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CardanoのDeFiハブ Ardana の解説

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Cardanoは、日本時間2021年9月13日にAlonzoアップデートを実行し、ブロックチェーンにスマートコントラクト機能をリリースしました。これにより、DeFiの実装が可能になり、数多くのDeFiプロジェクトが既に動いています。今回は、Cardanoブロックチェーン上のDeFiハブをArdanaを解説します。

Ardanaの概要

Ardanaは、Cardanoブロックチェーン上で構築されたDeFiハブです。暗号資産担保型のステーブルコインと改良型AMMを採用した分散型取引所(DEX)が統合されています。将来的に、これまでのプロトコルを超える機能及びエコシステム提供し、Cardanoと同様に大規模な金融機関からエチオピアの農民までもが利用できるDeFiソリューションを提供していくことを目指しています。

Ardanaのステーブルコインは、暗号資産担保型のステーブルコインとしては最もスタンダードな形態である過剰担保をとる形で、米ドルとペグするdUSDが発行されます。また、今後は他の法定通貨にもペグするステーブルコインが発行される予定です。

ArddanaのDEXは、DEXの形態としては最もスタンダードな自動マーケットメイカー(AMM)が採用され、ユーザーは流動性プールと相対することによって取引を行います。AMMは、標準的なDEXの改良型が採用され、スリッページが少なく50-100倍の資本効率を達成できると見込まれています。また、流動性提供者はプールに流動性となる資産を提供することで、収入を得ることができるようになります。

Ardanaは、連続起業家のRyan Matovu氏がFounderであり、ブロックチェーンや金融に長けたメンバーで構成されています。また、アドバイザー陣営にはIOG(旧IOHK)やEmurgo、ベンチャーキャピタルのメンバーが就き、Cardanoエコシステムに普及させるための体制が組まれています。

Ardanaの仕組み

ステーブルコイン – dUSD

Ardanaでは、米ドルにソフトペグする暗号資産担保型ステーブルコインdUSDを発行することができます。dUSDは、Cardanoエコシステム上における取引に利用することができる他、Ardanaが用意しているArdanaセービングモジュールに預けることで金利収入を得ることができます。

dUSDの発行の仕組みは、MakerDAOのDAIと似ています。担保とする暗号資産は対ドルで価格が安定しないため、ユーザーは過剰担保をとる必要があります。例えば、dUSDを発行するための担保債務比率が200%に設定されていて、10,000ドル分のdUSDを発行したい場合、20,000ドル分のADAを担保にする必要があります。

dUSDの発行では、ユーザーは担保債務比率を参考にADAをArdana Vaultに入金します。その後、担保付き債務ポジション(Collateralized Debt Positions: CDP)が作成され、dUSDが発行されます。もし、ユーザーがADAを回収したい場合、発行されたdUSDに利息を加えた額をArdana Vaultに入金することによりADAを手元に戻すことができます。一度に入金するdUSDは、全額ではある必要ななく、少額にしてADAを部分的に回収することができます。

一方で、ADA価格が暴落した場合に、ADAの担保額がdUSDの発行額を下回り、dUSDの裏付け資産が100%を割る懸念が出てきます。そのような事態にならないように、ArdanaにはCDPを清算する仕組みが用意されています。ADA価格が暴落し、現在の担保債務比率が清算率を下回るとCDPが清算され、CDPの担保はオークションにかけられます。このような仕組みにより、ArdanaではdUSDの裏付け資産を保つようになっています。

Ardanaでは、将来的にdEURやdGBPなどのステーブルコインを発行できるようにする予定です。また、dUSDを発行するための担保債務比率、CDPの清算を実行するための清算率はガバナンスによって決定されます。また、担保に利用する暗号資産もガバナンスによって決定され、ADA以外も担保にできるようになります。

分散型取引所 – Danaswap

Danaswapは、ArdanaプロジェクトにおけるAMM DEXです。基本的な機能は、AMM DEXの先駆けであるUniswapとほとんど変わりありません。Danaswapにおける価格調整メカニズムは、Uniswapでよく知られた”xy = k”の改良型が採用されます。これにより、スリッページを減らし標準的なDEXの50-100倍の資本効率を達成できるとされています。

Danaswapの価格曲線

Danaswapの価格曲線(ホワイトペーパーより)

Uniswapと大きく異る点として、ユーザーは一度に複数の暗号資産と交換することができます。これはステーブルプールと呼ばれるプールを経由して取り引き出るものが対象になります。例えば、ステーブルコインが3種類(dUSD / xUSD / zUSD)ある場合に、1000 dUSDを325 xUSDと675 zUSDにすることができます。

また、流動性プールには、望ましい資産割合が存在しており、これをArdanaではOPP(Optimal Pool Proportion)と表現しています。Danaswapは、OPPからの乖離に応じて、トレーダーや流動性提供者に追加手数料を課したり報酬を付与することによって、流動性プールの資産割合をOPPに近づけようとします。具体的には、以下のような動作になります。

トレーダー:

  • OPPからの乖離を増加させる取引をすると、リバランス手数料が取られ、手数料が増える。
  • OPPからの乖離を減少させる取引をすると、リバランス報酬が付与され、手数料が減る。

流動性提供者:

  • OPPからの乖離を増加させる流動性提供を行うと、LPトークンを減らす形で、リバランス手数料が取られる。
  • OPPからの乖離を減少させる流動性提供を行うと、LPトークンを増やす形で、リバランス報酬が付与される。

また両者において、既にOPPから乖離している状態からさらに乖離させると、より多くのリバランス手数料が取られるようになります。反対に、乖離を収束させるようにすると、より多くのリバランス報酬が入るようになります。

DANAトークン

DANAトークンの用途

Ardanaでは、DANAトークンを発行します。DANAトークンは、Danaswapを通じて流動性プールに流動性を提供し、流動性の提供で得られたLPトークンをステーキングすることで獲得することができます。

DANAトークンの用途は、以下の通りになります。いずれも、DANAトークンのステーキングが求められます。

  • ガバナンス
  • Ardanaプラットフォーム収入が得られる

ガバナンス

DANAトークンをステーキングすると、Ardanaプラットフォームのガバナンスに参加することができます。ガバナンスでは、プラットフォーム上のパラメータ調整や、ステーブルコインの発行に利用する担保資産の決定などに参加することができるようになります。

プラットフォーム収入が得られる

DANAトークンをステーキングすると、Ardanaプラットフォームから生み出される手数料収入の30%をADA払いで受取ることができます。手数料収入は、ステーブルコイン発行と、Danaswapからの収入が該当します。

DANAトークンの取り扱い取引所

Ardanaに関する情報

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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