidでは、無限に拡張できるデータレイクを構築して、誰にでもデータを提供、利用可能にし、検証可能なクエリ結果を提供するネットワークを提供します。初期段階では、Subsquidは適切なノードのローカルデータを照会することで解決できる単純なクエリのみをサポートし、後に汎用SQLクエリをサポートするクエリ計画・実行レイヤーを追加し、ネットワークを拡張する計画を立てています。

アーキテクチャ概要

Subsquidは、6種類のアクターにより構成されます。その中でも、データを利用するまでに大きな役割を担うのがデータプロバイダー、スケジューラー、ワーカーです。

データプロバイダーは、ブロックチェーン内外からデータを収集し、ワーカーがデータを利用できるようにする役割を担います。データの品質とデータのタイムリーな提供に責任を負い、取り込まれたデータはハッシュを比較して検証され、小さな圧縮されたデータ(チャンク)に分割されて永続的なストレージに保存します。チャンクは、スケジューラによって、ワーカーにランダムで配布されます。そして、ワーカーはストレージと計算リソースをネットワークに提供し、P2Pでデータを提供します。データ利用者は、ゲートウェイか外部サービスを通してワーカーからデータを取得します。

初期状態では、Subsquidはオンチェーンデータに焦点を当てており、データプロバイダーはEVMチェーン(レイヤー1, 2)とSubstrateチェーンに対応しています。また、近い将来Cosmos SDKベースのチェーンとSolanaが追加される予定です。

アーキテクチャの詳しくは、ホワイトペーパーの「Design Overview」をご覧ください。

Subsquid のアーキテクチャ概略図

Subsquid のアーキテクチャ概略図(引用:ホワイトペーパー

Subsquid NetworkとThe Graphとの違い

Subsquidが対象とする分野では、The Graphが先行しています。プロジェクトは、The Graphとの相違点として、以下をあげています。

  • Subsquidがモジュール式のアーキテクチャで、オンチェーンデータをブロックチェーンノードから直接ではなく、分散型データレイヤーから抽出する。
  • The Graphと比べて100倍高速なインデックス作成、保証されたデータの一貫性、小さなネットワークでも信頼できるインデックス作成が可能。

両者の詳細な比較は、「Subsquid vs The Graph」から確認することができます。

SQDトークン

Subsquidでは、エコシステムのネイティブトークンとしてERC20トークンの$SQDが用いられます。$SQDは、Ethereum上で発行され、Arbitrum Oneにブリッジされます。

SQDトークンの用途

  • ネットワークへのインフラ提供者へのインセンティブ
  • ノード運営者への委任
  • ロックによりデータのレート制限を増加
  • ネットワークのガバナンス

SQDトークンの配布

$SQDは、総供給量が13億3700枚で、以下の内訳に応じて割り当てられます。

種別 総供給量に対する割合
プレシード投資家 12.0%
シード投資家 16.3%
戦略的セールI 投資家 4.6%
戦略的セールII 投資家 2.0%
チーム 15.0%
準備金 28.1%
流動性 5.0%
ワーカー報酬 10.0%
コミュニティセール 5.0%
テストネット参加者 1.0%
テストネットワーカー 1.0%

それぞれの割当てに対してロックアップ期間(クリフ)とその後のベスティング期間が定められ、以下のグラフの時間軸に応じて$SQDがリリースされます。

$SQDトークンのリリース

$SQDトークンのリリース(引用:CoinList – Subsquid

SQDトークンを売買できる取引所

2024年1月8日時点、$SQDを売買できる取引所はなく、1月18日にCoinListにてトークンセールが予定されています。

Subsquid Networkに関する情報

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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