Layer2・サイドチェーン暗号資産

Unichain (UNI) の解説 ~Uniswapによるアプリチェーン

Layer2・サイドチェーン
スポンサーリンク

ブロックチェーン技術の進化に伴い、モジュラーチェーンをはじめとするチェーン構築フレームワークの拡大により、アプリケーション特化型チェーンの事例が増えています。この潮流の中で、大手DEXのUniswapも、独自のチェーン「Unichain」をリリースし、サービスの統合を図っています。

Unichainの概要

Unichainは、UniswapをはじめとするDeFiエコシステムに特化したEthereumのレイヤー2ソリューションです。チェーン全体の流動性の流動性のハブとなるように最適化され、取引速度の向上とユーザー利益の最大化を目指して設計されています。OP Stackの技術を基盤とし、Superchainエコシステムとして構築されたUnichainは、開発者がEVM互換のアプリケーションを容易に展開できる環境を提供します。

この状況を打開すべく、Ethereumコミュニティは「ロールアップ」技術に大きな期待を寄せています。しかし、この解決策にも課題が存在します。現状のロールアップ実装では、運営主体への過度の信頼が必要となり、分散化の理念に反するリスクが指摘されています。さらに、最大抽出可能価値(MEV)の問題も深刻です。MEVは、取引の順序操作によってユーザーから不当に利益を搾取する行為であり、公平性を脅かす大きな懸念事項となっています。

MEV対策として提案されているプライベートmempoolも、新たな問題を生み出しています。この仕組みは単一障害点となる可能性があり、システム全体の脆弱性を高めるリスクがあります。

一方、Uniswapに代表される自動マーケットメーカー(AMM)型の分散型取引所(DEX)は、DeFi領域で急速に普及していますが、既存のブロックチェーンの制約により、新たな課題に直面しています。特に、流動性提供者が直面する逆選択リスクや、悪意のある取引者によるサンドイッチ攻撃のリスクは、AMM DEXの健全な成長を阻害する要因となっています。

Unichainは、これらの問題に対処するため、独自の検証可能なブロック構築(Provable Block Building)とUnichain検証ネットワーク(Unichain Validation Network: UVN)を開発しました。「検証可能なブロック構築」は、レイヤー2の高速性を維持しつつ、中立性も確保する技術です。これにより、ユーザーは低遅延で取引でき、MEV(Miner Extractable Value)による不利益を最小限に抑えます。一方、「UVN」は単一のシーケンサーに依存するリスクを軽減し、高速なクロスチェーン取引の決済とファイナリティを提供します。これらの革新により、Unichainはブロックチェーンの効率性と信頼性を大幅に向上させます。

Unichainは2024年11月上旬にパブリックメインネットの稼働を予定しており、既にUniswapのガバナンストークンとして発行されている $UNI トークンが、Unichainのネイティブトークンとして採用されます。

技術ハイライト

検証可能なブロック構築(Provable Block Building)

ブロックチェーン技術の中核を成すのがブロック構築です。この過程がMEV(Miner Extractable Value)の抽出やネットワークの応答速度を左右します。Unichainは、検証可能なブロック構築(Provable Block Building)という新しいアプローチにより、中立性を保ちながらMEVの影響を最小限に抑え、高速なブロック生成を実現してます。

従来のレイヤー2ソリューションでは、シーケンサーがブロック構築を担当していました。しかし、この方式には検閲リスクやフロントランニング、MEVの独占的抽出など、ユーザーにとって不利な側面がありました。

そこで、Unichainでは、検証可能なブロック構築(Provable Block Building)を導入し、ブロック構築の役割をシーケンサーから分離しました。ブロック構築はブロックビルダーのハードウェアのTEE(Trusted Execution Enviorment)にて行われ、外部ユーザーはトランザクションが正しく順序付けれたということを検証できるようになります。

このアプローチの中心にあるのが「フラッシュブロック」です。これは、ブロックビルダーが発行するブロックの事前確認(Pre-confirmations)を指します。まだブロックが生成されていない段階で、トランザクションがブロックに含まれることを保証するこの仕組みにより、ユーザーは高速なトランザクションを実行できるようになります。

具体的には、ユーザーのトランザクションがブロックビルダーに送信されると、ビルダーはそれをフラッシュブロックに段階的にコミットします。フラッシュブロックには、フラッシュブロックには、最終的に提案されるブロックに含まれるトランザクションが順序付けされています。シーケンサーがこのフラッシュブロックを保留中のブロックとしてブロードキャストします。

現在のほとんどのロールアップは、シリアル化とステートルート生成のために、高いレイテンシを余儀なくされ、1秒時間のブロック時間を実現できませんが、Unichainではフラッシュブロックにより200~250ミリ秒のブロック時間を実現します。

Unichain検証ネットワーク(Unichain Validation Network: UVN)

Unichain検証ネットワーク(Unichain Validation Network: UVN)は、ブロックチェーンの状態を独立して検証するための分散型バリデーターネットワークです。UVNでは、ブロック生成のプロセスがブロックビルダーとバリデーターに分かれているため、単一シーケンサーのアーキテクチャに起因するリスクを回避できます。

UVNのバリデーターになるためには、ノードオペレーターはEthereumメインネット上で$UNIをステークする必要があります。

UNIトークン

Unichainでは、もともとUniswapのガバナンストークンとして使われていた$UNIが、Unichainのネイティブトークンとなり、チェーンのセキュリティ維持に使われます。

その他、Unichainにおける$UNIのトークノミクスは公開されていません。

Unichainに関する情報

スポンサーリンク
この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

Junya Katoをフォローする
タイトルとURLをコピーしました