Eclipseの概要
Eclipse(エクリプス)は、SolanaVM(SVM)を実行することができるEthereum上のレイヤー2です。Eclipse上では、ガスとして独自トークンはなく$ETHを利用します。
Eclipseは、後発のレイヤー2として、今までのレイヤー2で生じていたトレードオフを解消することにより、大幅のスケールアップを目指します。既存のレイヤー2では、アプリケーション固有のロールアップ展開が引き合いに出され、専用のブロックスペースによりユーザーへの手数料を安定させることがメリットとされています。しかし、これは複雑さや高いコスト、UXの悪化や流動性の断片化というトレードオフを生みます。
Eclipseが出した解は、アプリケーションでローカルな手数料市場を持ち、並列化された仮想マシンを採用するというものです。そして、現在レイヤー2で主流のEVMだと仕組み上シングルスレッドでパフォーマンスに限界があることから、マルチスレッドが可能なSolanaVMを採用しました。これにより、Eclipseでは特定のアプリケーションが混雑して手数料が高騰したとしても、影響はそのアプリケーションだけにとどまり、他には影響が出ないようになります。加えて、ロールアップが分断されないことから流動性の断片化が発生しません。つまり、Eclipseではアプリケーション固有のロールアップと汎用ロールアップのいいとこ取りを実現することができます。
プロジェクトは、Solanaとの差別化点に関して、Solanaはパフォーマンスを重視していることに対し、Eclipseは検証可能性を最大化しながらパフォーマンスをできるだけ維持していることを目指しているとしています。
Eclipseの特徴
モジュラーチェーン構成
Eclipseは、モジュラーチェーンの実行レイヤーとして構成されています。決済(紛争解決)レイヤーにはEthereumを利用し、データ可用性レイヤーにはCelestia(解説記事)を利用します。
また、不正証明のために多くのチェーンで使われているマークルツリーではなく、RISC Zeroによるゼロ知識証明を利用します。これは、初期段階の実験において、トランザクションのたびにマークルツリーを更新するとパフォーマンスが大幅に低下することが判明したためです。
モジュラー構成の恩恵により、EclipseのユーザーはEthereumの高いセキュリティと低い手数料を享受しつつ、高いパフォーマンスを得ることができるようになります。
ローカルの手数料市場
ほとんどのチェーンの手数料市場は、グローバルに設定されており、特定のアプリケーションがチェーンを専有すると、同じチェーン上のすべてのユーザーの手数料が上がっていきます。対してEclipseでは、手数料競争をアプリケーションのみにとどめるローカルの料金市場を実装することで、他のアプリケーションの混雑によりチェーン全体の手数料が高騰することを防ぎます。初期段階では、スケジューラが競合のないトランザクションを優先し、より低い手数料で受け入れられるようにします。
EVMの互換性を確保
EclipseはNeon EVM(解説記事)を利用することで、EclipseにおけるEVMにも対応します。各Neon EVMインスタンスも同様にローカルの手数料市場を持ちます。
Neon EVMとは別に、SolangコンパイラによりSolidityで書かれたスマートコントラクトのコードをSolanaVMのバイトコードにコンパイルすることで、EVM互換アプリケーションをEclipse上で動かすこともできます。