ブロックチェーン上で動くアプリケーションのことを一般的にDAppsと呼び、RabbitHoleでは、DAppsの教育コンテンツを通して、持続可能なブロックチェーンプロジェクトの成長を目指しています。今回は、オンチェーンタスク型教育DAppsのRabbitHoleについて解説していきます。
RabbitHoleプロジェクトの行動原点
RabbitHoleを深く理解するには、プロジェクトの行動原点の理解が欠かせません。RabbitHoleの行動原点について、2021年2月25日の公式ブログ記事を元に筆者の独自解釈で紹介します。
きっかけは、2020年夏、DeFiに爆発的な資金流入が起きたことです。当時から現在にかけ、利益を追求するユーザーは1つのプロジェクトに留まらず、新たな利益を追い求めてプロジェクトを点々としています。また、投機的なユーザーを重視して、プロジェクトがガバナンストークンを発行したとしても、DAOの投票が形骸化するという現象が起きています。
RabbitHoleは、ブロックチェーンの持続的な成長を目指していることから、短期の利益を追求するユーザーを重視することよりも、プロジェクトに長期的に貢献するユーザーを重視しなければならないと問題提起しています。そこで、RabbitHoleは「イーサリアムエコシステムの参加率の向上」を目標に掲げ、実現する方法としてオンチェーンタスク型教育DAppsを作成しました。
RabbitHoleプロジェクトの概要
RabbitHoleは、イーサリアムエコシステムの参加率の向上のために、プロジェクトに長期的に貢献するユーザーを生み出すプラットフォームを目指しています。
DApps上の行動は、原則的にすべてがブロックチェーン上に記録されます。そして、これらの記録は誰でもブロックチェーン上で情報を取得することができます。このように、ブロックチェーン上に記録されていて、誰でも見ることができる情報をオンチェーン情報といいます。
RabbitHoleはこの性質を利用し、DAppsが動いた時のオンチェーン情報にタスクを設定し、達成度合いに応じて、NFTやプロジェクトのガバナンストークンなどを報酬として配布します。これにより、ユーザーのDAppsを動かすインセンティブが高まり、DAppsに対する理解度の深化を促すことで、長期的に利用するユーザーを育成していきます。
また、RabbitHoleではDAppsを使うために「何をすればいいのか?」が説明されているため、ガイドに沿ってDAppsを触るだけで、気がついたらDAppsを使いこなせるようになっていて、おまけに報酬をもらうことができる状況を作り出します。ユーザーは、RabbitHoleの公式Mirrorで勉強することにより、ほとんどのタスクを達成することができるようになっています。
下記は、世界最大のNFTマーケットプレイスOpenSeaを使ったタスクの例です。プロジェクト画面に、タスク一覧が表示されます。
公式Mirrorを参考にしながら、タスクをこなしていきます。
タスクをこなすと、各タスク右上のバッジ部分が埋まります。
また、RabbitHoleでは、タスクを通して自分が知らなかったDAppsを発見することができます。そして、それらを使いこなすには何をすれば良いか明確な達成目標が設定されているため、改ざん耐性をもった記録により達成の証明ができるようになります。
このように、RabbitHoleはオンチェーンタスク型教育DAppsを通すことで、改ざん不可な記録を作り、第三者に証明可能な「オンチェーン履歴書」を実現します。
RabbitHole is creating the on-chain resume for the future of work.(公式Notionから引用)
RabbitHoleの特徴
RabbitHoleの大きな特徴は、以下の通りです。
- オンチェーン情報で理解度を確認できる
- なりすましが難しい
- オンチェーンの実績が過去にさかのぼって反映される
オンチェーン情報で理解度を確認できる
ブロックチェーン教育コンテンツは、CoinbaseやBinance、PoLなど数多くあります。それらに共通しているのが、関連情報を読み、一定の理解度があるかをクイズ形式で確認する方法です。
RabbitHoleがこれらの教育コンテンツと比べて大きく異なる点は、オンチェーン情報を元に理解度を確認できることです。現実的に、実際にDAppsを触るかどうかで、理解度には大きく差が生まれます。例えば、筆者はNFTを発行するときに、実際に発行してみなければわからないことがたくさんありました。RabbitHoleでは、実際にDAppsを動かしたことが理解度の確認になるので、他の教育コンテンツよりも客観的な指標として機能します。
なりすましが難しい
RabbitHoleは、ブロックチェーンを活用したIDサービスBlightIDを採用しており、参加者全員がユニークな人間であることを証明することができます。そして、BlightIDは、複数アカウントやbotでの攻撃(シビル攻撃)を防ぐことにつながります。また、悪意のある人間が複数のbotやアカウントを作成することで、報酬が独占されることを防ぐことにもつながります。
オンチェーンの実績が過去にさかのぼって反映される
RabbitHoleは、実績確認にオンチェーン情報を元にしているので、実績が過去にさかのぼって反映されるようになっています。
筆者は、RabbitHoleの登録後にUniswapで取引をしたことはありませんでした。しかし、過去のUniswapの取引履歴がブロックチェーン上に記録されているので、Uniswapのタスクが完了扱いになっていました。これは、オンチェーン情報を元にしているからこそできることです。
RabbitHoleが対応しているDApps
現在、RabbitHoleが対応しているDAapsは、イーサリアムを代表する有名なDAppsから少しコアなものまで、幅広く揃っています。
有名なDAppsでは、Uniswap, Aave, yearn.finance, CompoundなどのDeFiサービスや、NFTを代表するOpenSeaなどがあります。
少しコアなDAppsとしては、xDAIやArbitriumで動いている10倍のレバレッジをかけることができるデリバティブDEXのPerpetual、マルチシグウォレットを簡単に作成することができるGnosis、誰でもトークンに基づいた宝くじを作れるPoolTogetherなどがあります。
RabbitHoleの使い方
RabbitHoleの使い方は、以下の通りです。
1. 公式Webサイトで、ウォレットアドレスとメールアドレスを登録します。
2. Quests, Skills, Projectsから任意の項目を選択し、タスクを確認します。
- Quests:期間限定のタスクでNFTの報酬などがもらえます。
- Skills:特定の能力に必要なタスクをピックアップしています。LendingやAsset Managementなどがあります。
- Project:DAppsのタスクを見ることができます。
3. タスクが完了すると、黄色いバッジがもらえるので、Redeemを押して署名を行います(署名を行わないとタスクが完了しません)。
まとめ
今回は、オンチェーンタスク型教育DAapsのRabbitHoleを紹介しました。
RabbitHoleは、イーサリアムエコシステム全体の参加率を向上させるために、短期的なユーザーから長期的に貢献するユーザーを生み出すプラットフォームを目指しています。投機目的の短期的なユーザーから長期的ユーザーを増やすことで、ブロックチェーンエコシステムの持続可能な成長を実現します。