Movement(MOVE)の概要
Movement(ムーブメント)は、Movement Labsにより開発されているMove言語を使ったモジュラー型ブロックチェーンです。
Move言語によるアプリケーションを実行するMoveVMは、優れたパフォーマンスを確保する一方で、既存のMoveVMのブロックチェーンでは、TVLや流動性、開発者の活動レベルが十分ではありません。そこで、Movementは、セキュリティが強固で経済圏が大きいEthereumと、先進的なMove言語/MoveVMを統合するための環境を提供することで、Moveコミュニティのさらなる拡大を目指していきます。
Movementは、大きく3つのプロダクトで構成されます。
M1は、分散型の共有シーケンサーで、これまでのレイヤー2における集中化されたシーケンサーのリスクを排除します。
M2は、Movement公式の汎用ロールアップです。Ethereumのレイヤー2として構成されており、SuiやAptosと同様にMoveVMを使ってアプリケーションを動かすことができます。さらに、EVMとの互換性をもつMEVMを導入し、開発者により多くの選択肢を提供します。
また、Move Stackにより、開発者は容易に独自ロールアップを作成することができます。M2もまた、Move Stackにより作成されたロールアップです。Move Stackは、他のロールアップの技術スタックと同様に、シーケンサーやデータ可用性(DA)、決済メカニズムを自由に選択することができます。
Movementのプロダクト
M1
M1は、分散型の共有シーケンサーです。M2及びMove Stackによって構築された独自ロールアップで利用されます。集中化された既存のロールアップのシーケンサーと異なり、単一障害点を排除することでネットワークの堅牢性を高める他、トランザクションの順序付けにおける公平性と検閲体制を持ち、誰でも参加することができます。
また、M1ではマルチアセットステーキングを採用しています。シングルアセットステーキングでは、ステーキングに固有のトークンが必要になりますが、これにはステーキング参加へのハードルがあります。マルチアセットステーキングでは、複数種類のトークンのステーキングを可能にすることで、シングル形式のハードルを取り除きます。
M2
M2は、Movement公式の汎用ロールアップです。Ethereumのレイヤー2として構成され、シーケンサーネットワークにM1、データ可用性のためにCelestia(解説記事)を使用しています。
M2では、Move言語で実装したアプリケーションをMoveVMで実行することができ、またEthereum互換のアプリケーションを、並列化されたEVMであるMEVMで実行することができます。2024年8月現在、ネイティブでEVMを実行できるMove言語系のブロックチェーンは存在していないため、MEVMはそれらと比べてユニークと言えます。また、M2上のMoveVMのアプリケーションとMEVMのアプリケーション間で相互運用性を確保することができます。
M2は、ZK-RollupやOptimistic Rollupと別の方式である、Fst-Finality Rollupを採用しています。M1のバリデーターネットワークを使用して、証明が数秒で配信されるため、標準的なZK-Rollupの20~25分、Optimistic Rollupの7日間と比べて、ファイナリティが大幅に短縮されるメリットがあります。
Move Stack
- シーケンサー:M1、その他分散型の共有シーケンサー
- データ可用性(DA):Ethereum EIP-4844 BLOB、主要DAソリューション(0G, Avail, Celestia, EigenDA, Nearなど)
- 決済メカニズム:Optimistic(Fraud Proof)、ZK(Validity Proof)、Fast finality(Attestations)
MOVEトークン
Movementでは、ネイティブトークンとして$MOVEが発行されます。2024年8月時点、トークンの詳細についてはで発表されていません。