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暗号資産 XRP とそのチェーン XRP Ledger の解説

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暗号資産の中でも、$XRPは古くから良く知られた存在となっています。しかし、$XRPはRipple社による国際送金のイメージが強いことから、送金専用と誤解されていることが多く、レイヤー1のブロックチェーンとして様々なユースケースを実現できることはあまり知られていません。本記事では、$XRPをネイティブ資産としているブロックチェーンのXRP Ledgerについて取り上げていきます。

XRPの概要

$XRPは、レイヤー1の分散型ブロックチェーンであるXRP Ledgerのネイティブトークンです。「リップル」と呼ばれることが多い同資産ですが、正式な資産名は「XRP」となります。XRP Ledgerそのものは、スケーラブルで持続可能な分散型のパブリックブロックチェーンとして開発されています。チェーンにネイティブで高度な支払い機能やDEX、NFTを含むトークン化などの機能が利用できるようになっているため、開発者は最小のセキュリティリスクでアプリケーションを展開することができるようになっています。

XRP Ledger

XRP Ledgerは、2011年から2012年にかけて、Bitcoinの初期貢献者を含む3人の開発者によって開発されました。当時は、コンセンサスアルゴリズムとしてProof of Work(PoW)が主流であり、今では当たり前となっているProof of Stake(PoS)も未発達でした。そこで、チームはXRP Ledgerコンセンサスプロトコルと呼ばれる独自のコンセンサス方式を開発し、PoWやPoSと比較しても資本や計算力の偏りがなく、より分散する仕組みを開発しました。このコンセンサスでは、不正なバリデーターが全体の20%未満であればXRP Ledgerの安全性が保証されるようになっており、現在PoSのブロックチェーンで主流のBFTのしきい値である3分の1よりも有利になっています。2023年7月9日現在、XRP Ledgerは118のバリデーターで構成されています。

XRP LedgerはRipple社の国際送金サービスであるRippleNetのオプションであるOn-Demand Liquidityで使用される他にも、Ripple社以外の様々なユースケースが存在しています。具体的なユースケースは、XRP Ledgerの利用例のページから確認することができます。

Ripple社とXRPとの関係性

しばしば同一視されるRipple社と$XRPですが、その関係性は独立したものとなっています。

Ripple社は、テクノロジー企業であり、XRPはRipple社から独立したオープンソースのデジタル資産です(Ripple社のFAQより)。2012年にXRP Ledgerを立ち上げたDavid Schwartz、Jed McCaleb、Arthur Brittoらは、同年9月にChris LarsenとともにRipple社の前身となるOpenCoin社を立ち上げました。その後、XRP Ledgerのアーキテクトは、Ripple社がデジタル資産を中心としたユースケースを構築できるように800億XRPをRipple社に寄付しました。そのうち550億XRPは、2017年よりエスクローアカウントに保管され、徐々に放出されるようになっています(Ripple社のXRPのFAQより)。

2023年現在、Ripple社はXRP Ledgerの主要な貢献者となっています。自社によるユースケースとして、国際送金ネットワークであるRippleNetを展開し、その中のソリューションであるOn-Demand Liquidity(ODL)において$XRPを採用しています。ODLにより、RippleNetの顧客は$XRPを活用して2つの通貨をブリッジした送金を実現することができるようになっています。注意点としては、ODLはRippleNetのオプション機能であるため、RippleNetを使っている顧客が必ずしも$XRPを利用しているわけではありません。また、Ripple社はXRP Ledgerに2つのバリデーターを提供しています。

XRP Ledgerの主なネイティブ機能

XRP Legerでは、ネイティブで以下のような機能をサポートします。

高度な支払い機能

XRP Ledgerは、単なる支払いの他に高度な支払い機能が内蔵されています。

  • Payment:同一通貨($XRPやトークン)の直接支払い、DEXを利用して通貨を自動的に変換する複数通貨間の支払い(例:USD→EUR)
  • Check:小切手形式の後払い
  • Escrow:条件付きの支払い
  • Partial Payment:送金額から手数料を差し引き、変動額を送金(主に返金で利用)
  • Payment Channel:個々の取引をオフチェーンで処理し、後でまとめて決済する非同期の支払い

トークン化

EthereumのERC20トークンのように、XRP Ledgerでトークンの発行を行うことができます。さらに、規制要件を満たすために、トークンの保有者を制限したり、第三者間のトレードや送付を禁止したりすることができます。

NFTに関してもコントラクトの開発なしに発行することができ、第三者のコントラクトに依存されない売買や、ロイヤリティを強制させることができるようになっています。

分散型取引所(DEX)

XRP LedgerにはDEX機能が組み込まれており、資産交換のためにCLOB(Central Limit Order Book)を内蔵しています。これにより、プロトコルレベルで板取引が提供されます。さらに、XRP以外の2種類の通貨を交換するオファーがある場合に、オーダーブックが合成され、XRPが中間通貨として使用されるオートブリッジングという機能が提供されています。例えば、USDからEURのトレードにおいて、USD/XRPとEUR/XRPの流動性が自動的に利用されます。また、将来的にAMMが提供される予定になっています。

サイドチェーンにより拡張されるXRP Ledger

XRP Ledgerはサイドチェーンにより機能が拡張されます。以下に紹介するサイドチェーンは、2023年7月時点でいずれもテストネット段階です。

Hooks:Wasmスマートコントラクトの追加

XRP Ledgerでは、デフォルトで多くの機能が内蔵されています。しかし、これらはチェーンがネイティブで提供しているものであることから、必ずしも柔軟なアプリケーションを提供できるとは限りません。

Hooksサイドチェーンは、XRP LedgerでWasmベースのスマートコントラクトを実現可能にします。これにより、トランザクションの送受信の前後あるいはその両方へロジックを組み込み、XRP Ledgerと連携させることができるようになります。

EVM:EVM互換のスマートコントラクトの追加

今や多くのチェーンでEVM互換への対応は避けられず、XRP Ledgerについても例外ではありません。XRP Ledgerでは、EVMサイドチェーンとしてEVM互換機能を提供します。サイドチェーンそのものはCosmos SDKベースで構築されており、EthermintモジュールによりEVM互換を実現し、コンセンサスにはTendermintのフォークであるCometBFTを利用します。また、XRP Ledgerの機能の利用にXRPL Bridgeを利用します。

XRPトークン

XRPトークンの概要

XRP Ledgerでは、$XRPをネイティブトークンとして利用します。$XRPには、以下のようなユーティリティがあります。

  • 取引手数料
  • アカウントを有効にするための最低保有額(基本準備金/所有者準備金)
  • CLOBのオートブリッジングのための基軸通貨として
  • EscrowやPayment Channelなどの高度な支払い機能で利用可能な通貨として

$XRPの発行上限は1000億枚です。800億枚はRipple社に寄付され、そのうち550億枚は同社のエスクローアカウントにより、徐々に放出されるようになっています。放出状況は、Ripple社のWebページより確認することができます。

また、手数料として消費された$XRPは全量がバーンされます。現在のバーン速度では、すべての$XRPがバーンされるのは少なくとも7万年かかるため、$XRPが枯渇する心配はありません。

XRPトークンを売買できる取引所

日本のライセンスを持つ取引所:

XRPに関する情報

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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