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RWAトークン化のためのレイヤー2「Plume Network」の解説

Layer2・サイドチェーン
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Plume Network の概要

Plume Network(プルームネットワーク)は、実物資産(Real World Asset: RWA)のトークン化に特化したEthereumのレイヤー2です。米国の規制に準拠したトークン発行による資金調達や取引に必要な機能をプロトコルレベルで提供します。

ブロックチェーンや暗号資産に関する技術の発展や法整備が進むにつれ、RWAを絡めたトークン化が可能になりました。RWAのトークン化では法規制への準拠や、RWAを扱う信頼が必要となる第三者が介在します。しかし、既存のプラットフォームでは、これらの要素はバラバラに存在しており統合されていません。

Plume Networkは、プラットフォームそのものにRWAのトークン化に必要な要素を盛り込み、事業者が簡単にトークン発行をできる環境を提供します。ソリューションプロバイダーや自社技術との組み合わせにより、米国SECの規制に準拠したトークン発行を可能にし、法定通貨とトークンの交換を行うオン/オフランプ、利用者の認証やネットワークの監視、一次/二次取引などを備えます。

2024月1月27日現在、Plume Networkのメインネットはローンチされておらず、テストネットが公開されています。

RWAのトークン化を促進させるための要素

Plume Networkでは、RWAのトークン化のサポートするために様々な要素を盛り込んでいます。また、複数のソリューションプロバイダーと連携することにより統合された環境を提供します。

法律に準拠したトークン発行

Plume Networkにおけるトークン発行は、米国SECの規制に準拠します。トークン発行において、事業者は適切な規制やトークン化プロバイダを選択し、取引所への上場を行います。

米国では証券発行において、IPOで上場することは難しいため、一般的に事業者は登録免除プログラムを利用します。Plumeが対応するのは、登録免除プログラムのうちRegulation A (Reg A+)、Regulation Crowdfunding (Reg CF)、Regulation D (Reg D)になります。それぞれの内容によって、募集できる投資家種別や資金規模、勧誘、転売制限が異なります。登録免除プログラムの内訳は、後述の「Plume Networkが対応する登録免除プログラム」をご覧ください。

トークン規格

Plume Networkでは、RWAのトークン化のために必要なトークン規格に対応しています。既にRWAを想定したトークン規格がいくつか存在しているものの、Plumeではすべてに対応してはおらず、Plume上のプロジェクトの要望により追加対応を検討するとしています。

Plumeが対応するトークン規格:

トークン規格 説明 実装例
ERC-20
(Token Standard)
投資契約ではないファンジブルトークン 暗号資産、ステーブルコイン、ポイント
ERC-721
(Non-Fungible Token Standard)
投資契約ではないノンファンジブルトークン デジタルアート、ウィスキーの個別樽、知的財産
ERC-1155
(Multi Token Standard)
投資契約ではないセミファンジブルトークン 希少現物、ゲームアイテム
ERC-3643
(T-REX – Token for Regulated EXchanges)
証券性があるファンジブルトークン 物理プロジェクトへの投資、不動産、商品、株式、債券

Plumeが対応しないトークン規格(プロジェクトの要望により検討):

トークン規格 説明
ERC-1400
(Security Token Standard)
証券性があるファンジブルトークン
ERC-4519
(Non-Fungible Tokens Tied to Physical Assets)
物理資産を表すノンファンジブルトークン
ERC-4519
(Non-Fungible Tokens Tied to Physical Assets)
ERC-721メタデータを持つソウルバンドトークン
ERC-5114
(Soulbound Badge)
ミントのみのソウルバンドトークン
ERC-5192
(Minimal Soulbound NFTs)
ERC-721を拡張したソウルバンドトークン
ERC-5484
(Consensual Soulbound Tokens)
不変のバーン機能を持つソウルバンドトークン
ERC-5507
(Refundable Tokens)
払い戻し可能なトークン及び払い戻し不可能なトークン
ERC-6065
(Real Estate Token)
不動産を表すノンファンジブルトークン
ERC-6239
(Semantic Soulbound Tokens)
ソーシャルグラフを構造化したトークンのためのデータ
ERC-6672
(Multi-Redeemable NFTs)
複数なシナリオで交換可能なノンファンジブルトークン

オンランプとオフランプ

RWAを取引する場合、収益を最終的に法定通貨で扱えるようにする必要があります。そのため、Plume Networkではオンランプ(法定通貨->トークン)やオフランプ(トークン->法定通貨)の手段を提供します。

オン/オフランプでは、銀行振込の他に、米国における電信送金や、国際カードブランド(Visa/Mastar)による支払い、Apple PayやGoogle Payへの対応を予定しており、それらを使うためには利用者の認証が必要になります。

利用者の認証

Plume Networkでは、ボット、反社会勢力、その他悪意のあるユーザーに対応するために、利用者の認証を行います。認証には、本人確認(KYC)や法人確認(KYB)の他、適格投資家の認証があります。また、悪意のあるユーザーが偽のIDでボットアカウントを大量に攻撃するためシビル耐性にも対応します。

Plumeにおける利用者の認証では、名前や生年月日、住所や身分証などの登録のほか、生体認証として顔スキャンが行われます。登録された情報には分散型ID(DID)が使われ、ゼロ知識証明(ZKP)や完全準同型暗号(FHE)により、本人の情報を明かすことなく、プライバシーを確保しながら認証が行えるようになります。

コンプライアンス遵守のための監視

Plume Networkでは、特にアンチマネーロンダリング(AML)や米国財務省の外国資産管理局(OFAC)などの制裁措置の遵守など、コンプライアンスに準拠します。そのために、モニタリングプロバイダーと連携し、トランザクションの監視やネットワークの分析を行います。

ATSプロバイダーとの統合

Plume Networkでは、二次取引の場を提供する代替取引システム(ATS)プロバイダーと統合することにより、発行体によるトークン販売(一次取引)の後に、投資家がトークンを自由に取引できるようにします。ATSプロバイダーは、従来の暗号資産取引所と異なり、セキュリティトークンが取引可能なプラットフォームが採用されます。

Plume Networkが対応する登録免除プログラム

Regulation A+

Regulation A+は、米国籍の人向けの証券販売に適用されます。基準が厳しいことから、通称ミニIPOとも呼ばれます。

  • 誰でも投資できる。12ヶ月間に最大75百万ドルまで調達できる。
  • SECにForm 1-Aを提出する必要がある。
  • Tier IIの場合は、譲渡代理人が必要である。

Regulation CF

Regulation CFは、米国籍の人向けの証券販売に適用される、クラウドファンディングの規制になります。

  • 誰でも投資できる。
  • 12ヶ月間に最大500万ドルまで調達できる。
  • SECにForm Cを提出する必要がある。
  • ライセンスを持つブローカーディーラーまたはファンディングポータルを仲介として使う必要がある。
  • 譲渡代理人とエスクローが必要である。

Regulation D

Regulation Dは、米国籍の人向けの証券販売に適用されます。

  • 506(b)の場合は、非適格投資家が最大35人まで投資できる。506(c)の場合は、適格投資家のみ投資できる。
  • 12ヶ月間の調達額に制限はない。
  • SECにForm Dを提出する必要がある。
  • 506(b)の場合は、勧誘はできない。506(c)の場合は、勧誘ができる。
  • 譲渡代理人、エスクロー、ブローカーディーラーは必要ない。

Plume Networkのトークン

2024年1月27日時点、Plume Networkのトークンの情報は公開されていません。

Plume Networkに関する情報

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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