イスラエル発祥のハイブリッドブロックチェーンOrbs(オーブス)は、メインネットを立ち上げてから1年が経過しました。2019年3月に実施したMayo Hotta氏のインタビューに続き、Orbsのプレジデント兼共同創業者 Daniel Peled(ダニエル・ぺレッド)氏に、プロジェクトの進捗について伺いました。
本インタビューは前後編に分かれています。後編では、主にOrbsが顧客から支持されている点について紹介します。前編がまだの方は、以下のリンクからお読みください。
Orbsのプレジデント兼共同創業者 Daniel Peled氏 インタビュー 後編
Orbsが顧客から評価されている点
加藤:Orbsの顧客について教えてください。Orbsにとっては、どのような人たちが顧客としてのターゲットになっていますか?また、既存の顧客がOrbsについて評価している点は何でしょうか?
Daniel:Orbsは、B2Bのブロックチェーン・インフラなので、我々の顧客は法人や国際団体です。ブロックチェーンを必要とする企業の業種は幅広く、これまでは特に絞り込みはしてきませんでした。既に契約が決まっているところや、これまで話をしてきた企業の用途としては、サプライチェーン・マネージメントやID認証、電子投票、所有権管理があります。
顧客から満足いただいている点は、事業開発チームのコミットメントの高さだと思います。実態として技術的な優位性の話をする前に、最近はブロックチェーンで何ができるかの話をすることが多いです。そうなった時にどれだけ丁寧にブレストや提案ができるかが鍵かと思っています。
競合との優位性
加藤:Orbsの競合との優位性を教えてください。Orbsにはどのような競合がありますか?また、Orbsのブロックチェーン、ビジネスとの差別化点は何でしょうか?
Daniel:1つ目は価格です。大企業が現在使っているブロックチェーンの多くがプライベートブロックチェーンのHyperledger FabricとCordaです。
少なくともOrbsが得意とする海外市場では、どちらもIBMなどSIerにシステム開発を依頼するため初期開発費がかなりかかり、その後もデータを各ノードである企業がそれぞれ保管し続けるためのサーバー費用や、ネットワークのアップデートに対応するための技術サポートといったメインテナンス費用が高くかかります。
その代わりパブリックブロックチェーンでは、GASと呼ばれる利用料が高いイメージがありますが、当社はPoWではなくPoSを採用しているため、ガスという概念がなく、トランザクション毎の利用料はかかりません。
企業クライアントはこれまでAWSのサーバーを利用してきたように、ORBSネットワークを必要なスペース量だけ借りて、そこに利用料を払うことになります。利用料はORBSトークンを使って支払うことになります。
当社では現在支払いモデルを検討中ですが、イメージとしては電車の回数券を事前に買って、毎月支払うようなかたちです。ORBSトークンは日々変動があるかもしれませんが、企業としては事業計画に合わせて必要なだけ事前に回数券を買うので、市場でのORBS価格が事業計画を圧迫する可能性は低くなります。
2つ目は、当社のブロックチェーンは、プライベート又はコンソーシアム型にも組むことができ、将来パブリックでの活用に拡大する場合の乗り換えが簡単です。
3つ目は、コード言語がSolidityではなくGoやJavaScriptという広く一般的に使われている言語を採用しているポイントです。
Ethereum 2.0と比べた場合の優位性
加藤:Orbsは、初期はEthereum上のレイヤー2という位置づけになりますが、現在のEthereumが高速化に対して本格的に着手しています。Ethereum 2.0が完成した場合、Orbsの優位性はなくなりませんか?残る優位性がある場合、その点を教えてください。
Daniel:Ethereumが目指すWeb 3.0的な社会観と、Orbsが目指す既存の企業へのネットワーク提供は目指すものが違うように思います。
例えば、当社としてはトークン発行を目指すようなプロジェクトに我々の優位性はないと考えており、話はしていません。Ethereum 2.0の完成はまだ先で、実際どのようなものになるかは既に発表されているものから想像することしかできませんが、当社としてはこの間に淡々と企業向けユースケースを増やしていくのみです。
新型コロナウィルスCOVID-19による影響
加藤:新型コロナウィルスCOVID-19は、Orbsのビジネスに影響が出ていますか?出ている場合、どのような影響になりますか?
Daniel:Orbsも3月から在宅勤務を採用しており、既に2ヶ月近く、社員やコミュニティメンバーが実際に集うことなく業務を行なっています。
ただ、この時代でラッキーなことに、業務の多くは在宅でできることが多いので、ZoomやHangoutsを使って日々コミュニケーションをとっています。先日は、全社会議にコメディアンを呼んだり、ジェパディ(アメリカのテレビで有名なクイズゲーム)をしたりとチームビルディングをしながら進めています。
今後の意気込み
加藤:今後の意気込みをお願いします。
2018年はブロックチェーンPOC(トライアル)が盛り上がり、2019年は少し下火になり、2020年は新たな盛り上がりを期待しています。
コロナで今は人命ファーストなので、これからの経済低迷が心配です。ただこの時代だからこそ、市民のエンパワメントやグローバルな連帯が求められると思います。ブロックチェーンはまさにそういった社会変革に欠かせない技術です。
社員、コミュニティメンバー、そして世界のみんなが共にコロナを乗り切った暁には、当社としてもますますアクセルを強くユースケースの開発とクライアントへの導入を進めていきます。
応援よろしくお願いします。
Orbsに関する情報
公式情報
当メディアによる情報
- インタビュー Orbs 堀田氏
- Orbsミートアップ レポート
- Orbs:Ethereumを補助するハイブリッドチェーン
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