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DeFiプロジェクトに信頼を与える EverRise(RISE)の解説

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DeFiは、プロジェクトとスマートコントラクトが信用できることを前提としてコミュニティからの信頼を確保します。しかし、これらを確立するには様々な障壁があります。EverRiseは、プロジェクトがDeFiの運営においてコミュニティの信頼を確保しつつ、プロジェクト運営を円滑にできるためのソリューションの構築を行っています。

EverRiseの概要

ブロックチェーンは、トラストレス取引ができることが大きなメリットとしてあげられます。トラストレスとは「相手を信頼する必要がない」という意味であり、ブロックチェーンを信頼さえすれば、信頼できる結果が伴った取引を行うことができるようになります。

とりわけDeFiは、このトラストレス取引の傾向が強くなります。ユーザーは、スマートコントラクトが安全であるという前提のもと、サービスを利用することになります。そして、そのトラストレス取引の仕組みを提供するプロジェクトの信頼が必要なのは言うまでもありません。

しかし、DeFiプロジェクトの運営には多くの問題が発生します。例えば、スマートコントラクトの所有権をプロジェクトが破棄すると、コミュニティから信頼を得られる一報、スマートコントラクトに問題が見つかった場合の対処を難しくします。他にも、様々な問題があります。

EverRiseではこれらの問題に対処し、DeFiプロジェクトの運営がスムーズにできるためのソリューションを提供します。ソリューションは、以下のものが提供されます。★がついているものは、2021年10月8日時点でリリース済みのものです。

  1. EverOwn ★
  2. EverBridge ★
  3. EverWallet
  4. EverSwap
  5. EverSale
  6. EverLock

EverRiseのプロダクト群

EverRiseでは、コミュニティとプロジェクトの信頼性を確保するために、6つのプロダクトをリリースします。

EverOwn

EverOwn

EverOwnは、DeFiプロジェクトがコミュティからの信頼性を確保するためのプロダクトです。

通常、プロジェクトはDeFiサービスを開発するにあたり、プロジェクト側がスマートコントラクトの所有権を保有します。これは、プロジェクトがスマートコントラクトを自由に書き換え、後に不正が生じるリスクがあることも意味します。そのため、プロジェクトはユーザーからの信頼を確保するために、最終的にスマートコントラクトの所有権を破棄する場合があります。しかし、これにはトレードオフがあります。万が一スマートコントラクトにバグやセキュリティホールが見つかった場合に、プロジェクトの対応を難しくします。

そこで、EverOwnではコミュニティの信頼性を確保しつつ、プロジェクトがスマートコントラクトを変更できる仕組みを提供します。具体的には、プロジェクトはスマートコントラクトの所有権をEverOwnコントラクトに譲渡します。通常は、EverOwnによってスマートコントラクトの変更がロックされています。もし、スマートコントラクトに変更の必要性が生じた場合、コミュニティ投票を通じてロックが解除され、プロジェクトはスマートコントラクトを変更できるようになります。変更が完了すると、EverOwnによって再びスマートコントラクトがロックされます。

このように、EverOwnではスマートコントラクトの変更権限をコミュニティに与え、プロジェクトが一方的に行動をできないようにすることで、コミュニティへの信頼性を確保します。既に複数のプロジェクトがEverOwnを利用しており、その状況はEverOwnの「Registered Contracts」から確認することができます。

EverBridge

EverBridge

EverBridgeは、前述のEverOwnの利用範囲を広げるためのブリッジのソリューションです。EverOwnを利用するためには、EverRiseエコシステムのRISEトークンが必要になります。しかし、当初はBinance Smart Chain(以下、BSC)上でしかRISEトークンを扱うことができなかったため、EverOwnはBSCを利用するプロジェクトでしか利用することができませんでした。

EverBridgeでは、RISEトークンをEthereumとPolygonネットワークにブリッジすることにより、EverOwnをEthereumやPolygonネットワークでも利用できるようにします。

通常、チェーン間ブリッジでは、発行(ミント)とバーンの仕組みが使われます。一方で、EverBridgeでは万が一にこの仕組が悪用されてトークンが無限発行される可能性を考慮した対策が行われています。具体的には、各チェーンで最初からRISEトークンを発行上限数まで発行してしまい、チェーン間でロック/ロック解除を行います。

また、EverBridgeはEverRiseのエコシステムに限らず、BSC, Ethereum, Polygon上のすべてのプロジェクトに対して公開されます。

EverWallet & EverSwap

未リリース:本記事の公開時点、詳細は発表されていません。

暗号資産が普及する中、個人の暗号資産が狙われることはもはや珍しくなく、名前が知られている多額の資金を持っているプロジェクトは、ハッカーの格好の的になります。理想的には、ウォレットがハッキングされず、盗まれない、そしてハードウェアウォレットのように持ち歩かなくても済むウォレットが必要になります。

EverWalletは、ブロックチェーン上に”保管庫”を用意することで、高セキュリティなウォレットの提供を行います。また、EverWalletでは暗号資産の交換サービスを安全に利用するために、専用スワップ機能のEverSwapを提供します。ユーザーは、資産がEverWalletに安全にロックされたまま、PancakeSwapで入手可能な資産をEverWallet上で直接取引できるようになります。

EverSale & EverLock

未リリース:本記事の公開時点、詳細は発表されていません。

EverRiseでは、EverSaleと呼ばれるローンチパッドを提供します。EverSaleにより、プロジェクトは各自で行うよりも効率が良い資金調達ができるようになります。また、EverLockでは、プロジェクトが発行するトークンの初期流動性がロックされ、コミュニティの投票によってロックが解除されるようになります。これにより、プロジェクトの資金運用の透明性を向上させ、いわゆる”ラグプル”をできる限り防止するようにします。

ラグプル(Rug Pull)とは、プロジェクトなどによる出口詐欺のことを指す暗号資産業界のスラングになります。トークンの売り浴びせや、流動性の不正な引き抜きなど、投資家を嵌め込む行為全般を指します。

RISEトークン

トークンの基本情報

RISEトークンは、BSC, Ethereum, Polygonチェーンで発行されており、各チェーンにおける発行上限が1,000兆RISEに固定されています。各チェーンのコントラクト情報は、以下の通りです:

それぞれのチェーンで1,000兆RISEずつが発行されているものの、ロック/ロック解除のメカニズムにより、実際に市場に流通するRISEトークンの上限は1,000兆RISEになっています。


トークンの用途

RISEトークンは、EverRiseプラットフォームにおけるトークンです。

EverOwnでは、プロジェクトの所有者が1,000億RISEを保有することで、自身のスマートコントラクト所有権をEverOwnコントラクトに譲渡することができ、またスマートコントラクトの更新の権利を取り戻すことができます。

2021年10月8日時点、RISEトークンの用途はEverOwnに限られています。

トークンの流通モデル

EverRiseでは、ユーザーによるトランザクション手数料を以下のように配分しています。RISEが流通するチェーンにより、配分割合が異なっています。

Binance Smart Chain Ethereum Polygon
RISE保有者への分配 2% 1% 2%
マーケティング費用 3% 2% 3%
買い戻し費用 6% 3% 6%
買い戻しに利用する資産 BNB ETH MATIC

上記のうち、買い戻し費用は、RISEトークンを公開市場から買い戻してバーンに用いられます。Krakenと呼ばれるスマートコントラクトに、蓄積した手数料が各チェーンのネイティブトークンに変換されて集められ、Krakenがそれらを使って買い戻しとバーンを行います。

また、OverOwnの手数料収入の振り分けは以下のようになっており、うち50%が同様に買い戻し&バーンに充てられます。

  • 25%:RISE保有者への分配
  • 25%:運用と開発
  • 50%:買い戻し費用

このようにEverRiseでは、トークンが自動でデフレする仕組みを組み込んでいます。RISEトークンについて詳しく知りたい方は、トークンの専用ページをご覧ください。

EverRiseに関する情報

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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