Layer1プロジェクト解説暗号資産

Diem(旧Libra)の元開発者によるブロックチェーン「Sui (SUI)」の解説

Layer1

Meta(旧Facebook)が2019年6月に発表したブロックチェーンのLibraは、後にDiemにリブランドされました。しかし、規制当局からの強い反発に遭い、2022年1月31日にプロジェクトの終了が発表されました。その後、Diemの元開発者によりいくつかのブロックチェーンプロジェクトが誕生しました。Suiは、そのうちの1つです。

Suiの概要

Sui(スイ)は、Meta出身者を中心とした5人の共同創業者が設立したMysten Lab(ミステンラボ)により開発されているパブリックブロックチェーンです。チェーンのネイティブ資産に$SUIを利用し、次の10億人のユーザーに対応するように設計されています。Suiそのものは、Diemから派生したものではなく、完全にオリジナルなブロックチェーンであり、多くの査読済み論文がベースとなって開発が行われています。

Suiが特徴的なのは、他のチェーンと比較しても非常にスケーラビリティが高いことです。ノードが増えるほど線形にスケーラビリティを拡張することができ、因果的に独立したトランザクションを並行実行することができます。さらに、個別のトランザクションを検証するアプローチにより、即時決済を行うことができるようになっています。

また、Suiではスマートコントラクトの開発言語として、MetaがDiemのために開発したプログラミング言語「Move」を用いることで、今日のブロックチェーンにおいて問題になっている脆弱性の悪用を避けることができ、ユーザーが安全にブロックチェーンを利用することができる環境を提供します。

Suiの技術ハイライト

安全なアプリケーション構築が可能

これまでのブロックチェーンでは、リエントラント攻撃や、悪意のあるコントラクトが付属しているポイズントークン、やなりすましトークンの承認など、識者ですら資産が盗まれてしまうほどに安全性を確保するのが難しくなっています。

Suiでは、スマートコントラクトの開発言語としてMove言語を用いることによって前述の問題を防ぎます。Moveは、もともとDiemのために作られたプログラミング言語であり、Rustの文法に似たものになっています。ただし、DiemのためのMove言語と完全に同一ではなく、いくつかの違いが存在しています。

無限にスケーラビリティが拡張できる

Suiでは、無限にスケーラビリティを向上させることが可能になっています。ワーカーを追加することで、バリデーターの処理能力の増加に”比例して”ネットワーク容量を上げることができるようになっています。つまり、Suiでは直線的にネットワーク容量を向上させることができるため、スケーラビリティが飛躍的に向上します。これにより、ネットワークトラフィックが多い場合でもGAS料金を最小限に抑えることができます。

2022年3月19日の時点で、8コアのM1 Macbook Proで実行されている最適化されていないシングルワーカーのSuiバリデーターは、トークン転送に関して12万TPSの実行を実現しています。Suiでは、コアの数に比例してスループットが変化するようになっており、今回の場合は、1コアあたり2.5万TPSとなります。

大量のトランザクションを即時実行できる

Suiでは、大量のトランザクションを即時実行できるようにするために、トランザクションを並列実行でき、即時にファイナリティに達することができるようになっています。

トランザクションの並列実行を実現するには、依存関係がないトランザクションを並列実行できるようにする必要があります。そこで、Suiでは前述のMove言語からもたらされる強力な所有権モデルにより、依存関係を明示的にすることができるようになります。これにより、送金のような単純なトランザクションの他、コンポーザビリティを利用したトランザクションも並列実行できるようになります。

また、即時ファイナリティでは、Suiは従来のブロックチェーンのようにブロックを一括処理するのではなく、トランザクションを個別検証するアプローチをとります。これにより、ブロックが確定することを待つことなく、トランザクションを完了させることができるようになっています。

柔軟なデジタル資産を定義することが可能

Suiでは、水平方向に拡張可能なオンチェーンストレージを備えています。そのため、豊富な属性を持つ複雑な資産を直接定義することができます。属性をオンチェーンで扱えるようにできることで、それらをスマートコントラクトで扱うことができるようになり、アプリケーションのコンポーサビリティや透明性に寄与します。これにより、アプリケーションから直接資産を直接更新することが容易になり、NFTの価値向上などを行いやすくなります。

SUIトークン

Suiブロックチェーンでは、チェーン上のネイティブ資産として$SUIを使用します。

SUIトークンの配布

$SUIは100億枚が発行され、その後は追加で発行されることはありません。

2022年6月4日時点で、投資家などへの割り当て比率や配布ルールは決まっていません。

SUIトークンの用途

$SUIは、以下の用途で使用します。

  • Suiブロックチェーン上のネイティブ資産
  • GAS料金
  • ストレージファンド
  • ステーキング(バリデーター、デリゲーター)
  • ガバナンス投票

Suiのトークノミクス

この中でもユニークなのがストレージファンドになります。ストレージファンドでは、Suiブロックチェーンのオンラインストレージ機能における報酬をプールし、そこからストレージ提供者に払い出します。ユーザーが支払ったGAS料金は、計算とストレージに分けられます。計算分はバリデーターに支払われ、ストレージ分はストレージファンドにプールされます。この振り分けは、ユーザーがストレージを利用するしないに関係なく行われます。つまり、ユーザーは実質的にストレージ料金を前払いしていることになります。

また、Suiのストレージには、ユーザーがデータを削除したときにストレージ料金の払い戻しを受けられる機能がついています。これにより、むやみにストレージ消費が増えないようになっています。

SUIトークンを取り扱っている取引所

2022年6月5日時点で、Suiブロックチェーンがローンチされていないため、$SUIを扱う取引所はありません。

Suiに関する情報

この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTオーナー。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

Junya Katoをフォローする
スポンサーリンク
TOKEN ECONOMIST(トークンエコノミスト)
タイトルとURLをコピーしました