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Mantle Network (MNT) の解説 ~モジュール式の高パフォーマンスロールアップ

Layer2・サイドチェーン
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※本記事では、プロジェクト名をMantle、プロダクト名をMantle Networkと区別して記載しています。

Mantle Network (MNT) の概要

Mantle(マントル)は、モジュール式のアーキテクチャを採用した高パフォーマンスなロールアップのレイヤー2プロトコル Mantle Network を展開するプロジェクトです。プロジェクトは、金融および消費者向けオンチェーンアプリケーションの持続可能な最大級のハブを構築を目指しており、そのエコシステムは、リステーキング、DeFi、ゲーム、NFTプロトコルを中心に展開されており、レイヤー2ネットワークとしては世界最大規模のコミュニティ所有型トレジャリーを有しています。

2023年7月にメインネットを始動させたMantle Networkは、早期からモジュラーチェーンのアーキテクチャを採用しています。実行レイヤーにはOptimistic Rollupを使用し、データ可用性レイヤーにはEigenDAの技術を利用したMantleDAを採用しています。この設計により、高いスケーラビリティと安全性の両立を実現しています。

さらに、Mantle Networkは独自の技術的特徴として、トランザクションプールのプライベート化やメタトランザクションのネイティブサポートを実装しています。これにより、MEV (Miner Extractable Value) の影響を抑制し、より公平でユーザーフレンドリーな取引環境を実現します。

2024年11月時点でMantleのDAOトレジャリーは33億ドルに達し、世界のDAOの中で第3位の資金規模を誇っています。この潤沢な資金力を活かし、2億ドル規模のMantleエコファンドを設立。有望なプロジェクトへの戦略的投資を通じて、エコシステムの持続的な成長を支援しています。

また、Mantleは独自のアプリケーション開発にも注力しており、特にリキッドステーキングおよびリキッドリステーキングプロトコルであるmETHを中核プロダクトとして位置づけています。mETHを軸とした金融サービスの展開により、DeFiエコシステムの活性化を推進しています。加えて、MantleはBitcoinチェーン外における$BTCであるFBTCにもコア貢献者として深く関わっています。

Mantleの特筆すべき点は、技術的革新性と潤沢な資金力を組み合わせた総合的な成長戦略にあります。汎用ロールアップの競争が激化する中、独自の強みを活かした展開により、持続可能な発展を目指しています。

Mantle Network の技術ハイライト

モジュラー構成

 

Mantle Networkのアーキテクチャ

Mantle Network は、モジュラー構成を採用しています。ユーザーが送信したトランザクションはRPCノードを通じ、Mantle Network の実行レイヤーで実行されます。実行レイヤーのシーケンサーは、データをデータ可用性レイヤーのMantleDAに、ステートルートをEthereumに送信します。

MantleDAは、EigenLayerと共同構築したデータ可用性レイヤーです。EigenDAの技術が使用されており、Ethereumのセキュリティを継承しています。MantleDAは、将来的にEigenDAに移行されます。2024年11月現在、主要なロールアップではEIP-4844が採用されています。しかし、これにはブロックサイズの制限があるため、パフォーマンスの影響が出る可能性があります。MantleDAではそのような制限を受けないため、高いパフォーマンスでデータを記録することができます。

MEVの影響を抑制

Mantle Network では、トランザクションがブロックに含まれるまでの一時保管プールとして、Ethereumのmempoolに似たトランザクションプールを採用しています。

トランザクションプールはプライベートに設計されており、MEV (Miner Extractable Value) の影響が抑制されます。例えば、MEV抽出の代表例として知られているサンドイッチ攻撃は、Mantle上では行うことができません。このように、Mantle Network では公平な取引環境を実現することができます。

プロトコルレベルのメタトランザクションの実現

Mantle Network では、ユーザーがネイティブトークンの$MNTを支払うことなくブロックチェーンとやりとりできるようにするためのメタトランザクションをプロトコルレベルでサポートしています。

これは、既存のアカウント抽象化ソリューションのBiconomyやEtherspotと異なり、ユーザーが事前にトークンを用意する必要がなく、ユーザーコストを削減します。同様に、GSNやDefenderのようなコントラクトベースのソリューションとも異なり、リレイヤーによる追加の技術的な対応を不要とし、あらゆる場面でガス代ゼロのトランザクションを実現します。

MNTトークン

Mantle Network では、ユーティリティトークンとして$MNTを利用します。

MNTトークンの用途

  • ガバナンス
  • Mantle Network におけるガス料金
  • エコシステム成長のための資金(トレジャリー)

MNTトークンの配布

もともとBitDAOとしてスタートしたMantleは、$MNTの初期配布をMantleジェネシス提案BIP-21MNT-22によって決定しました。その結果、以下の初期配布内訳となりました(2023年7月7日)。

項目 枚数 割合
Mantleトレジャリー 3,046,328,614 49.00%
循環済み 3,172,988,154 51.00%

MantleトレジャリーはMantleガバナンス提案でしか引き出せない資金であることから、流通していない$MNTとみなすことができます。その後、Mantleトレジャリーからは、2023年3月に第1期予算(BIP-19)と第2期予算(MIP-31)による引き出しが行われました。

MNTトークンを売買できる取引所

Mantle Network に関する情報

 

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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