最近のブロックチェーン活用は、紙によるやりとりが多く、特に情報が分断化されている分野で進行しています。特に不動産は、古くからある産業であるため、アナログな領域が多くを占めています。
今回は、パブリックブロックチェーンを使った不動産取引を実現するプロジェクト「ASK Estate」について紹介します。
ASK Estateの概要
インターネットが普及し、あらゆる取引が規格化されて国境を越える世の中において、一貫してグローバルさが欠如しているのが不動産です。不動産は古くからある産業の1つであり、古い商習慣やシステムに引きずられ、効果的なIT化が実現できていない領域の一つです。
ASK Estateプロジェクト(以下、ASKと表記)では、ブロックチェーンを使い、不動産業界に存在する6つの問題に対して対処していきます。
<不動産業業界の問題>
- 標準化の欠如:不動産の電子取引と登記に関するグローバル規格が存在していない。
- スピードが遅い:古いシステムを使っているため、登記までのプロセスが遅い。
- 流動性の欠如:不動産そのものの流動性が乏しい。
- 透明性の欠如:昔からある不適切なシステムによる抜け穴が存在。それによる不正の発生。
- 高価格:不動産取引の関係者が多いことによる多額の手数料の発生。
- 低アクセス性:一定の立ち位置とネットワークを持っていないと参入できない障壁の高さ。
よくブロックチェーンのプロジェクトでは、仲介者を排除することを目的としたプロジェクトが見られます。しかし、不動産は法規制や取引の安全性の観点から、必ずしも仲介者を排除できるわけではありません。
そこで、ASKでは単純に仲介者を排除するのではなく、既存の不動産業者を取り込んで運用されます。契約メタデータとスマートコントラクトを組み合わせた、ASKデジタルコントラクトと呼ばれる仕組みを不動産取引に利用することで、全体の合理化を行っていきます。
合理化されたASKプラットフォームでは、不動産の国際取引が今まで以上に容易になり、認定業者による安全な売買や賃貸、ローンや中長期レンタルを実現することができます。
ASK Estateの特徴
世界中の不動産情報を共有する規格を採用
不動産の情報掲載の規格はグローバルでこそ存在しないものの、地域ごとには存在しています。そこで、ASKでは以下の主要な不動産情報を共有する規格を採用します。
- REAXML
- RESO (The Real Estate Standards Organization)
- RICS (The Royal Institution of Chartered Surveyors) Data Standards
- MLS (Multiple Listing Services)
これらの規格にASKプラットフォームを対応させることにより、利用者は世界中の不動産情報を検索することができるようになります。また、ASKデジタルコントラクトは、これらの規格に準拠した実装がされることになります。
認定業者のみがASKプラットフォームを使った取引をすることができる
ASKでは、国際取引や与信審査など、高度な不動産取引を行うことができます。そのため、認定された不動産業者のみが利用することができます。
不動産業者は、ASKプラットフォームを利用するためにASKトークンをステーキングする必要があります。ステーキングされたASKは、トラブルで取引当事者に損害が出た場合の支払いに利用される担保になります。
ブロックチェーンを使った安全な取引ができる
ASKでは、取引のためのASKデジタルコントラクトがブロックチェーン上で動作します。
ブロックチェーンには、契約のメタデータが格納されます。ブロックチェーンにはテキストデータのみを格納できるため、その他のデータは分散型ストレージのIPFSに記録されます。これらの基盤に取引情報が記録されるため、取引された履歴は改ざん不可なものになります。
また、エスクローの仕組みにより、買い手は相手方の資金の持ち逃げリスクを、売り手は不動産の持ち逃げリスクを回避して不動産を売買することができるようになります。ASKデジタルコントラクトでは、取引の資金としてBTC, ETH, ASKが使用でき、第三者を介さずに資金の移転をすることができるようになります。
不動産所有者が資金を得やすくなる
ASKでは、プロパティローン(上の図)とプロパティレンタルの、不動産所有者のための2つのサービスを用意します。
プロパティローンでは、不動産所有者がホーム・エクイティ・ライン・オブ・クレジット(HELOC)を利用することができます。
HELOCとは、不動産の市場価格から担保ローンを差し引いた部分(エクイティ)の価値に応じて与信が割り当てられ、あらかじめ設定された引き出し期間において、不動産所有者が限度額まで自由に借り入れをすることができるようになるローンの仕組みです。HELOCの与信枠は、ASKの認定業者が審査を行い、ASKから資金(BTCなど)が貸し出されます。
プロパティレンタルでは、不動産所有者が自分の住宅を、賃貸物件としてASKプラットフォームに掲載することができるようになります。短期賃貸の民泊と異なり、プロパティレンタルは2ヶ月から2年までの中長期になります。
コアチームが不動産業界で成功したメンバー
ASKでは、コアチームが不動産業界で成功したメンバーで構成されています。中には、日本でもよく知られたメンバーが入っており、CMOにはフィリピン不動産の取り扱いを得意とするGSR株式会社(旧ハロハロホーム)のCEO鈴木廣政氏が就任しています。
ASK Estateのロードマップ
2020年Q1
- 会社及びコアチーム設立
2020年Q2
- ホワイトペーパー、IR資料、Webサイト
仕組みの設計
2020年Q3
- MVPの開発
- スマートコントラクトの開発
- ASKデジタルコントラクトの開発
2020年Q4
- MVPβ版のリリース
- プラットフォーム開発
- MLS統合
2021年Q1
- MVP正式版のリリース
- プラットフォームの開発
- MLS統合を続行
2021年Q2
- プラットフォームβ版のリリース
2021年Q3
- ASKプラットフォームローンチ
ASKトークン
ASKトークンは、イーサリアム上で50億ASKが発行されています。トークンセールによるアロケーションは全体の7%にとどまり、その他がエコシステムのリワードや開発、リザーブ分に割り当てられます。
プラットフォーム利用者にとってのASKトークン
- 不動産業者が、ASKプラットフォームを利用するためにASKトークンをステーキングする。
- 不動産保有者が、ASKプラットフォームに賃貸物件を掲載するためにASKトークンをステーキングする。
投資家にとってのASKトークン
- ASKトークンをステーキングすると、ASKプラットフォームの収益を仮想通貨で受け取ることができる。
- ASKトークンを保有することでASKポイント(ASKトークンに変換可)を受け取ることができる。
- ASKトークンを長期保有することにより、獲得ポイントが多めに付与される。
- ASKポイントは、何かしら特典のチケットの購入に使用できる。
- ASKポイントは、将来行われるASK StableブロジェクトのASK Stableに交換できる。
ASKトークンに関する情報
公式サイト
公式Telegram(日本語)
