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秘密計算プラットフォーム「Nillion(NIL)」の解説

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Nillion(NIL)の概要

Nillion(ニリオン)は、秘密計算を行うためのプラットフォームです。

インターネットの進化により、クラウド上での計算は日常的なものとなり、特にAIの進歩はこの傾向を加速しています。AIは学習のために大量のデータを必要としますが、現在のところ、学習過程で使用されるデータは暗号化されていません。パーソナライズされたAIを活用するためには、個人のプライベートデータが必要となりますが、暗号化されていない状態でこれらのデータを計算に使用すると、プライバシーが侵害される可能性があります。そのため、現在の計算方法では、AIのパーソナライゼーションには限界が存在します。

Nillionの目指すものは、パーソナライズされたAIの実現です。そのために、Nillionでは「秘密計算」を導入しています。秘密計算とは、データを暗号化した状態で計算を行うことができる技術のことを指します。これにより、ユーザーは自身のプライバシーが侵害されることなく、AI事業者やそのノードを通じてパーソナライズされたAIを利用することが可能になります。また、Nillionは特にAIに特化したものではなく、汎用的な秘密計算のプラットフォームとして機能します。そのため、AIだけでなく、DeFiや資産・データの保管、ID管理など、さまざまな応用が可能となります。

Nillionの技術ハイライト

秘密計算

Nillionでは、複数の暗号化技術を用いることで秘密計算(英語でBlind Computing)を実現します。

通常の計算は、暗号化された情報をいったん復号化し、計算を行い、結果を暗号化するという手順を踏みます。これをクラウド上で行うと、復号化のプロセスで第三者からデータを読み取られるリスクが生じます。

一方で、Nillionでは秘密計算を実装しています。秘密計算では、暗号化された情報を復号化せずにそのまま計算を行います。また、後述するオーケストレーションレイヤーによって、複数の秘密計算技術が使い分けされます。

オーケストレーションレイヤー

Nillionでは、秘密計算を行う技術を総称してPET(Privacy Enhancing Technologies)と呼んでおり、PETにはマルチパーティ計算(MPC)、完全準同型暗号化(FHE)、ゼロ知識証明(ZKP)などが含まれています。

PETを構成する各技術は、必ずしもユースケースごとに同一ものが最適とはならない場合があります。例えば、 FHEはグループにおけるプライバシー確保を得意としていますが、ZKPは二者間におけるプライバシー確保を得意としています。

オーケストレーションレイヤー(英語でOrchestration Layer)は、PETを統合することによって、あらゆるユースケースに秘密計算を適用できるようにします。

Nada言語

Nillionプラットフォームでは、MPCプログラムを定義するためにNadaというプログラミング言語を使用します。この言語の初期実装は、Python DSL(ドメイン特化言語)であるNada形式で提供されています。

Nadaにより、ユーザーは効率的にMPCプログラムを作成し、実行することが可能になります。

NILトークン

Nillionでは、ネイティブトークンとして$NILを発行します。

NILトークンの用途

ネットワークの保護:Nillionでは、プラットフォームのコーディネーションレイヤーでブロックチェーンを利用し、コンセンサスにDPoSを用いています。$NILはDPoSのためのセキュリティとして使用されます。

ネットワーク料金:ユーザーは、コーディネーションレイヤーや秘密計算のノードのリソースに対して$NILを支払います。

ネットワークガバナンス:$NILをコーディネーションレイヤー上で行われるオンチェーンガバナンスで使用することができます。

NILトークンの配布

Nillionでは、10億枚の$NILが発行されます。10億枚の内訳は以下の通りです。

  • 20.0%:コア貢献者(Core Contributors)
  • 21.5%:早期投資家(Early Backers)
  • 20.0%:コミュニティ(Community)
  • 21.0%:エコシステム及びパートナー(Ecosystem & Partners)
  • 17.5%:トレジャリー(Tresuary)

トークン配布スケジュールは以下のようになり、最初の6ヶ月はコア貢献者及び早期投資家への配布はありません。

$NILのトークン配布スケジュール

Nillionに関する情報

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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