Layer2・サイドチェーン暗号資産

Bitcoinのサイドチェーン「Rootstock」の解説

Layer2・サイドチェーン
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碑文から始まったBRC-20をきっかけに、Bitcoinのエコシステムが盛り上がりを見せており、Bitcoinで仮想マシンを実行できるプロジェクトが増加傾向にあります。その中でも、Rootstockは老舗のBitcoinのサイドチェーンです。

Rootstockの概要

Rootstock(ルートストック、旧RSK)は、Bitcoinのサイドチェーンです。Bitcoin経済圏に仮想マシンをもたらすプロジェクトとしては最も歴史が長く、2015年にプロジェクトが始まり、2018年1月2日にメインネットがローンチしました。

Rootstockの開発動機は、Bitcoinのエコシステムに価値を付加し、機能を拡張することです。Bitcoinでスクリプトの実行はできるものの、その機能は限定的でチューリング完全ではありません。Rootstockでは、EVM互換の仮想マシンを実行することができるため、開発者はEthereumと同じような感覚で$BTCを使ったDAppsを作ることができるようになります。

また、Rootstockはセキュリティを確保するためにマージマイニングを導入しています。これは、Bitcoinチェーンのマイニングの計算結果をRootstockに使い回すというもので、マージマイニングによりRootstockは、パブリックブロックチェーンでは最強を誇るBitcoinのセキュリティの一部を自身のチェーンにも利用することができるようになります。

Rootstockチェーンには独自トークンはなく、Bitcoinチェーンからブリッジされた$BTCである$RBTCをガスとして利用します。また、同チェーンは300TPSの処理容量を誇っており、最終的に1,000TPSに拡張される予定です。

Rootstockの概要

RVM:EVM互換の仮想マシン

Rootstockでは、スマートコントラクト実行時にEVM互換の仮想マシンであるRVM(RSK Virtual Machine)を利用します。したがって、開発者はRootstockのDAppの開発においてもEthereumと同じコード、ツール、ライブラリを使用することができます。

ただし、RVMは100%Ethereumとの互換性があるわけではありません。チェックサムの計算方法や、派生パス(Derivation Path)やガスに違いがあります。詳しくは、「Differences with Ethereum: Checksums, derivation paths, gas prices」から確認することができます。

マージマイニング:Bitcoinチェーンのセキュリティの一部を利用

Rootstockでは、マージマイニングを使うことで、Bitcoinのセキュリティの一部を自身のチェーンにも適用します。これは、マイナーがRootstockとBitcoinのチェーンを同時にマイニングすることができるという仕組みです。

Bitcoinのマイニングプールは、配布するマイニングジョブにRootstockのブロックへの参照を含めます。マイナーが解を見つけるたびに、それはBitcoinとRootstockの両方のネットワークの難易度と比較されます。マイナーが出した解がBitcoinネットワークの難易度を満たす場合、もしくはBitcoinネットワークの難易度を満たさなくてもRootstockネットワークの難易度を満たす場合、解がRootstockネットワークに送信されれます。送信された解により、ノードはSPVプールを構築することができ、その証明が有効であればネットワークに送信されるブロックの一部として含まれるようになります。

マージマイニングは、RootstockチェーンのセキュリティがBitcoinによって強化されるメリットがある他に、マイナーにとっても追加投資なしでマイニングしたRootstockのブロックから手数料を得られるようになるメリットがあります。

Rootstockをマージマイニングするかはマイナー側の任意であるため、必ずしもすべてのBitcoinマイニングのハッシュレートがRootstockチェーンに投入されているわけではありません。しかし、2024年1月15日時点で、Bitcoinの約50%のハッシュレートがRootstockにも投入されています。マージマイニングによるRootstockのハッシュパワーは、統計サイトから確認することができます。

PowPeg:BTCとRBTCの1対1のペグ

Rootstockでは、PowPegという仕組みにより$BTCをRootstockネットワークに取り組み、$RBTCとして使うことができるようになります。$RTBCはRootstockにおけるガスとして使用されます。

$RBTCを確保するには、ユーザーは$BTCを特別なアドレスに送ります。送った$BTCはロックされ、次にRootstockネットワーク上の同じアドレスで、同僚のBitcoinが$RBTCとしてミントされます。これをペグインと言います。もし、ペグアウトして$BTCをBitcoinネットワークに戻したい場合は、同様にRootstockネットワーク内の特別なアドレスに$RBTCを送ります。

RIF:Rootstockのためのインフラフレームワーク

Rootstockでは、Rootstock Infrastructure Framework (RIF)というサービスが提供され、DAppsをより速く、より簡単に、そしてスケーラブルに開発することができる分散型インフラのプロトコル群が用意されています。

プロトコル群には、以下のものが含まれます。

  • RIF Wallet:暗号資産の貸出し、保管や支払い、スマートウォレットを簡単に立ち上げられる。
  • RIF Name Service:ENSのようなネームサービス。
  • RIF Rollup:zkRollupによるRootstock上での高速かつ低コストな決済のためのプロトコル。$RBTCとERC20トークンの低ガス転送に対応。
  • rLogin:ユーザーが好きなウォレットを選んでログインできるようにする方法を提供できる。
  • RIF Flyover:従来のペグイン($BTC->$RBTC)より高速なプロトコル。
  • RIF Relay:ユーザーにガスをスポンサリングする仕組みを提供できる。

これらの一連のサービスへのアクセスと支払いは、$RIFトークンで行う必要があります。$RIFトークンは、Gate.ioBitgetの他、RootstockのDEXであるSOVRYNからも入手することができます。

Rootstockに関する情報

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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