プロジェクト解説

Centrifuge(CFG)の概要と解説

プロジェクト解説

Centrifugeの概要

Centrifugeは「実世界のDeFi」を謳う、実世界の資産をDeFiの世界と接続するための仕組みを提供するプロジェクトです。

Centrifugeの公式ページでは、実世界における資産の例として、不動産やロイヤリティ、請求書をあげています。例えば、請求書によるファイナンスを考えてみます。実世界において、容易に資金調達市場にアクセスできるのは大企業になります。それに対し、中小企業は与信などの様々な要因で容易に資金調達を受けることができません。そのため、次のフェーズのための運転資金が、顧客の支払いに依存する場合があります。請求書の支払い条件は、平均で60日程度であるため、中小企業はそれまでの資金繰りを自力でなんとかしなければなりません。そのための解決策が、第三者に請求書を買い取ってもらうファクタリングや、売掛先がファクタリングを依頼するリバースファクタリングになります。しかし、これらも中小企業の一部のニーズしか満たせていません。

Centrifugeでは、上記のような仕組みをブロックチェーンを使うことにより効率化します。実世界の資産を扱う組織が、実世界にある資産をNFT化してCentrifuge上のプールにロックし、NFTを担保にして投資家から資金調達を行うことができます。資金調達には、ステーブルコインが使われ、最初はDAIとcUSD(Celo USD)を利用することができ、将来的には別のステーブルコインにサポートが拡大されます。

既に、Centrifugeでは、先行ユースケースとしてTinlakeをイーサリアム上のネットワークに構築しており、今後ネットワークがPolkadotベースのチェーンに拡張され、Tinlake以外のユースケースへと拡げていきます。

Centrifugeの概念

Centrifugeの概念

Centrifugeの特徴

実世界の資産をNFT化して担保に利用する

実世界の資産をDeFiの世界に持ってくる場合、実世界とブロックチェーンの世界とで何らしらの接点が必要になります。Centrifugeでは、そのための接点としてNFT(Non-Fungsible Token)を利用しています。実世界の資産を扱う組織がNFTを発行し、プライバシーが関わる属性を非公開にしてからCentrifuge Chain上のプールに担保としてロックすることになります。担保にできる資産は、不動産やロイヤリティ、請求書、住宅ローン等の実在している資産になります。

以下は、Centrifugeの技術スタックになります。Centrifuge Chain上では、実資産をドキュメントとして規定しNFT化するプロトコル(図のTokenization of documentsの段)が動作し、DAppsがそれらを利用して実世界を絡めたDeFiサービスを提供します。また、検証可能なプライベートデータはオフチェーン上に保存されます。

Centrifugeの技術スタック

Centrifugeの技術スタック

イーサリアムとPolkadotの両チェーンでDeFiが展開される

Centrifugeの先行ユースケースであるTinlakeは、イーサリアム上で実装されています。しかし、イーサリアムのスケーラビリティの乏しさにより、取引速度やコスト、ストレージの効率性やプライバシーなど、ビジネスユーザーが使うためのメリットが乏しいものになっています。そこで、CentrifugeはPolkadotベースの開発フレームワークであるSubstrateを使い、Centrifuge Chainを実装しました。Centrifuge Chainは、Centrifugeプロトコルに最適化されており、取引のファイナリティを高速化することができます。

さらに、Centrifuge ChainはChainSafe社ChainBridgeを利用して、Centrifuge<>Ethereum間で双方向にデータや価値の移動を実現します。2021年5月11日現在、ブリッジの仕組みによりSubstrate Native<>ERC20トークンの転送に対応しています。ブリッジは、投票によって選ばれた信頼できる中継者が担います。具体的な中継者は、PureStake, ChorusOne, Staked.us, Stake Capitalになり、彼らはCentrifuge Chainのバリデーターにもなっています。

Centrifugeのネットワーク

Centrifugeのネットワーク

最終的に、Centrifuge ChainはPolkadotのパラチェーンになることで、リレーチェーンの高いセキュリティを確保します。しかし、パラチェーンに無条件でなることはできず、パラチェーンオークションでコミュニティからDOTの票を集める必要があります。オークションは、本記事の執筆時点で実施されていません。

先行ユースケース「Tinlake」

Centrifugeの先行ユースケースとして、既にTinlakeが公開されています。Tinlakeはイーサリアム上に実装されているDAppsであり、将来的にはCentrifuge Chainへの移行が予定されています。

Tinlakeにおいて、実世界の資産(請求書、住宅ローン、ストリーミング・ロイヤルティなど)を扱う主体は、企業やアセットオリジネーターと呼ばれる組織になります。アセットオリジネーターは、資産をNFT化し、NFTをTinlakeプールの担保に入れることで投資家から資金を募ることができるようになります。これにより、資産保有者は今までより効率的な資金調達を行うことができます。

Tinlakeの概要

Tinlakeの概要

投資家は、米ドル連動型のステーブルコインであるDAIを使って実世界の資産に投資を行います。投資により、投資家はTINまたはDROPトークンを受け取ります。どちらを受け取るかは、投資家が選択することができます。TINを受け取った投資家は、最初にデフォルトリスクを負うものの、高いリターンを得ることができます。つまり、TINはジュニア債(劣後債)に相当します。一方で、DROPはリターンが低くなるものの、デフォルトリスクはTINトークンの投資家が追うため、自身はリスクを最小限にした投資を行うことができます。つまり、DROPはシニア債(優先債)に相当します。投資家は、TINやDROPをTinlakeにロックすることで、DAIを償還することができます。それまでは、発生した利息を継続的に得ることができます。

以下は、アセットオリジネーター「1475Factory」の請求書ファイナンスの例になります。MetaMaskでTinlakeに接続し、Securitize IDを使ってログインをすることで投資を行うことができるようになります。資産の満期は60日から90日の期間で設定され、安全なDROPトークンへの投資を行った場合のAPRは7.50%になります。

1475 Factoryの例

模索中のユースケース(2021年5月11日時点)

Maker

Makerは、イーサリアム上の暗号資産を担保にし、ステーブルコインのDAIを発行するためのプラットフォームを提供します。Centrifugeを利用することにより、Makerは実世界の資産を担保にDAIを発行できるようにしようとしており、2021年中に3億ドル以上の実世界の資産を担保として追加する予定になっています。

Aave

Aaveは、暗号資産を使ったレンディングサービスを、マネーマーケットという名前で提供しています。現在「v1」「v2」「AMM」「Polygon」のマネーマーケットを提供しており、さらに追加でCentrifugeのTinlkeプールを利用した、マネーマーケットの追加に取り組んでいます。取り組みが実現すると、実世界への資産を担保にしたレンディングが可能になります。

Paperchain

Paperchainは、クリエイターに向けた即時支払ソリューションを提供しています。Centrifugeを使い、Spotifyの収益をレコードレーベルの顧客に直接収益を届けることができるようになっています。また、まもなくアーティストにも直接収益を届けることができるようになります。

ConsolFreight

ConsolFreightは、中小企業に貿易の金融サービスへのアクセスができるようにするTrade Forwardをて提供しています。Centrifugeとの提携により、貿易の請求書を担保化し、中小企業の資金繰りを容易にします。

CFGトークン

トークンの概要

Centrifuge Chainでは、ネットワークのネイティブトークンとしてCFGを利用します。CFGの特徴や用途は以下の通りになります。

  • Centrifuge Chainにおける取引手数料の支払い、ガバナンスへの参加
  • Tinlakeの流動性プロバイダーへの報酬
  • バリデーターとノミネーターへの報酬(425,000,000 CFGから年間3%の割合で増加)
  • 取引手数料の一部がバーンされる
  • イーサリアムネットワークにERC20トークン、WCFGとしてブリッジされて提供される

トークンの配布とリリース

初期のトークン配布は、以下の通りになっています。

CFGトークン配分

トークンのリリースは、以下の通りになります。コア貢献者と初期支援者は、2021年7月から1年間、月ごとに一定数量をロック解除していきます。コアメンバーには参加した時点で48ヶ月のロックアップがあり、その後12ヶ月かけて付与されます。

CFGトークンリリース

また、上記に加え、PoSのブロック報酬や、パラチェーンオークションによるDOTロック報酬、流動性報酬として年間3%のCFGが追加で発行される一方、取引手数料のバーンがあるため、CFGトークンの供給量は長期的に安定するとみられています。

取引所

2021年5月11日現在、CFGトークンを扱う取引所は存在していません。5月27日にCoinListでIEOが行われる予定です。

Centrifugeに関する情報

この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTオーナー。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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TOKEN ECONOMIST(トークンエコノミスト)
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