Wynd NetworkとGrassの概要
Wynd Network(ウィンドネットワーク)は、個人がWebスクレイピングの帯域を提供して収益を上げられるようにするためのDePINプロジェクトで、ユースケースとしてGrass(グラス)を開発しています。
今日、サービス開発やマーケティングにはビッグデータが活用されるようになりました。そのためのデータ収集先の一つに、Webページがあります。企業はWebページのデータを収集するためにWebスクレイピングを行い、それらのデータを活用しています。
スクレイピングには、企業がサーバを立て、そこからボットを走らせてデータを収集する手法があります。しかし、これには弊害があります。まず、特定のサーバーから集中してアクセスを行うことによりボットがBANされることがあります。また、近年ではWebページによってはアクセス元の地域に応じたコンテンツを表示することがあるため、企業は欲しいデータを取得できない場合があります。この対処法として、別の地域のIPアドレスを手に入れてアクセスする方法がありますが、現在IPアドレスの主流として使われているIPv4アドレスは数が不足しており、価格が高くなっているため、手軽にできません。
そこで登場したのが、ユーザーのデバイスを経由してスクレイピングを行う方法です。スクレイピングにおけるユーザーのデバイスは住宅用プロキシ(Residential Proxy)と呼ばれ、ユーザーが利用する無料アプリケーションを通じてスクレイピングが行われます。アプリケーション提供者は、収益化のためにアプリケーションにスクレイピング機能を含ませている場合があり、ユーザーは、多くの場合利用規約を読まずにスクレイピングに同意しています。そのため、ユーザーは無意識のうちに自らが住宅プロキシになり、スクレイピングのためのネットワークに参加しています。実際にこの市場の規模は大きく、大手スクレイピング企業のBrightDataは、自社ネットワークで1日650TBのトラフィックを誇り、スクレイピングのためのトラフィックを企業に対して1GBあたり6.30ドルで販売しています。しかし、ユーザーが住宅用プロキシになったからといって、彼らに見返りがあるわけではありません。
Wynd Networkは、住宅用プロキシの民主化を行うネットワークを構築しています。ユーザーは自らが住宅用プロキシになるためのGrassをインストールすることで、スクレイピングにのための帯域を提供します。ユーザーは帯域提供の見返りとして$WYNDトークンを稼ぐことができます。2024年2月12日現在、Grassはメインネットがローンチされておらず、招待制のインセンティブベータ段階です。
Grassの導入
Grassを導入することで、ユーザーは帯域を提供し、住宅用プロキシになることで利益を得ることができます。ユーザーの帯域を基に収集されたデータは、主にインターネットからビッグデータを収集したい企業に対して販売されます。Grassは、初期段階はChrome拡張のみが提供され、後にiOSやAndroid向けのアプリが提供される予定です。また、Grassをインストール後にユーザー登録が必要になります。
Grassの導入により、個人情報やセキュリティの懸念が生じるものの、プロジェクトは「Grass 102: Q&A on Privacy and Security」でこの件について回答しています。ユーザーの個人情報は、GrassまたはWynd Networkによってアクセスまたは利用されることはなく、Grassの拡張機能はユーザーのコンピューター上のいかなるデータにもアクセスすることはありません。また、帯域の購入側の精査が行われるため、原則的に悪意のある者が購入者になれないようになっています。
2024年2月12日現在、Grassを導入することでポイントを稼ぐようになっており、後日トークンに変換されます。また、後日モバイルでも住宅用プロキシに参加することが参加することができるようになります。
WYNDトークン
2024年2月12日時点で$WYNDトークンに関する情報はありません。