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Tari (XTM) の解説 ~ハイブリッドマイニングによる高速チェーン

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Tari (XTM) の概要

Tari(タリ)は、チケットやポイント、ゲーム内アイテムなどのデジタル資産を管理するために設計されたブロックチェーンプロトコルです。このプロトコルは、コミュニティ主導によりオープンソースで開発されています。

Tariの目標は、誰でも簡単にデジタル資産を作成し、使えるようにする分散型プラットフォームを提供することです。このプラットフォームは、安全でスムーズなユーザーエクスペリエンスを提供し、クリエイターが自由に資産を提供できるようになっています。また、拡張性に優れ、多くの人が同時に利用しても安定して動作します。分散化を重視し、単一障害点を避けることで、暗号資産の安全性を確保します。

Tariのプラットフォームは、ベースレイヤーとDigital Asset Network (DAN)から構成され、スピードとセキュリティ、分散化のバランスを取っています。この2つのレイヤーは、それぞれレイヤー1とレイヤー2の関係性に相当します。さらに、デフォルトでトランザクションの機密性を提供し、個人や企業が安心して利用できるプラットフォームを目指しています。

TariのコアコントリビューターであるTari Labsは、プライバシー技術の一つであるMimblewimble(ミンブルウィンブル)の研究を行っており、MoneroRust LightningTower?などのWeb3プロジェクトに関わった実績があります。

Tariは、2024年9月12日にテストネットを立ち上げ、2025年4月にメインネットの立ち上げを予定しています。また、エアドロップではテストネットにおけるマイングノード稼働へのウェイトがかなり高めになっており、マイニングに参加することで上位に行きやすい構造になっています。

Tariの技術ハイライト

2レイヤー構成

Tariでは、分散システムのトリレンマを克服するために、ベースレイヤーとDigital Asset Network (DAN)からなる2つのレイヤーでプラットフォームを構成しています。

ベースレイヤー

ベースレイヤーは、セキュリティを最大限に高めるために Proof of Work (PoW) のハイブリッドマイニング(後述)によって保護された、$XTMの取引を提供するレイヤーです。一般的なレイヤー1/2におけるレイヤー1に相当する役割を果たし、Digital Asset Network (DAN)が障害を起こした場合に、それを復旧するためのグローバル参照クロックを提供します。

このレイヤーは、MimbleWimble(MW)によって取引を非公開にすることで、取引のプライバシーを保護します。MWは、GrinBEAMによって初めて導入された、UTXOの入出力を隠すことができるプライバシー保護技術です。トランザクション履歴をコンパクトにすることで、ブロックチェーンのサイズを削減し、より多くのトランザクションを処理できるメリットがあります。

Digital Asset Network (DAN)

Digital Asset Network (DAN) は、すべてのデジタル資産のステートを各々に管理する、スケーラブルで効率的なベースレイヤーのサイドチェーンです。一般的なレイヤー1/2におけるレイヤー2に相当する役割を果たします。DANが障害を起こした場合には、ベースレイヤーのグローバル参照クロックにより内容が復元されます。

DANは、2つの概念レベルで構成され、コンセンサスレイヤーにはCerberus-Hotstuff コンセンサスアルゴリズムが使用されます。これにより、非常にスケーラブルなコンセンサスを行うことができます。また、セマンティックレイヤーでは、WasmベースのTari仮想マシン (TVM) でスマートコントラクトを実行することができます。将来的にEVMなどの別の仮想マシンがサポートされる可能性があります。

ハイブリッドマイニングによるセキュリティ確保

Tariでは、Proof of Stake (PoS) が主流の現在において、ベースレイヤーのセキュリティ確保にハイブリッドマイニングを採用しています。

これは、ベースレイヤーのマイニングに2種類の Proof of Work (PoW) を採用しているということを意味します。MoneroのマージマイニングSha3xのマイニングが採用され、それぞれ60%と40%のブロック報酬が割り当てられます。

Moneroのマージマイニング

マージマイニングは、他のPoWチェーンのマイニングの計算結果を使いまわすという技術で、既存のPoWチェーンのセキュリティを部分的に利用できるというメリットがあります。マージマイニングの代表的な例には、Rootstock解説記事)があります。

TariにおけるMoneroマージマイニングでは、マイナーがTariのネイティブトークン$XTMとMoneroのネイティブトークン$XMRを獲得することができます。Moneroのハッシュパワーを採用した理由として、プロジェクトは、Moneroが分散化に深い理解を示していることと、Moneroコミュニティの推進理念に共感していることをあげています。

Sha3xのマイニング

当初は、セキュリティの100%をMoneroのマージマイニングで賄う予定だったTariは、ハッシュレートの攻撃リスクを考慮してSha3xのマイニングを採用しました。

ハイブリッドマイニングでは、アルゴリズムの独立性が重要になります。同じマイニングハードウェアを使用できると、マイナーが簡単に切り替えることができ、セキュリティが脆弱になる可能性があるためです。そこで、Tariでは、GPU/ASICによるMoneroと重ならないように、Sha3xではCPUを使用したマイニング方式を採用しました。

モバイルウォレット: Tari Aurora

Tariは、独自のモバイルウォレットとしてTari AuroraiOS, Android)を提供しています。

このウォレットは、Tariのエコシステムを利用するための出発点として設計されています。すべての人が安全に使用することができるようにプライバシー機能が実装されており、通信の難読化のためにTorを、トランザクションの難読化にMimbleWimbleを使用します。

Tari Auroraのユニークな点として、ウォレットの識別にEmoji IDを採用しています。これは、絵文字をユーザーIDに使うというもので、覚えやすく、読み間違いの防止を目的としています。従来のウォレットアドレスでは、例えば O(英小文字オー)と0(数字ゼロ)の読み間違いにより誤送信が起こる可能性があり、このようなケースを防止します。

また、本記事作成時点でTariのメインネットはローンチしていないものの、テストネットのトークン$tXTMでTariのグッズを購入することができるようになっています。

Tari Auroraの画面

 

Tariコイン (XTM)

$XTMは、ベースレイヤーのトークンです。ベースレイヤーのCoinbaseトランザクションの発行スケジュールに従ってリリースされます。$XTMのトークノミクスは、2025年3月11日現在公開されていません。

Tariに関する情報

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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