Swarmの概要
Swarmは、イーサリアム向けの、Web3.0のための分散型ストレージプラットフォーム及びコンテンツ配信サービスのインフラストラクチャで、ビジョンとして「自己主権型社会のためのインフラ」を掲げています。2015年から2020年にかけ、イーサリアム財団の傘下でSwarmの研究開発が進められており、現在はSwarm財団に移行しています。2020年6月にその技術論文「The Book of Swarm」が発行され、2020年7月にネットワークがローンチしました。
Swarmが提供するのは、止まらないストレージとコンテンツ配信サービスで、DAppsのためのCDN(Content Delivery Network)のような立ち位置にあたります。Swarmネットワークへのリソース提供者は、Beeと呼ばれるクライアントソフトウェアを立ち上げノードを運用します。ノード運用者により、分散的にストレージが提供されるため、サービス事業者はゼロダウンタイムのインフラ上でDAppsを展開することができます。また、メッセージの内容は暗号化されているため、従来のインターネットのように検閲されるということがなく、ユーザーのプライバシーが保たれます。
Smarmのメインネット立ち上げは2021年6月13日に行われ、それと同時にBZZトークンが正式リリースされます。
Swarmの特徴
Swarmでは、”ワールドコンピュータ”であるイーサリアムにおけるハードディスクとしての立ち位置を担います。
Swarmのアーキテクチャは4層あり、最下層はアンダーレイP2Pネットワーク(図の「1. underlay p2p network」)と呼ばれます。これはトランスポート層とP2Pネットワークプロトコルで構成され、特定のネットワークに縛られないようになっています。そして、Swarmコアと呼ばれる第2-3層によって、Swarmの基本機能が提供されます。第3層のAPIでは、データのアップロードやダウンロード、追加や削除の機能が提供されます。DAppsは、APIを使ってSwarmコアと通信することになります。
Swarmコアの機能は、クライアントソフトウェアのBeeによって提供されます。詳細は、Swarm Beeのページより確認することができます。
ネットワークで匿名性が確保できる
Swarmのネットワークを担うのが、第2層のオーバーレイネットワーク(図の「2. overlay network with immutable storage」)になります。オーバーレイネットワークでは、独自形式のオーバレイアドレスでノードが識別されます。オーバーレイアドレスは、イーサリアムのアカウントからのハッシュによって生成されたものになります。
メッセージやデータは「Kademlia」によりルーティングされます。リクエストはP2Pからリレーされるため、リクエストカスケードの下のピアは発信者が分からないようになっており、匿名性が確保できます。また、Kademliaは、地理的に近いノードを認識してルーティングするため、高いスループットを確保することができます。
細かいデータが均一分散される
Swarmのネットワークでは、分散型ストレージにおいて「DISCストレージモデル」と呼ばれる仕組が採用されます。DISCストレージモデルでは、データはチャンクと呼ばれる固定サイズ単位で分割されます。チャンクは公平で均一に負荷分散され、各ノードはチャンクの複製を保有することでデータの冗長性を確保します。もちろんデータの暗号化も行われます。ノードは保存するデータの発言権を持たないため、データの内容によって保存される/されないということが起こらないようになっています。また、チャンクを取得してデータをダウンロードする際、コンテンツの整合性を検証できるようになっています。
現在のSwarmのバージョンでは、シングルオーナーチャンクとコンテンツアドレスチャンクの2種類がサポートされています。シングルオーナーチャンクは、ユーザーに対して割り当てられているデータを示します。チャンクの整合性は、デジタル署名で証明できるようになっています。コンテンツアドレスチャンクは、前者のような意味は与えられず、4KBの小さなサイズに分割され、比較的小さなファイルでも同時検索ができ、ダウンロードの待ち時間短縮につながります。
コンテンツにアクセス権を付与できる
Swarmでは、暗号化されたコンテンツへのアクセス権を付与することができるようになっています。暗号化されたコンテンツには、パスフレーズもしくは秘密鍵を用いてアクセスできます。パスフレーズは、単にパスワードと似たような方法でアクセスできる手段です。一方の秘密鍵は、イーサリアム全体でアカウントへのアクセスに使用しているものと同じ、秘密鍵を利用した手段になります。
SwarmのBZZトークン
BZZトークンの概要
SwarmのエコシステムではBZZのトークンを利用します。BZZトークンは、ノード運用者が帯域幅とストレージを提供したことによる報酬になります。ノード運営者は、クライアントのBeeを実行し、チャンクをピアに提供するとgBZZトークンを獲得することができます。これは小切手に相当するもので、最終的にキャッシュアウトという形でgBZZをBZZにすることができます。
BZZトークンの配布
初期のBZZトークンの発行数は、62,510,000 BZZ になります。内訳は、以下の通りとなります。
- 50%:トークンセール(42%:早期セール/8%:パブリックセール)
- 23%:エコシステム(10%:エコロジー/10%:DApps支援/3%:寄付)
- 20%:チーム
- 7%:Swarm財団の基金
BZZトークンを売買できる取引所
2021年6月9日現在、BZZトークン現物を扱う取引所は存在していません。6月15日にCoinListでIEOが行われる予定です。
また、一部の取引所ではIOUの取引が行われています。