自宅PCでのステーキング「ホームステーキング」を行うようにするパブリックブロックチェーンのOver Protocol(オーバープロトコル)は、2024年3月14日にOpen Beta Testnet2(以下、OBT2)において誰でもホームステーキングに参加可能なOverNodeをリリースしました。OBT2のホームステーキングはメインネット時のエアドロップ対象とされています。
この記事では、OverNodeでホームステーキングに参加するまでを解説します。
Over Protocolとは?
Over Protocol(解説記事)は、EVM互換のレイヤー1ブロックチェーンで、自宅のPCでProof of Stake(PoS)によるバリデーター運用を簡単に行うことができる「ホームステーキング」を実現しています。
ブロックチェーンプロトコルの開発が進む中で、インフラの維持には高いマシン要件が必要であり、中央集権化のリスクが生じています。金融システムとして機能するブロックチェーンは高度な分散化を必要としますが、Over Protocolはこの課題に取り組んでいます。
Over Protocolの特徴として、以下の3つの点に注力しています:
- リソース要件の削減: Ethanosという技術を活用し、バリデーターのリソース要件を個人のPCでも満たせるレベルに抑えています。
- 包括的なコンセンサスアルゴリズム: EthereumのGasperのカスタム版を採用し、幅広い参加を促します。
- アクセシビリティ: 直感的なGUIを提供して、バリデーター運用を簡単に行えるようにしています。
ホームステーキングへの参加
ホームステーキング vs パームステーキング
Over Protocolでは、ステーキング方式にホームステーキングとパームステーキングの2種類があります。違いは以下の通りになります。
パームステーキング (Palm-staking) |
ホームステーキング (Home-staking) |
|
---|---|---|
ステーキングできる端末 | スマートフォン | PC |
ステーキングに参加するアプリ | OverWallet | OverNode |
$OVERの数量 | 任意 | 256 OVER以上 |
報酬の配布量 | 一定 | パフォーマンスにより増加 |
ボーナス報酬 | なし | あり |
報酬の請求 | 手動 | 自動 |
パームステーキングは手軽な分だけ報酬は少なく、ホームステーキングの方がプロトコルへのコミット度が高く、優遇された報酬が提供されるようになっています。
ホームステーキングに参加するための要件
トークン要件
- 保有トークン数:256 OVER の倍数(例:256 OVER, 512 OVER, 768 OVER)
- ウォレット:OverWallet
PC要件
OverNodeでは、以下のPC要件が課されています。他のブロックチェーンのバリデーター要件と比べて、ハードルが低く、過去10年以内に発売されたPCであれば概ねホームステーキングに参加可能になっています。
最小要件 | 推奨要件 | |
---|---|---|
OS | Mac OS X 10.14以上, Windows 10以上 64-bit | |
CPU | 2コア | 4コア以上@2.8 GHz |
メモリ | 4GB | 16GB以上 |
ストレージ | SSD 128 GB | SSD 256GB |
通信回線 | 8Mbps | 20Mbps |
報酬獲得要件
ホームステーキング中は70%以上の稼働率が求められます。それを下回ると、コンセンサスを担うグループから外され、報酬獲得の権利を失います。
ホームステーキングのセットアップ
ダウンロードとインストール
OverNodeをダウンロードし、PCにインストールします。この手順は通常のPCのアプリケーションインストールと要領は変わりません。
1. OverNodeのページにアクセスし、OverNodeのセットアップファイルをダウンロードします。
2. OverNodeのセットアップファイルを実行して、インストールを行います。インストールにおいて特別な設定をする必要はありません。
初期セットアップとOverWalletとの連動
初期セットアップでは、OverNodeをOverWalletと連携させます。
1. Welcome to Over Node の画面が表示されます。「Get started」で次に進みます。
2. OverWalletを持っているか聞かれます。「Yes」をクリックして次に進みます。
3. OverWalletでログインすることが求められます。スマートフォン側でOverWalletを起動します。
4. OverWalletにおいて、右上のQRスキャンのアイコンをタップします。その後「Confirm」、「Got it」の順にタップします。
5. OverNode側にOverWalletの連携が行わると、右側にウォレット情報が表示されます。「Let’s get started」をクリックして次に進みます。
6. パスワードを設定して「Next」をクリックします。パスワードは8文字以上で数字と記号を混ぜる必要があります。
7. ブロックチェーンデータの保存先を指定します。20GB以上の空き容量があるストレージ上のフォルダを指定して「Next」をクリックします。
8. この画面が表示されると、Windows OSがセキュリティ警告を表示します。これは、OverNodeのプロセスにアクセス許可を求めるものになり、表示されるものにはすべて「アクセスを許可する」をクリックします。すべて許可したら「Next」をクリックします。
9. サービス規約画面が表示されます。「I accept」をクリックして、規約に同意します。
10. これで初期設定は完了です。ただし、ノードデータの同期が完了するまで、バリデーターのセットアップは開始できません。そのため、すべての同期が完了するまで待ちます(3時間程度かかります)。
バリデーターのセットアップ
1. ノードデータが同期できている場合、画面にウォレットの残高が表示されるようになります。同期できている状態で「Run a Node, Be a Validator」をクリックします。
バリデーターについての説明
2. ここからしばらく説明画面が表示されます。「Let’s get started!」をクリックしてセットアップを開始します。
3. バリデーターの役割の説明が表示されます。「Sure. I got it」をクリックします。
4. バリデーターへのなり方が表示されます。「Sure. I got it」をクリックします。
5. バリデーターになる上での注意事項が表示されます。「I have reviewed the checklist」をクリックします。
リカバリーフレーズのバックアップ
6. バリデーターのリカバリーフレーズが表示されるのでメモします。メモし終えたら「I saved it」をクリックします。このメモはなくさないようにします。
注:このフレーズはウォレットのそれとは関係ありません。
7. リカバリーフレーズの確認が表示されます。例では、11番目の単語を尋ねられています。質問に対応した単語を選択します。
8. 単語が正しいと、バックアップ完了の旨が表示されます。「Next」をクリックして次に進みます。
ステーキング実行
9. 実行するバリデーター数を選択して「Next」をクリックします。例えば、256 OVERを保有している場合は1つまで、512 OVERを保有している場合は2つまでを選択することができます。例では、1を選択します。
10. リマインダーに注意事項が表示されます。すべてにチェックを入れて「Stake now!」をクリックします。
11. ステーキングの確認画面が表示されます。
12. OverWalletでPC画面のQRコードをスキャンして「Confirm」をタップすると、OverWalletがリンクされ、ステーキング前の確認画面に進めるようになります。
13. 「Continue with the transaction」をクリックして、トランザクションの実行を開始します。
14. OverWallet側で確認が表示されるので「Go to Confirm」をタップします。
15. PC側の画面が切り替わることを確認し、OverWallet側の画面に移ります。
16. OverWallet側に最終確認が表示されます。「Slide to Confirm」を右にスライドさせます。
17. 「I’m done!」をクリックして、ステーキング操作を完了します。
18. 以下の画面が表示されれば、すべての手順は完了です。実際のホームステーキングはすぐではなく、開始まで数日要します。
よくあるトラブル
Syncing node dataのステータスが進行しない
OverNodeを実行し直すと同期が進む場合があります。一度OverNodeを終了して、再度立ち上げてみてください。同期には数時間を要します。