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Mixin Network(XIN)の解説

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Web3の普及が始まっているものの、未だにそれらのUI/UXは大衆が使えるものになっていないのが現実です。Mixin Networkは、早期からUI/UXに着目し、大衆が使いやすいレイヤー1のチェーンを構築しています。

Mixin Network(XIN)の概要

Mixin Networkのイメージ

Mixin Networkは、デジタル資産向けの無料で高速なP2Pクロスチェーン取引ネットワークです。他のブロックチェーンからMixin Networkに資産を入金することで、1秒以下の取引を実現し、100万TPS以上のトランザクション容量を確保。さらに取引のプライバシーを確保することができます。また、Mixin Networkに入金された資産はガス代ゼロで取引をすることができます。

このプロジェクトの動機は、Bitcoinをはじめとするブロックチェーンがトランザクション容量や取引確定の遅さ、高い取引手数料に苦しんでいたことが背景にあります。このような動機は今日のブロックチェーンにはよくあるものの、その多くは新たに作られた独立した存在であり、既存のブロックチェーンの補強ができるものではありませんでした。そこで、プロジェクトは既存のブロックチェーンを補強するという、独自のポジショニングを確立したMixin Networkを開発しました。

Mixin Networkでは、プロジェクトの公式アプリケーションである Mixin Messenger解説記事)を提供しています。このアプリケーションは、シードフレーズレスのセルフカストディを提供し、またブリッジレスで資産を自身のMixinアカウントに直接入金することが可能になっています。また、ミニアプリにより、様々な暗号資産を扱う機能をMixin Messengerに追加することができます。これにより、ユーザーはブロックチェーンというインフラを感じることがなく、暗号資産を使った体験をすることができるようになっています。

Mixin Network 上で流通しているトークン

Mixin Network 上で流通しているトークン(Snapshots Explorerより)

さらに、プロジェクトはEthereum互換のアプリケーションに慣れ親しんだ開発者やユーザーをオンボードできるようにするために、2022年6月よりEVM互換の仮想マシンMVM(Mixin Virtual Machine)の提供を開始しました。MVMに準拠したアプリケーションは、他のEVM互換アプリケーションと同じように、MetaMaskやWalletConnectを使用することができるようになっています。ただし、MVMを実行する場合はMixin Networkネイティブの利点であるガス代ゼロのトランザクションを利用することができず、Mixin Network に入金された$ETHをガスとして消費するようになっています。

2017年10月のメインネット開始以降、Mixin Networkは46のブロックチェーンに接続し、2,912種類の資産が流通しています。また、DefiLlamaにおいてネットワークにロックされている資産の総額が第9位に位置しています(2023年6月3日現在)。最新のチェーンのステータスは、Mixin Networkのトップページより確認することができます。

Mixin Network の技術的な特徴

高速で安全性を考慮した取引性能

Mixin Networkは、100万TPS以上のトランザクション容量を確保し、なおかつ取引確定が1秒未満の高い取引性能を有します。また、安全性を重視し、不正に対して厳しいペナルティが用意されています。

Mixin Networkでは、UXTOと非同期型のBFTコンセンサスを採用し、分散型台帳はブロックチェーンではなくDAGを使用しています。Mixin Network上におけるトランザクションは即座にブロードキャストされ、各フルノードによる検証が行われた後にMixin NetworkのコアであるKernelへのスナップショットが作成されます。その後、スナップショットが別のフルノードにより検証されます。また、UXTOの性質上スナップショットの順番は関係ないため、トランザクションの同時実行が保証されるようになります。

また、Mixin Networkではフルノードが事実上不正できない仕組みを採用しています。Mixin Networkではフルノードの不正が非常に厳しくなっています。フルノードが不正なスナップショットを提出すると、フルノードがステーキングしている11,000 XIN(2023年6月時点のレートで3億6400万円相当)がすべて没収され、強い経済的制裁を受けるようになっています。また、コンセンサスをTEE(Trusted Execution Enviorment)で実行することにより、第三者に処理過程を捕捉されないようにします。

複数の外部チェーンから資産を直接入金することが可能

Mixin Networkでは、Mixin Domainと呼ばれる分散型台帳を経由して外部チェーンから資産を直接入金できる仕組みを採っています。公式アプリケーションのMixin Messengerでは、ブリッジを使うことなく、接続先チェーンのネイティブアドレスに入金するだけで、資産を自身のアカウントに反映させることができるようになっています。

2023年6月3日現在、Mixin NetworkはBitcoinやEthereum、Aptosなど46のブロックチェーンの資産を入金できるようになっています。具体的にどのようなチェーンが対応しているかはチェーンのページより確認することができます。

マルチチェーン構成が可能

Mixin Networkでは、分散型台帳で構成されたMixin Kernelを中心に、複数の独立したノードで構成されるパラチェーンMixin Trusted Group(MTG)を構築することができるようになっています。MTGは、MixinのメインネットワークであるMixin Kernelのコンセンサスを併用することで高いセキュリティを確保することができます。MTGには、独自に構築されたパブリックブロックチェーンの他、ステーブルコインやAMM DEXなど、用途別のアプリケーションも含まれます。

Mixin Trusted Group

取引のプライバシーを提供

Mixin Networkでは、自身のアカウントに資産を入金するだけで、$BTCや$ETHのような透明性が高くプライバシーがない資産の取引に対してプライバシーをもたらします。また、取引内容は当事者のみで照会することができるようになっています。

Mixin Networkにおけるプライバシー確保では、プライバシーコインとして知られているMoneroと似た方式が採用されています。トランザクションのアカウントモデルにBitcoinで採用されているUXTOモデルを採用し、またCryptoNoteによるワンタイムキーの導出アルゴリズムを使用することにより、アドレスの再利用を防ぎプライバシーを向上させます。

Mixin Networkのエコシステム

Mixin Networkのエコシステムは、公式ページのエコシステムにまとめられています。ここでは、代表的なものを紹介します。

Mixin Messenger

Mixin Messengerは、Mixin Networkプロジェクト公式のアプリケーションです。LINEのような使い勝手のメッセンジャーになっており、ガス代ゼロの送金ができるため、暗号資産をスタンプのような感覚で送ることができます。また、TIP3 (Throttled Identity Protocol)を利用することにより、ユーザーはシードフレーズや秘密鍵の管理をすることなく、セルフカストディを利用することができます。また、後述のミニアプリを追加することで、Mixin Messenerにアプリケーションを追加することができます。ミニアプリも同様に、ガス代ゼロで利用することができます。

Mixn Messenger

Mixin Networkのアプリケーション

Mixin Networkのアプリケーションは、Mixin Messengerと連携して利用するミニアプリと、MVMで動作するアプリケーションがあります。また、同一のアプリケーションでも両方のバージョンが提供されている場合があります。

ミニアプリは、Mixin Messengerの検索画面でMixin IDを入力することでメッセンジャーに追加することができます。また、PCからアクセスしてMixin Messengerと連携させて利用することもできます。そして、ミニアプリではガス代がかからないというメリットがあります。

MVMで動作するアプリケーションは、MetaMaskなどのEVM互換ウォレットを利用することができますが、少額の$ETHがガス代として請求されます。しかし、後述するPando Catkinでガス代分の$ETHを入手できることから、利用開始のハードルはそれほど高くありません。

4swap(Mixin ID: 7000103537)

4swapは、ガス代ゼロで利用可能なAMM DEXです。Mixin Networkによりチェーンを意識することなく、異なるチェーンの資産同士を交換することができます。

4swap

B.watch (Mixin ID: 7000102023)

B.watchは、暗号資産のインデックストークン$BOXを売買できるサイトです。$BOX 1つあたり、0.0001 BTC、0.0001 ETH、0.03 EOS、0.005 DOT、0.01 MOB、0.0008 XIN、0.01 UNIで構成されています。B.watchは、Mixin Networkでは最もTVLが大きいアプリケーションです。

B.watch

Pando

Pandoは、Mixin NetworkのDeFiスイートで、以下のアプリケーションで構成されています。

  • Pando Leaf (Mixin ID: 7000103924):過剰担保型ステーブルコイン pUSD
  • Pando Lake (Mixin ID: 7000103937):AMM DEX
  • Pando Rings (Mixin ID: 7000104159):レンディングプラットフォーム
  • Pando Catkin (Mixin ID: 7000104655):フォーセット(Faucet)

Pando Leaf

Quill (Mixin ID: 7000101549)

Quillは、暗号資産の有料サブスクリプションのサービスです。ユーザーは自分の記事を販売することで収益化できます。ユーザーによっては1つの記事から1,000ドル以上を稼いでいる場合があります。

Quill

MixPay (Mixin ID: 7000104220)

MixPayは、Mixin Networkを用いたペイメントのサービスです。マーチャントは請求額をUSD単位などで指定し、希望する決済通貨で支払いを受け取ることができるようになります。

MixPay

MVM Bridge

MVM Bridgeは、MVM対応のアプリケーションを利用するためのブリッジです。EVM互換ウォレットを接続した後に、対応している資産のチェーンに直接入金を行うため、CEXに近いユーザー体験を得ることができます。

MVM Bridge

Trident

Tridentは、Mixin Network上のNFTマーケットプレイスです。決済トークンとして$XINを利用します。

Trident

XINトークン

Mixin Networkでは、ネイティブトークンとして$XINを発行しています。

XINトークンのユーティリティ

$XINは、以下のユーティリティを利用できます。

  • フルノードになるための担保のステーキング(1年目:10,000 XIN、2年目以降:11,000 XIN)
  • ライトノードになるための担保のステーキング(0.1 XIN~)
  • DAppsの作成($XINは消費リソースで変動)
  • ガバナンス

$XINのステーキング報酬を得るための唯一の手段はフルノードになることです。しかし、必要な$XINの要件があまりにも高額であるため、エコシステムパートナーのBigONEが一般ユーザーでもステーキングに参加することができるMixin node stakingサービスを提供しています。

XINトークンの配布

$XINは、Ethereumネットワーク上でERC-20トークンとして100万枚が発行されています。内訳は、以下の通りです。

  • 50%:フルノードへのインセンティブ
  • 40%:IEO(2017年11月25日~12月25日に実施)
  • 5%:早期支援者とホワイトリスト登録ユーザーへの報酬
  • 5%:コアチーム

XINトークンを売買できる取引所

Mixin Networkに関する情報

当サイトによる記事

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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