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Aleph Zero (AZERO) の解説 ~プライバシーとスケーラビリティを両立する次世代ブロックチェーン

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Aleph Zeroの概要

Aleph Zero(アレフゼロ)は、ブロックチェーンの実用化を目指すプロジェクトです。特にプライバシーに注力し、優れた速度、検証時間、スケーラビリティやセキュリティを提供することで、これまでのブロックチェーンでは実現できなかった領域にまでそのユースケースを拡げます。

Web3の基盤であるブロックチェーンは、一般的に高い透明性を持ち、アカウントの残高や保有資産、取引履歴などを含むすべてのデータを公開します。エンタープライズにとって、このような状況はブロックチェーンの利用を妨げる大きな要因の一つになっています。Aleph Zeroでは、ゼロ知識証明を使い、ブロックチェーンにプライバシーをもたらし、データを秘匿しながらも数学的に検証可能にすることで、ブロックチェーンのエンタープライズの利用を促していきます。

プロジェクトは、現在以下の2つチェーンをリリースし、アプリケーション開発者に選択肢を提供しています。

  • Aleph Zero WASM:Substrateベースのレイヤー1。独自のコンセンサスアルゴリズムAlephBFTを採用。
  • Aleph Zero EVM:Arbitrum OrbitベースのEthereumのレイヤー2。Aleph Zero WASMをデータ可用性として利用。

一般的に、複数のチェーンをもつプロジェクトは、実質的に古いチェーンのエコシステム開発を止める傾向があります。しかし、Aleph Zeroは例外的で、両方のチェーンの開発及びエコシステム強化を継続しています。

Aleph Zeroの技術スタック

Aleph Zeroの技術スタック(引用:Aleph Zero EVM and zkOS: building Privacy-as-a-Service for web3

アプリケーション開発者は、両チェーンにおいて2024年内にリリースされるzkToolkitを使い、zkOSと統合することにより、プライバシーを確保したアプリケーションを容易に展開できるようになります。

zkOSには、ユーザーが快適にアプリケーションを利用できるようになるための機能が備えられています。証明の計算をサーバーではなくクライアントデバイス側で行なうことで、1秒未満の証明の生成速度を達成し、実用性を確保します。また、ZK-IDの提供により、ユーザーにとってのインフラ利用の敷居を下げ、AML/CFTのためのコンプライアンス対応を実現します。

Aleph Zero のトークン$AZEROは、Aleph Zero WASMでネイティブに発行されており、Substrateチェーンに対応したウォレット(Nova WalletSubWalletTalismanなど)を利用することで、簡単にステーキングに参加することができます。また、公式ブリッジのMOSTを通じてAleph Zero EVMにブリッジできるようになっています。$AZERO は、Aleph Zero WASM及びAleph Zero EVMの双方において、ガスの役割を担います。

Aleph Zeroは、エンタープライズの取り込みを積極的に行っており、実際にそのエコシステムには、ドイツ最大の通信事業者であるドイツテレコム(Deutsche Telekom)がバリデーターとして参加しています。

Aleph Zero WASMの特徴

Aleph Zero WASM(以下、WASM L1)は、2021年11月10日にメインネットをローンチした、仮想マシンにWASMを用いたSubstrateベースのパブリックチェーンです。アプリケーション開発者は、Rustやink!の開発言語を使うことにより、WASM L1でアプリケーションを展開することができます。

WASM L1は独自のコンセンサスアルゴリズムであるAlephBFTは、ブロックチェーンのトリレンマを解消することができるアルゴリズムで、その論文*1は査読を通過しています。AlephBFTの性能は既存のものと比べて高い性能を誇っています。実際に行われたトランザクション速度のテストでは、Go言語による実装において、5大陸に分散させた112のAWSノードの実験環境で89,600 TPS、416ミリ秒の検証時間を達成しました。AlephBFTはトランザクション数に関係なく、常に高速な検証時間を達成できるため、WASM L1上でサービス水準合意(SLA)が必要なアプリケーションの実現を可能にします。

また、プロジェクトは2023年1月30日にPolkadotのパラチェーン枠を獲得しており、Polkadotエコシステムとの相互接続性を確保しています。注意点として、WASM L1そのものはパラチェーンではないということです。パラチェーンになるには、SubstrateチェーンにおいてデフォルトのコンセンサスアルゴリズムのBABE/GRANDPAを使う必要があり、これは独自のコンセンサスアルゴリズムを利用できないということを意味します。WASM L1はAlephBFTを使っているため、プロジェクトはPolkadotエコシステムと接続するためのブリッジのためのチェーン「zParachain」を用意するというアプローチを採りました。

また、WASM L1は、Ethereum レイヤー2であるAleph Zero EVM のデータ可用性レイヤー(DAレイヤー)を担っています。

Aleph ZeroとPolkadotエコシステムとのブリッジ(引用:Aleph Zero Bridges: Introducing MOST

*1 AlephBFT に関する査読付き論文: Aleph: Efficient Atomic Broadcast in Asynchronous Networks with Byzantine Nodes

Aleph Zero EVMの特徴

Aleph Zero EVM(以下、EVM L2)は、2024年8月12日にメインネットをローンチしたEthereum レイヤー2です。250ミリ秒のブロック時間と、数千TPSの性能を誇り、即時のファイナリティを得ることができます。開発者は、Web3アプリケーションを作るためにRustやink!を新たに学習する必要がなく、SolidityやVyperなどの既に慣れ親しんだ開発言語を使い、Aleph Zeroの技術を使ったアプリケーションを構築することができます。また、ユーザーもMetaMaskなどの慣れ親しんだツールをそのまま利用することができます。

EVM L2は、Arbitrum OrbitとGelatoのフレームワークで構築されています。これにより、広範な開発者ツールと、オラクル、ブロックエクスプローラ、マルチシグなどのサードパーティインフラストラクチャーが含まれ、EVM L2の開始当初から多目的なプラットフォームを実現しています。また、WASM L1と同様に、zkOSを利用することでEVM環境にもプライバシーを確保したアプリケーションを実現することができます。加えて、強化されたアカウント抽象化機能が組み込まれることで、ユーザーに優れた体験をもたらします。

また、EVM L2ではvib3sが利用できるようになります。これはスポーツおよびエンターテイメント業界向けのホワイトラベルソリューションで、アカウント抽象化機能により、Web2のようなユーザー体験を備えたロイヤルティプログラムにWeb3の強みを加えることができます。

AZEROトークン

$AZERO の用途

Aleph Zeroでは、プラットフォームのネイティブ通貨として$AZEROを利用します。$AZEROは、以下の用途で利用されます。

  • バリデーターノードのステーキング(Aleph Zero WASM)
  • DEXのスワップ手数料
  • Aleph Zero WASM / Aleph Zero EVM の手数料
  • zkOSのプライバシー機能の手数料
  • ガバナンス投票

$AZERO の供給

当初最大供給量が設定されていなかった$AZEROは、年間 30,000,000 AZERO がブロック報酬として新規に発行されていました。

2024年9月に行われたコミュニティ投票で最大供給量が 520,000,000 AZERO に決定し、また指数関数的なインフレ減少が導入されました。これらの変更により、インフレ圧力の軽減、$AZEROの価値提案の強化、開発者やユーザー、保有者のすべてに利益をもたらし、より予測可能なトークノミクス構造を実現します。

$AZEROを取引できる取引所

Aleph Zeroに関する情報

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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