Layer2・サイドチェーン

EthStorageの解説 ~Ethereumのストレージを拡張するレイヤー2

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EthStorage の概要

EthStorageは、Ethereumを拡張するためのモジュール式の分散型ストレージレイヤー2として構築された、データ可用性(Data Availability: DA)を提供するプロジェクトです。

EthStorageの主な目的は、Ethereumに基づいた長期的なDAソリューションを提供することです。EIP-4844でロールアップのスループットと効率性を向上させるためにBLOBが導入されました。しかし、BLOBデータは数週間で破棄されるため、ロールアップがレイヤー1から最新のステートを無条件に取得できなくなります。これは、ロールアップでチェーンを同期できなくする可能性をはらんでいます。

また、Ethereumのストレージコストは非常に高額です。ガス価格が10 Gwei の場合、1GBのデータを保管するのに6,250 ETH が必要になります。これは約21億円に相当し、現実的なコストではありません。また、データ保管の代替手段としてFilecoinやArweaveがありますが、これらはDA用途をサポートしていません。さらに、ストレージマイナーの集中化や静的ストレージのみのサポート、不十分なスマートコントラクト機能など、Ethereumとの相性は決して良いものではありません。

EthStorageは、Ethereumと同様のキーバリューストア方式を採用した、長期DAを提供可能なストレージを実現します。1GBあたりのコストは4.43 ETH に抑えられ、Ethereumと密に統合していながらも大幅なコスト削減を実現します。加えて、EthStorageはCRUD(作成・読出・更新・削除)に対応し、これまでの静的な分散型ストレージより高い柔軟性を確保します。

さらに、EthStorageは$ETHさえ持っていればストレージを利用することができ、EVM互換であるため、開発者とユーザー共に既存のEthereumエコシステムのツールをそのまま利用することができます。ストレージプロバイダーとしてEthStorageに参加するためには許可やトークンのステーキングが必要なく、ストレージプロバイダーになるための敷居が低くなっています。

EthStorageのチームは、データ可用性に関する研究のためにEthereum Foundationによるエコシステム支援プログラムからの助成を受けています。

既存の類似プロジェクトとの違い

データ可用性ソリューションとの違い

EthStorageは、他のデータ可用性(DA)ソリューションと比べて、データをEthereumエコシステム内で長期間保存できるようにしています。比較として、データの保存期間はCelestiaでは1〜3ヶ月、EigenDAでは14日間です。

加えて、EthStorageは他のDAソリューションと競合するのではなく、補完的な関係を築いており、Celestiaに対して長期的なDAソリューションを提供しています。この取り組みにより、プログラム可能な動的ストレージインターフェイスを持つロールアップが実現できるようになります。これにより、完全なオンチェーンゲームや分散型ソーシャルネットワーク、さらにはオンチェーンAIといった新しいオンチェーンアプリケーションの開発が可能になると考えられています。

分散型ストレージソリューションとの違い

EthStorageは、既存の分散型ストレージとは異なる独自の立ち位置を持ち、その仕様はEthereumに特化しています。

EthStorageでは、$ETH以外の追加トークンが不要で、EVM互換のため、Ethereumの実装方法を知っていれば新しい技術を学ぶ必要はありません。また、Ethereum上に構築されているため、Ethereumエコシステムとの統合がスムーズに行えます。

さらに、プログラム可能な動的ストレージとオプションとして静的ストレージを提供しており、これは従来の静的な分散ストレージと大きく異なる点です。

以下は、プロジェクトによる比較表です。

EthStorageの動作概要

EthStorageは2つの主要コンポーネントで構成されています。

  1. レイヤー1側: 料金の分配と Proof of Storage の検証を担当するストレージコントラクト
  2. レイヤー2側: esノード(EthStorageのノード)によって構成されるストレージネットワーク。オフチェーンデータのストレージ複製を担当し、継続的なDAサンプリングによって証明を行う。

上記のコンポーネントをもとに、EthStrorageは長期的なDAを維持します。

まず、ユーザーはアプリケーションのコントラクトにデータをアップロードし、アプリケーションコントラクトは、EthStorageコントラクトと対話してデータを保存します。

EthStorageのデータ保存ステップ1

その後、EthStroageのストレージプロバイダーは、レイヤー1から保管するデータの通知を受取り、ストレージプロバイダーはEtheruem DA ネットワークからデータをダウンロードします。

EthStorageのデータ保存ステップ3

ストレージプロバイダーは、レイヤー1にストレージの証明を行い、レイヤー2に大量のデータ複製があることを証明します。証明が正常に終わると、レイヤー1のEthStorageコントラクトによってストレージプロバイダーに報酬が与えられます。

EthStorageのデータ保存ステップ4

EthStorage のトークン

EthStorageのトークンに関する情報はありません。

EthStorageに関する情報

 

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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