柴犬のかぼすちゃん(飼い主のTwitter @kabosumama)のアイコンに魅せられた愛好家が多いDogecoin ($DOGE)は、いまや暗号資産界のミームコインで最も知られた存在になりました。しかし、$DOGEは単なる支払い手段であるためユースケースに乏しいものでした。Dogechainでは、$DOGEのユースケースを増やすために開発されました。
Dogechainの概要
Dogechain(ドージチェーン)は、Dogecoin(ドージコイン)のサイドチェーンで、EVM互換のスマートコントラクトを動作させることができます。これにより、Dogechainは今まで支払いのみだった$DOGEに新しいユースケースをもたらします。
Dogechainのホワイトペーパーによると、Dogecoinの残念な点としてユースケースの乏しさ、DogecoinのProof of Work (PoW)プロトコルがスマートコントラクト実装に対応することができない点、トランザクションが遅い点、そしてPoWを使用していることによるエネルギーの消費があげられています。現在、Dogecoinのエネルギー消費は6.54 TWhにのぼり、これは小国のエネルギー消費量に相当します。そこで、現実的な解決策として、スマートコントラクト機能を搭載し、高速トランザクションができるProof of Stake (PoS)チェーンであるDogechainが開発されました。
Dogechainは、EVM互換のブロックチェーンで、オリジナルのDogecoinを補完することを目的としています。そのため、DogechainはDogecoinと競合せず、$DOGEの経済圏をさらに拡げていくものになります。Dogechainを使うことで、ユーザーは支払いだけではなく$DOGE(厳密にはラップされた$wDOGE)を使ったDeFiやNFT、ブロックチェーンゲームを利用することができるようになります。
また、Dogechainそのものはコミュニティによって立ち上げられ、ベンチャーキャピタルが入っていません。そして、オリジナルのDogecoinと同様に、Dogechainで何か大きなことを成し遂げるという目標はなく、純粋にブロックチェーンを使ったアプリケーションをDogecoinのコミュニティにもたらすことを目的としています。
Dogechainの特徴
Polygon Edgeを使い独自EVM互換チェーンを実現
Dogechainそのものは、ゼロから開発されたものではなく、Polygon Edgeを利用して構築されています。Polygon Edgeは、Polygonが提供するソリューションの1つで、EVM互換の独自ブロックチェーンを簡単に構築することができるフレームワークです。そのため、EthereumやPolygonなどのEVM互換チェーンに向けて作られた開発資産を$DOGEの経済圏に持ち込むことができるようになります。
Dogechainは、当初は21のバリデーターで構成されます。コンセンサスアルゴリズムにIBFT (Istanbul Byzantine Fault Tolerance)を利用することで、即時ファイナリティを実現。平均ブロック生成時間が2秒で、高速なトランザクションを行うことができるようになっています。
$DOGEを利用することができる
Dogechainでは、オリジナルのDogecoinのチェーン上にある$DOGEをラップし、$wDOGEとして利用することができます。$wDOGEは、Dogechainにおける支払通貨及びネットワーク手数料(ガス)として機能します。
ラップを実現するのが、Dogechain Cross-Chain Protocolになります。ユーザーは、このプロトコルでDogecoin側の$DOGEをロックすることで、Dogechain側でラップされたトークンの$wDOGEを受け取ることができます。同様に、Dogechain側の$wDOGEを破棄することで、Dogecoin側の$DOGEを取り戻すことができます。$DOGEと$wDOGEの交換比率は1:1になります。
Dogechain上のトークン: $wDOGE, $DC
Dogechainでは、Dogecoinからラップした$wDOGE及び、Dogechainオリジナルの$DCで構成されたデュアルトークンモデルを採用しています。両トークンは、ネットワーク手数料(ガス)として使用することができます。
wDOGEトークン
$wDOGEは、オリジナルのDogecoinからDogechain Cross-Chain Protocolを通じてラップしたトークンです。Dogecoin側から$DOGEをプロトコルにロックすることで、同数の$wDOGEを入手することができます。$wDOGEは、以下の用途で使用します。
- Dogechainにおける決済通貨
- ネットワーク手数料(ガス)
- PoSのステーキング
DCトークン
DCトークンの特徴
$DCは、Dogechainにおけるネイティブトークンです。メインネットリリースと同時に1兆DCが発行され、徐々にリリースされていきます。$DCは、以下の用途で使用されます。
- Dogechainにおけるネットワーク手数料(ガス)
- ガバナンス(CurveのveTokenと同様のveモデルを採用)
- ステーキング報酬
- $wDOGEをステーキングした場合
- $DCをステーキングした場合
- ガバナンスのためのveモデルにステーキングした場合
DCトークンの配布
$DCは、総発行数の1兆DCが以下の比率に応じて配布されます。
- 60%:エアドロップ/コミュニティ(4年の線形べスティング)
- 15%:財団(うち15%が即時配布、残り85%が2年の線形べスティング)
- 15%:トレジャリー(うち15%が即時配布、残り85%が2年の線形べスティング)
- 10%:チームメンバー(5年の線形べスティング)
- 5%:マーケティング(うち50%が即時配布、50%がveモデルにロック)
上記のエアドロップ/コミュニティ分(60%)の内訳は、以下の通りになります。
- 28.8%:veモデルで$DCをロックしているコミュニティメンバーに配布
- 28.2%:4年間で配布
- ロック解除分の2/3:Dogechainで$wDOGEをステーキングしている人にエアドロップ
- ロック解除分の1/3:veモデルもしくはDogechainに$DCをステーキングしている人にエアドロップ
- 2%:既存の$DOGE保有者への割り当て(割り当ては5月下旬に確定済み)
- 1%:Robinhoodユーザーのうち、まだ$DOGEが引き出せないユーザーへの割り当て
DCトークンが売買できる取引所
Dogechainのメインネットは2022年8月2日に、$DCは8月25日にローンチされました。2023年2月24日現在、以下の取引所で取り扱いが始まっています。
Dogechainに関する情報
- Dogechain Webページ
- Dogechain Medium
- Dogechain Twitter
- Dogechain Telegram
- Dogechain Discord
- Dogechain Github