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チェーン抽象化にフォーカスしたレイヤー1「Arcana(XAR)」の解説

Layer1
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Arcana(XAR)の概要

Arcana(アルカナ)は、チェーンを抽象化する技術にフォーカスしたモジュール式のレイヤー1チェーンです。チェーンの抽象化でユーザー体験(UX)を簡素化することを目的としており、ユーザーはArcanaのアプリケーションを操作するだけで、マルチチェーンの操作をまとめて完結することができるようになります。

現在、数百のブロックチェーンが存在し、将来的には数千のブロックチェーンが出現するとみられています。これはユーザーにとって選択肢が増える一方、流動性が断片化し、UXが悪化する可能性があることを意味しています。モジュラーチェーンの出現は、断片化の進行に拍車をかけ、UXの悪化はもはや避けられない状況となっています。

モジュラーチェーンのインフラストラクチャには通常、ブリッジが標準装備されていますが、それでもユーザーはインフラストラクチャを意識してブロックチェーンを操作しなければいけません。異なるチェーンに資産を移動させるたびに、移動先チェーンのガストークンを用意しなければならず、結局のところUX問題は解決されないままです。このような問題を解決するためには、マルチチェーン環境であっても、ユーザーがブロックチェーンの種類を意識せずに利用できるためのチェーンの抽象化技術が必要になります。

チェーンの抽象化を理解するために、チェーン間スワップのアプリケーションを例に考えてみます。

従来であれば、ユーザーはスワップの過程で資産が経由するチェーンのガストークンをすべて用意する必要があります。また、資産が経由するたびに承認操作を行う必要もあります。一方で、開発者はそれぞれのチェーンにコントラクトを展開する必要があり、実装の手間はもちろんのこと、チェーンごとにコントラクトをメンテナンスする必要があります。このような状況は、ユーザー・開発者の双方に良い体験をもたらしません。

Arcanaでは、ユーザーがArcana上で構築されたアプリケーションを利用するだけで、チェーン間スワップが実行できるようになります。ブリッジやスワップが自動的に実行されるのはもちろんのこと、資産が経由するチェーンのガストークンも自動的に確保され、決済が実行されます。また、開発者はスワップに関わるチェーンを意識することなく、Arcana上にコントラクトを展開するだけでチェーン間スワップを実装できるようになります。

また、Arcanaはチェーンの抽象化以外にも、認証の抽象化暗号資産をメールアドレスで送ることができるプロダクトも手掛けています。

Arcana(XAR)の技術ハイライト

Arcanaは、コアとなるレイヤー1のArcana Networkと、各チェーン上に実装されたArcana Vaultによって構成されています。Arcana NetworkとAracna Vaultは協調動作します。

Arcanaの技術アーキテクチャ

Arcanaの技術アーキテクチャ

Arcana Network

Arcana Networkは、Arcanaのコアとなるレイヤー1です。主に以下の技術で構成されています。

ステートマシン(State Machine)

ステートマシンは、各ユーザーアカウントのステートのトラッキングや維持を行います。トラッキングされる内容には、アカウントの残高、支出、未回収金があります。また、チェーン全体におけるユーザーアカウントの現在の合計残高を把握します。

分散キー生成(DKG)

複数のノードによって鍵の分散生成と保管が行われます。これにより、分散化を可能にし、単一障害点を排除します。

MPC-TSS

閾値署名を実行することができるマルチパーティ計算の仕組みです。閾値署名は条件付きであり、「ユーザーが取引を実行するために必要な資金(すなわち、残高から未実現回収額を差し引いたもの)を持っているか?」といった検証チェックに基づいています。

相殺決済(Netting)

後述するArcana Vault内のすべてのユーザの支払額、未回収金額、および流動性ポジションを追跡することで、さまざまなチェーンにわたって相殺決済を行い、リバランスします。

流動性プロバイダー/ソルバー(LPs/Solvers)

サードパーティの流動性プロバイダーのネットワークを指します。各チェーンの異なる保管場所にある異なる資産の流動性要件を満たすために、手数料競争を行います。

クライアント(Clients)

ウォレット、アプリケーション、ユーザーのインテントが発生するその他のインターフェイスを指します。

Arcana Vault

Arcana Vaultは、個々のチェーンに展開されるスマートコントラクトです。次のような特徴を備え、Arcana Networkと協調動作するようになっています。

  • Arcana Networkに対応するトークンの流動性と、特定チェーンのガストークンを保持する。
  • Arcana Networkのノードからの指示に基づき、必要とするクライアントに流動性を供給する。
  • Arcana Networkのノードからの指示に基づき、ユーザーからの資金を決済する。
  • 命令の署名を検証して、トランザクション要求がユーザーから発信されたことを検証する。

XARトークン

Arcanaでは、Ethereum上にネイティブトークンの$XARを発行しています。詳細は、Arcana Tokenのページをご覧ください。

XARトークンのユーティリティ

  • ネットワークのセキュリティ:ステーキングによるコンセンサス参加
  • ステーキング報酬:バリデーター及びデリゲーターへの報酬
  • ガバナンス:ガバナンスへの投稿
  • 支払い:サブスクリプション料金の支払い
$XARのトークンモデル

$XARのトークンモデル(引用元:Arcana Token: Technical Paper v1.1

XAR

トークン

の配布

$XARは10億枚が初期供給され、その後はインフレによって増加していきます。初期供給は、以下のように割り当てられています。

割当 割合 べスティング
エコシステム 30.00% (TGE時に10%リリース後)36ヶ月
チーム 20.00% 24ヶ月
準備金 16.54% 36ヶ月
アドバイザー 12.00% (12ヶ月のロックアップ後)13ヶ月
投資家 エンジェル 2.50% (TGE時に10%リリース後)12ヶ月
プレシード 4.58% (TGE時に10%リリース後)18ヶ月
シード 9.36% (TGE時に10%リリース後)18ヶ月
シードエクステンション 7.31% (TGE時に10%リリース後)18ヶ月
IDO/パブリック 1.71% TGEから6ヶ月目と12ヶ月目にリリース

XARトークンを売買できる取引所

Arcanaに関する情報

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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