Pyth Network(PYTH)の概要
Pyth Network(ピスネットワーク)は、セキュリティとデータの正確性、スケーラビリティに主眼をおいたオラクル専用のブロックチェーンです。
ブロックチェーンを活用するためには、ブロックチェーン内部の情報だけでは足りず、外部情報をチェーンに提供する仕組みであるオラクルが必要です。しかし、従来のオラクルは更新頻度が遅く、データを利用するコストが高いため、アプリケーション提供者は高頻度取引のようなシビアなユースケースに対応する事ができませんでした。
Pyth Networkは、後発プロジェクトとして従来の欠点を解消したオラクルを提供しています。高いセキュリティと正確性、スケーラビリティを兼ね備え、100近くのデータプロバイダーからのデータ提供を受けています。データプロバイダーは、取引所やマーケットメイカー、金融サービスプロバイダーで構成され、いくつかの日本の取引所も参加しています。
Pyth NetworkそのものはSolanaをベースにしたPythnet(ピスネット)とよばれるPoAのチェーンとして構築されています。チェーンはオラクルに特化しており、価格フィードの発行、集約、他のブロックチェーンへの発信に徹しています。データの配信頻度は400ミリ秒で、既存のオラクルと比べても高速な値となっています。また、価格フィードを利用するアプリケーションは、データをリクエストして取得する方式により、従来のオラクルよりもデータ取得コストが低く済むようになっています。
Pyth Network(PYTH)の特徴
データプロバイダーがチェーンを運営
Pyth Networkは、バリデーターが承認制となるPoA(Proof of Authority)のチェーンで運営されています。バリデーターは、データプロバイダーであるパブリッシャ自身が担うため、Pyth Networkの成長のために正確で信頼できるデータを提供するという強いインセンティブが働いています。これは、他のオラクルよりもデータの信頼性が高くなる可能性があります。
データ更新頻度が高速
Pyth Networkは、データを400ミリ秒で提供しています。これは、同種プロジェクトであるChainlink(数分または数秒の更新頻度)と比べても高速な数字といえます。このような更新頻度は、オンチェーンにおいてもユーザーに高速取引や裁定取引の機会を与えることができるようになります。
また、高頻度な価格更新は指数平滑移動平均線(EMA)のような、細かい時間サンプルが必要な指標の作成を可能にします。例えば、時間更新が10分の場合、5分のEMAを作成することは難しくなります。
低コスト
Pyth Networkは、これまでのオラクルのプッシュ型と異なり、プル型でデータ配信を行っています。これは、データを利用したい場合にはアプリケーションからデータ取得のリクエストを出す必要があるということです。
Pyth Networkでオラクルを利用するためには、データを更新するごとにスマートコントラクトに料金を支払う必要がありますが、必ずしもすべてのユースケースが400ミリ秒ごとにデータが必要とは限りません。そのため、アプリケーション提供者は、プル型によりデータ更新のための料金を節約することができます。
PYTHトークン
$PYTHは、Pyth Networkのネイティブトークンです。
PYTHトークンの用途
- 手数料の支払い
- ガバナンス(起案には合計ステーク数の0.25%以上が必要)
- ステーキング
PYTHトークンの配布
$PYTHの総供給数は100億枚で、2023年11月における初期供給は全体の15%です。その後残りの85%は、最初のトークンのリリースからそれぞれ6, 18, 20, 42ヶ月後にロックが外れます。
以下は、初期供給時におけるトークン配布の内訳になります。
カテゴリー | ロック解除済み | ロック済み | 合計 |
---|---|---|---|
パブリッシャ(データプロバイダー)報酬 | 0.5% | 21.5% | 22.0% |
エコシステム成長 | 7.0% | 45.0% | 52.0% |
プロトコル開発 | 1.5% | 8.5% | 10.0% |
コミュニティと立ち上げ | 6.0% | 0.0% | 6.0% |
プライベートセール | 0.0% | 10.0% | 10.0% |
合計 | 15.0% | 85.0% | 100.0% |