一般の人々から見ると、仮想通貨とは怪しいものであり、ブロックチェーンに関するプロジェクトのICOにお金を投じるのは単なる投機行為と見られがちです。しかし、その背景には人々が挑戦するドラマが秘められています。[the_ad id=”7860″]
そんなインタビュー第2弾は、Teburaのプロジェクトの責任者を務める株式会社セームページの高木昭博氏にお話を伺いました(高木の”高”は正しくはハシゴ高ですが、ブログシステム文字化けの都合で”高”で表記します)。
Teburaのプロジェクトでは、NinjaCoinを使い地方の観光業者に資金を循環させることを目的としています。その背景と忍者の衣装でプロモーションを行っている意図は何なのかを訊きました。
本インタビューは長時間にわたり行われたため、全部で3部構成になります。前編では、高木氏の会社の紹介とベンチャーとしてどのような方針で市場に対してアプローチを行っているのかという考え方をご紹介します。
それでは、インタビュー模様をご覧ください。
Teburaの高木氏インタビュー 前編
高木氏のレスの速さについて
まずは、今回のアポを取る際の、高木さんのレスポンスの速さに驚きました!
高木:代表の私が返信するのと、他の人が返信するのと、返ってくる率が違うと思っています。僕ら的には一緒なのですが、先方からすると代表の方が返信するのでレスポンスがしやすくなるのかなと思っています。
ICOってどうしてもお金が集まるところに目が行きがちなのですが、本当に金額をちょっとしか入れていない方が、国内の仮想通貨取引所の社長さんと引き合わせてくれたりですとか、ひとりひとりが持つネットワーク効果というか、力は決して小さくないと思っています。
仮にその人がNinjaCoinを応援してくれなかったとしても、もしかしたら半年や一年後にファンになると思って、速いレスポンスを心がけています。
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忍者の格好について
Webページにも写真が載っていますが、なんで忍者なのでしょうか?
高木:3つ理由がありまして、1つは旅行者が旅行前に荷物預かり場所を予約したり、当日配送のサービスをしてもらって、荷物の配送から解放されて手ぶらで観光地を回れる、忍者のように速く動けるので忍者。
なるほど!
高木:もう1つは、英語圏で優秀なプログラマーのことをニンジャと呼ぶのですが、昔はウィザードと呼ばれていたのですがご存知ですか?
知らなかったです。
高木:それが今ニンジャと言うんですよ。結構ニンジャというのは海外の方に使われているので、それで忍者というのが1つ。私はもともとプログラマーなのです。
あとは、やはり新しいサービスなので覚えてもらわなければいけないので、2次連想のキーワードとして忍者をまず覚えてもらって、その後に荷物関連サービスとか、旅行版通貨のNinjaCoinを覚えてもらうということで考えています。
僕はクロネコヤマト創業者の小倉さんが好きで、最初は宅急便がもともと世の中になかったので、小倉さんは宅急便を広げるためにまずはクロネコを覚えてもらって、その後にクロネコヤマトの宅急便というのを2次連想で覚えてもらうようにしたんですね。
なるほど。じゃあイメージとしては、忍者のTeburaという感じなのですね!
高木:そうですね。Teburaを忘れられても忍者は覚えているので、ブロックチェーンのイベントで、2-3回目くらいに、忍者がいたなと言うのを覚えていただければいいかなと。
たしかに、忍者の格好だと一発で覚えますね。
高木:そうですね、1回目だとだいたい話しかけられないですけどね(笑)2回目や3回目くらいに、だんだんこの人大丈夫な人なんだという話になってきます。
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現在の会社のサービスの紹介
既存のTeburaである、現在の会社のサービスについて教えてください。
高木:もともと2016年の8月からサービスを展開していまして、もともとはTebura Ninjaという、旅行者が荷物預かり所を予約できる日本語と英語のサービスでした。
予約する店舗というのは、いわゆるシェアリングエコノミーでレストランや居酒屋のオープン前の空き時間を使って、空き時間はあるけれどもスタッフさんは10時くらいから仕込みでいるので、そういった人たちに荷物を預かってもらって、収入を上げていただきつつ、新規顧客を獲得してもらうというサービスになります。
その他に旅行者に向けて、収入が得たい観光案内所であったりとか、そういったところに登録していただいています。2017年にタイでパートナーと組んで当日配送のサービスをWebサイトでできるようにしてみたりですとか、後はJR西日本さんから許可をいただいて、大阪駅のコインロッカーの空き状況を表示できるようにしたりしています。
やはりSEOで順位を取っていくというのがWebからの流入としては一番コストが安いので、全国の九千何百駅のうちのだいたい500-600のコインロッカーが僕らの情報として入力されています。「●● station coin locker」と検索すると、だいたい僕らのサービスが上位に出てきたりします。
そういったのが、今のサービスになります。ちょっと補足になりますが、私たちはベンチャーなのでリーンスタートアップを行っています。リーンスタートアップってご存知ですか?
初めて聞きました。
高木:リーンスタートアップというのはシリコンバレー式のスタートアップ立ち上げ手法ありまして、ざっくり言うと、ベンチャー企業というのはほとんど失敗します。ほとんど失敗するので、うまく失敗するために失敗時のコストを下げましょうということをします。
なるほど。[the_ad id=”7916″]
高木:それまでは、ワードプレスのテンプレートのマーケットプレイスを立ち上げのですが、なかなか軌道に乗っていくまで続かないというのがありました。
1回立ち返って本当に顧客ニーズがあるかどうかを調べようと思った時に、リーンスタートアップという手法を用いて、最初Webサイトとかを全く作らずに銀座の数寄屋橋交差点で奥さんと忍者の格好をして道行く人に荷物を預かりますといって、1日3個実際にお金を1000円払ってもらい荷物を預かっていました。
だいたい大きいスーツケースを持っている人が100人いたら、そのうちの3%が実際に利用してくれました。これはビジネスとして立ち上がる、ニーズがあるなと思って、2016年の8月にサービスを開始しました。
そういうところから、今のビジネスがあるのですね。
高木:そうですね。やっぱりニーズを知る、お客さんの声を知るということが一番大事だとな思っています。
僕もそうだったのですが、地方や海外から出てきた人って、東京駅がどのくらいの大きさか分からないので、東京駅にコインロッカーがあるらしい、でも八重洲口と丸の内口の距離感も分からないし、コインロッカーがどのくらい使われているかもわからない。なので、それを使おうとはなりませんでした。
たしかに。
高木:といった感じで、僕の場合は苦労した覚えがあります。それが事前に予約できると、重い荷物を持たなくて移動しなくても良いというのもあるのですが、1番はそこで観光時間が生まれるのは大きいです。旅行中の3時間であれば5000円払ってもいいという人もいるので、その3時間というのはすごい貴重な時間だなと思っています。
私は東京に住んでいるのでロッカーは使わないのですが、地方から来た友人が初日や最終日に荷物を東京駅のロッカーに置くことがあります。そこで感じるのは、本当に東京駅はロッカーが空いていないなと。絶望的なくらいに空いてないです。
高木:そうですよね。僕らが調査した時には、11時には97%埋まっていました。JRさんの話を聞くと、11時よりもっと前に埋まるとのことです。
実際に友人が大変そうにしているのも見ていたので、Teburaのサービスはありだなと思いました。自分が旅行者だったら、このサービス使うなと見ていました。
高木:ありがとうございます。
あと、話の中で聞いていて気になったのですが、100人中3人が荷物を預かるのを依頼してきたとのことですが、この率はパッと見て低いように感じます。3%というのは低い値に見えるのですが、3%でも行けると判断した根拠というのは何かあるんですか?
高木:いや、3%というのは一般向けサービスで言うとかなり高いと思っていて、僕は3%より実態値はもっとシビアに見てもいいんじゃないかなと考えています。というのも、東京都の国内の宿泊者数が年間1億1000万人くらいなんですね。
そんなにいるんですね。
高木:そのうちの3%となると、ざっくりですけど300万人いるじゃないですか。300万人が旅行中に1回使ってくれたとしたら、客単価1000円とすると、300万人掛ける1000なので30億円、東京だけで30億円というマーケットがあるので、最初のスタートアップのターゲットとしては3%という数字はそんなに低くないと考えています。
海外旅行をすると、普通は朝空港についてまず荷物を預けに行くだけでホテルに行くんですよね。これって世界中の旅行者がそうで、これだけスマホのインターネットが発達してWi-FiやSIM借りれてインターネットが使えるのに、未だにホテルに行って荷物を預けてから回るんですよね。
そのパーセンテージで言うと、徐々に浸透していけば、観光時間が生まれるというのに旅行者が気付いていけば、この3%という割合はまだまだ伸びると思います。
なるほど。
高木:我々はベンチャーなので、一般の人にはなじみづらいとは思うのですが、ターゲットをスモールにすればするほど検証結果が早く出て、顧客獲得コストが下がるんですね。そういったところで、できるだけニーズが最も強いターゲットを探すというところに注力しています。一番使ってもらっているのが、最終日にホテルをチェックアウトした中国人の家族連れで、小さいお子さんがいてお土産沢山買う人達です。
荷物が邪魔になりますよね。
高木:なので、全体のパイの3%というよりは、パーセンテージがより高いようなターゲットを狙って開拓していくというやり方をとっています。
実際のサービスの利用状況というのはどんな感じなのでしょうか。
高木:えっとですね、現状売上自体は公開していないのですが、今公開している情報で言うと去年の11月にトランプさんが来た時にコインロッカーが閉鎖されたので、その時は3日間で231個利用されました。1日あたり80個の実績を1店舗で出したという感じです。顧客獲得コストは競合に公開できないので伏せますが、今の平均客単価から考えると、今のベンチャーの立ち上がりの時期でもまあまあお金をかければ数はとれるなと感じています。
(実際の単価を聞きましたが、その詳細は伏せます) 今の単価は、私から見るとそれほど高くないように見えるのですが、ビジネス的に十分なのでしょうか?
高木:うちは荷物預かりで言うと消費者向けのサービスになります。消費者向けのサービスは、最初はいかにお金を集めて、それを使って宣伝していくかなんです。
それをJカーブで損益分岐点の線があったらどんどん下に堀り続けていく状態なのですが、その状態でも今の単価は良い数字だと考えています。
UberやAirbnbでも掘るJカーブのビジネスモデルなのですけれども、Airbnbが黒字化したのは2年ぐらいたった後なので、彼らはAirbnbに注力していて2年くらい、3人分の給料も出せなかった感じなんですね。
最終的にサービスが有名になると、勝手にみんなが検索するようになって顧客獲得コストが下がっていくという考え方ですか?
高木:そうです。ネットワーク外部性ですよね。メルカリだったら、メルカリのCMを見なくても、友達がメルカリを使っているからメルカリを使うというのと似ています。
今回のインタビュー記事がきっかけでサービスの認知が広がり、顧客獲得コストが1円でも下がれば、私が記事にした甲斐があるってものですね(笑)
高木:そうですね(笑)本当にあります。ありがとうございます!
既存のサービスでもう1つだけお聞かせ願います。タイで展開しているとのことでしたが、なぜタイなのでしょうか?
高木:フランクにお話しすると、ご縁でシンガポールの「Echelon Top 100」というので、アジアの100のベンチャー企業に選ばれてプレゼンテーションをしてきたのですけれども、そこでタイの企業が声をかけてくれてパートナーシップを結ばないかというのがきっかけでした。
タイは日本人が多くてその中でもビジネスマンが多いので、荷物の課題を持っているのはビジネスマンです。ビジネスマンは自分たちの仕事する時間をたくさん取りたいので、なかなか大きなスーツケースを持って営業先には行けない、それを預けられれば直接営業先に行けるので、1件2件回れるところが増えると。そういうことで、タイも視野に入れてもいいなというところで、パートナーを組ませていただけたというところですね。
色々とお話しを聞いていて思うのですが、荷物の話って結構シビアで、宿泊の荷物ですから量が多いので、体力の削られ方がでかいんですよね。その後のパフォーマンスに非常に影響が出ますから、大事なサービスかなと感じておりました。
高木:ありがとうございます。
次回予告
次回は「Teburaの高木氏インタビュー 中編」をお伝えします。
中編ではいよいよ現在のサービスにトークンエコノミーを組み込んだTeburaのプロジェクトで何をしていくのか、ブロックチェーンをどのように活用するのかというプロジェクトの中心となる内容をお訊きします。
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