Layer1プロジェクト解説暗号資産

アプリ開発者がEVMを拡張可能な「Artela(ART)」の解説

Layer1
スポンサーリンク

Artela(ART)の概要

Artela(アルテラ)は、Ethereum仮想マシン(EVM)への互換性を持ちつつ、アプリケーション開発者がベースレイヤーを拡張可能することができるEVM++を搭載したレイヤー1のブロックチェーンです。拡張機能によりEVM単体の制限を突破し、さらに並列処理を可能にします。

今日、EVMはWeb3アプリケーションを開発するための標準的なフレームワークになっています。しかし、EVMの機能拡張はEthereum財団が管理するEIPの承認に左右され、開発者が自分たちのニーズに合わせて自由に変更や拡張をすることはできませんでした。このような制限を突破するためのアプローチとして、アプリケーション専用チェーンのアプローチが登場しました。しかし、開発コストや運用コストの増大に加えて、流動性やオンチェーンのコンポーザビリティを失うことに加え、開発者やユーザーのスイッチングコストなど、ニーズを優先することへのトレードオフがありあす。理想は、EVMを使えつつも、それをアプリケーション開発者が自由に拡張可能できるようにすることです。

Artelaは、EVM++のアプローチによりEVMが拡張困難という状況に対処します。これは、EVMとWASMとの組み合わせにより、機能豊富なアプリケーションを実現可能にするというものです。Artelaでは、開発者がWasmランタイム環境内でカスタマイズされた拡張機能を実行することができる「アスペクト」を作成することができます。

トランザクション処理に組み込まれたアスペクト

トランザクション処理に組み込まれたアスペクト(引用元:Intro to Artela

アスペクトにより、EVM向けの実装だけでは実現できない機能をアプリケーションにもたらすことができます。例えば、完全なオンチェーンゲームや、DeFiの不正防止は、アスペクトがあるからこそ実現できるユースケースです。

また、Artelaでは複数のトランザクションを並列処理できるようにすることで、チェーン全体で高い処理容量を確保することができます。加えて、アプリケーション専用のブロックスペース導入により、チェーン利用時に低い手数料を実現します。

技術ハイライト

Wasmで独自拡張が可能なEVM:EVM++

EVM++は、スマートコントラクト(EVM)とネイティブ拡張機能(Wasm)により機能豊富なアプリケーションを実現します。

EVM++では、アプリケーションのロジックは2つに分けられます。スマートコントラクトは、アプリケーションのビジネスロジックの処理を担当する部分です。そして、ネイティブ拡張機能である「アスペクト」は、コアロジックやビジネスロジックには直接影響しないが、他のアプリケーション属性を強化できる機能です。つまり、アスペクトは、ビジネスロジックから独立してスマートコントラクトを補うランタイムといえます。

Artelaのネイティブ拡張機能

Artelaのネイティブ拡張機能(引用元:Intro to Artela

アスペクトを利用することで、例えば、DeFiサービスに監視機能を組み込み、悪意のあるトランザクションをロールバックする実装が可能になります。EVMのスマートコントラクト言語であるSolidityでは、ステートの変化やコールスタックを含む、トランザクションのコンテキストにアクセスできないため、一部の操作は制限されています。しかし、アスペクト側に監視機能やロールバックのロジックを実装することで、Solidityだけでは不可能だった安全なDeFiを実現できるようになります。

並列EVM処理

EVMは、元々並列処理ができないため、スケーラビリティには限界がありました。つまり、多くのトランザクションを同時に処理することが難しい状況でした。

しかし、Artelaでは、EVMのトランザクションを並列実行できるように設計されています。具体的には、トランザクションを分析し、互いに干渉しないように同時に処理できるトランザクションを特定し、互換性のあるトランザクションをグループにまとめています。

この仕組みにより、Artelaチェーン全体で高いスループットを確保できるようになります。つまり、多くのトランザクションを同時に処理できるため、スケーラビリティの問題を解決しています。

弾力的なブロックスペース

一般的に、ブロックチェーンにおいて、自分のトランザクションをできるだけ速く通すためにはより高いガス代を支払う必要があります。これは、ブロックスペースがパブリックになっており、その確保がオークション方式であるためです。ネットワーク上にあるプロトコルが成長した場合、ガス代が高騰してユーザーは高いコストを払わざるを得なくなるということを意味しています。

Arteliaでは、アプリケーションがElastic Block Space(弾力的なブロックスペース)に加入できるようになっています。これは、高いトランザクションスループットを必要とするアプリケーションが、独立したブロックスペースを確保できる仕組みです。この仕組みは、単一のアプリケーションによってパブリックなブロックスペースが専有されることを防ぎ、手数料の高騰を防止します。さらに、将来的にはブロックスペースの売買などの新しいマーケットが生まれることが期待されています。

ARTトークン

Artelaでは、ネイティブトークンとして$ARTを使用します。$ARTに関する情報は、2024年4月7日時点で公開されていません。

Artelaに関する情報

スポンサーリンク
この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

Junya Katoをフォローする
TOKEN ECONOMIST(トークンエコノミスト)
タイトルとURLをコピーしました